リピリピ荒井由実

ひさびさに音楽でグっときた。

天気雨 / 荒井由実

深夜ラジオで流れてきて、鳥肌立つくらい「うわ、いいな」と思っちゃったな。

なにがいいって、ピアノ。ピアノのライン良すぎてつらい。

荒井由実の曲は高校生のころに何度か弾き語りなどした思い出がある。映画「風立ちぬ」の影響で「ひこうき雲」にも一時期はまっていた。最近だと、掃除してるときとかに荒井由実オンリーのプレイリスト流したり。

絶対に聴いたことあるはずだけど、どうして今まで気づかなかったんだろう。ただBGMの一部として聴き流してしまったのか。それとも、すべて良曲だから埋れていたのか。

今夜もどうやら眠れないので、この一曲だけのリピリピで決まりだ。聴きながら書くね。聴きながら読んで。


梅雨。おもくるしい曇天と、そこから落ちてくる雨に悩まされる日々だけれど、この曲はそんな雨じゃないってことすぐわかる。

軽い鍵盤の粒がころがるイントロは、梅雨のような重さや湿気の苦しさはなく、ひたすら爽やかだ。コーラスも相まって。

こんな日々だからこそ、ほんとに「天気雨」だってこと、ぜんぶわかっちゃうんだな。

好きなひとに「え〜今日そっちのほう行くの?いいな、海みたいな。わたしも行っていい?」なんてちょっとしたわがまま言って、茅ヶ崎の砂浜。

波打ち際をうまく 濡れぬように歩くあなた。まるで わたしの恋を注意深くかわすように。

天才。

いい顔されないのもわかっているのに、わがまま言えちゃうなんてね。素直で心底うらやましい。

「へへっほんとに来ちゃった」って。

にへらにへらしながら満足げに笑ってる女の子、好きでなくてもたまらないじゃないか。砂浜を歩かせてごらんなさいよ。砂のついたかかとにだって恋しちゃうよそんなん。

飛んでってしまいそうなくらいに透いた歌声を、しっかり引き留める鍵盤の和音。顔見れただけでうれしくて、跳ねてしまう心拍とおなじ。ぜんぜん隠し切れてないよ。

でもさ、彼、いい顔してないだけでほんとは来てくれるのうれしいんじゃない?ツンデレなんじゃない?あれ、もしかして、”ゴッデスに行く”っていうのも口実なんじゃない!??!?(きゅうん)

ここで「いやいや、ちょっと落ち着きなよね…」のピアノソロ。

かっこよすぎる。かろやかに鍵盤を跳ねる手がはっきりと目に見える。たのしい。落ち着けるわけないだろうよ。


夏の始めの通り雨 ついてないのは誰のせい?

カラッと晴れていたのに、ちょっとどうして。雨降ってきたし行くわって彼はゴッデスへ向かう。

まだ一緒にいたい…って思いつつも、そこは笑顔で見送っちゃうんだろうな。加減を完全に知っている女である。

だから彼も拒否することなくずっとどっちつかずの関係で続いてくんだって、なんとなくそう思う。そうであってほしい。

やさしくなくていいよ クールなまま近くにいて


自分のきもちを優先させる代わりに、相手には多くを求めないこの感じ。壊れちゃうのわかっているから、自ら壊しにいったりはしない。好きな人の、好きなところだけずっと。


たった3分間をなんどもなんども繰り返す。


それにしても海へ行きたい。

もうしばらくは無理かもしれないと思って小田急線に飛び乗った三月二十日。ひとりでさんぽした湘南。ほんとうに行けなくなっちゃって、ちょうど三ヶ月が経つ。

どうしたっていまの状況をポジティブには飲み込みこめないし、「これもなにか意味があった」だなんて言葉で美化したくもない。ぜんぶ、ただ運が良かったひとたちの言葉に思えるから。

けれども、朝から晩まで猫と一緒にいられるこの時間をだいじにだいじに抱きしめている。わたしには今、それしかできない。精一杯なのだ。

肌を焼く日差しと、さーっと通りぬける海風と、波の音がほしい。あとは、好きな人に会える夏。音楽のなかだけでも、まだ残されている夏への希望が見えた気がした。


- aoiasa






最後までありがとうございました。 〈ねむれない夜を越え、何度もむかえた青い朝〉 そんな忘れぬ朝のため、文章を書き続けています。わたしのために並べたことばが、誰かの、ちょっとした救いや、安らぎになればうれしい。 なんでもない日々の生活を、どうか愛せますように。 aoiasa