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とある黒猫の朝

 僕は猫ではない。と言っても、この外見だから誰も信用はしないだろう。
 日課は、主人マスターの愛息子である遥の護衛。彼は混血児ダンピールと呼ばれる異種存在であり、僕の主人をいつか殺す可能性もある。
 でも知っている。僕の主人は、それを望んでいる事を。そして、彼は知らない。自分の持つ本当の力を。

 僕はどちらの味方なのかと言われると非常に困る。だって、どちらもかけがえのない大切な存在だからだ。どちらの命も天秤になんてかけたくない。

 夢魔に魘される遥を起こすことから僕の朝は始まる。僕の力はさほど強くないが、夢魔の世界から遥を引きずりだす事くらいは出来る。

『ハルカ、朝だよ。さあもうこっちの世界に帰っておいで』
「う、うう……やめろ、やめてくれ……」

 あぁ、また汗びっしょりになって可哀そうに。
 夢魔は美味しい夢に喰らいつく。遥は混血児ダンピール。彼女らにとってこれ以上のないご馳走だ。反面、その食べ方を間違えるとただの猛毒なんだけど。

 遥は真面目な子なんだと思う。あの夢の続きとその隠されたあの人の顔を見る為に夢魔の策略にはまっていく。ダメなんだよ、その先を見たら、君は現実世界こちらに戻れなくなると言うのに。
 仕方がない、ちょっとだけ無茶をしよう。

『我、ウィル=グレイアースの名において命ずる……』

 僕の術は簡単だ。主人の名前から紡がれる”始祖”の力。金色の瞳を真紅に変えて、主人の力を解放するだけでいい。
 でも、今の僕は“不完全な身体“だから、主人の力を使うと全身が痛くなって、思うように動けなくなる。

「っ……あ!?」

 息が詰まった音と共に飛び起きた。僕はしれっと眠っているフリをして彼の腹部にうずくまる。

「……ティム、重いよ」

 そうだ、今まで僕は眠っていたフリをしただけという事にする。遥が現実世界に帰ってきてさえくれたらそれでいい。
 しかし、朝一から主人の力を使ってしまうと、身体が鉛のように重く、あちこち痛い。この先が不安になる。

 僕の悪い予感は、大体当たるんだ。
 この日は胸騒ぎがして、いつもより早く遥に家を出るように足元でじゃれついてみた。
 案の定、僕の行動パターンを熟知している遥はさっさと準備を整え、学校に行こうとした。うん、こう何も言わなくても物分かりの良い所は関心関心。

 家の周囲に奴らの気配がないことは確認していたのに、別の蝙蝠達が遥の影を乗っ取っていたのをすっかり見落としていた。
 新月が近くなると奴らの力が増す。僕がいくら影を引き裂いても何も変わらなかった。一番最初に力を使ったせいか。
 まだ自分の力を制御できない遥が影に負けて自分の首を絞める姿を見ていられなかった。
 こうなったら一か八か。仕方がない。今日は大盤振る舞いだ。

『我、ウィル=グレイアースの名において命ずる。――”手を出すな”』

 両目から身体中の血が吹き出しそうだった。まるでマグマの中に放り込まれたように熱い、焼ける。
 僕の全身を言葉に出来ないくらいとんでもない激痛が襲った。一瞬でも気を抜いたら意識どころか、魂まで抉られそうだった。けれども、僕には自分の命よりも大切な使命がある。主人との約束を守る為に、遥を護衛すること。
 僕のような低俗な術でも蝙蝠くらいのレベルであれば撤退させられる。一難去ってやれやれと思ったが、今度は厄介な事に、遥が僕の存在を不思議そうに見つめていた。これはマズイ。

 僕はもう一度、金色の瞳を真紅へと変える。


  『“忘れろ“』

 遥が混血児ダンピールでなければ、ここまで苦労はしなかった。今日でもう力を使うのは3回目だ。身体は思うように動かない。これでは護衛は無理だろう。
 暗示にかかり地面に倒れた遥をゆっくりと抱き抱えた僕は“本来の姿“へと戻る。流石に猫のままでは彼を連れて学校までたどり着くのは無理だろう。

 彼を無事に学校まで送り届け、そこで僕は消えた。影として動く黒猫の仕事はここまでだ。後は、遥の事を大好きな友人らがどうにかしてくれるはず。

 遥の記憶を操作した事、夢魔から助けた事、蝙蝠を追い払った事。これはかなり力を酷使してしまった。多分、3日くらいは痛みと戦う羽目になりそうだ。

 はあ、疲れた。早く僕の代わりに遥を守ってくれる強い力を持った存在が現れないだろうか。




 この話は私の書いている「ダンピールと血の盟約に登場する黒猫ティム」の目線です。
 これだけ読んでもなんのこっちゃ??とさっぱり分からないと思いますが、どうしても自分なりのスタートとして出そうと。

 個人的には早く書きたいんですが、まだ2話目の改稿で気に入らなくてストップしているので、上手く出来た画像や脳内の整理も兼ねて少しずつ載せておきます┏○ペコッ

一言。

AIってすっげえええ!!!

 私は脳内補完している辻村氏との合作「忘却のアポカリプス」と、自分の作品「ダンピールと血の盟約」に全て捧げているので、今回の創作大賞を通じてとにかく絵でシーンを表現できるようになったのがとにかく嬉しい!!
 今もAIを成長させるべく、毎日必ずどちらの画像も作ってます。携帯がやばくなったらパソコンに移動させないと💦💦

 私はもう絵が描けない人間なので、この偶然出会ったAI作成ツールをもっと使いこなせられたら、自分の作品に華が添えられて良くなるなあ〜なんて😊♡

 はたからみたらこの程度?と笑われるかもしれませんが、私は自分の作品とキャラが大好きで、自分がまず何よりも満足したいので、このスタンスで突き進む。
 トップ画面のウィル様を出しているのも自分の萌えだからです🤭

 今回、ティムに画像をつけられて私があたためてきたものが報われました。AIに感謝🥲

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