夜の散歩
寒くなると、夜の散歩に出たくなる。
あたたかな服を着て、
でも今の季節ならコートは不要。
イヤホンを耳に挿して、鍵をかける。
夜にぴったりな、お気に入りのアーティスト。
彼女の歌声に身を委ねて歩を進める。
行き先は何処でもいい。
どうせ勝手知ったるご近所の道。
脚の向くまま、メロディにのせて。
とはいえ昼ならなんてない道にも、
そっと夜陰が広がる。
ちょっと気持ちがざわざわしたら、
遠慮などせず回れ右。
闇の中には迷いの森が。
いつしか寝込んで眠りの森に。
何かを置き去りにしたら一大事。
空に月。一等星。二等星。
この目に見えない闇の中には、
きっと六等星が輝いているはず。
何処までだって行けそうで。
でも戻らなきゃとずっと気にかけて。
夜の街と月を交互に見ながら、
散歩はなかなかなかなか終わらない。
夜の散歩は終わらない。
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