Netflixで見れるナイジェリア映画を全て見た私が全力でオススメするナイジェリア映画10選
「なんだこれ、クオリティ低い、つまんない…」
私が初めてナイジェリア映画、通称Nollywoodを見た時、そう思いました。
「でも待てよ。私は今、大学院でアフリカ政治を勉強しているぐらいアフリカが好き。それなら、きっとナイジェリア映画も好きになれるはずだよね?」
半ば強制的にナイジェリア映画を好きになるため、2本、3本、、10本、、、と見続け、ついに18本目。Netflixで視聴可能なナイジェリア映画は全て見終わっていました。(2020年9月15日時点)
結果、私はナイジェリア映画が大好きになっていました。でも、これまでの映画の好きとは少し違うんです。この作品、この女優が好きの"好き"ではない。まるで子供の成長を見守っているかのような "好き"。私は、ナイジェリアの映画業界全体を好きになっていたのです。私は沼にハマってしまいました。この魅力を、友達や周りの人に布教したくなりました。
それに、Netflixの説明だとナイジェリア映画の良さを説明しきれていないと思うのです。怖い映画に見せかけて「はい、残念!コメディ映画でした〜!」とか、ざらにあるんです。
よく、第1印象が重要っていうじゃない。はじめて見るナイジェリア映画がつまんなかったら、その人はナイジェリア映画を一生見ないかもしれない。だから、はじめてのナイジェリア映画は自分にあったナイジェリア映画に巡りあってほしい。それが、このnoteを書いたきっかけです。初note。お手柔らかにお読みください。一人でもナイジェリア映画を見る人が増えることを祈って。以下、Nollywoodを全く知らない方でも楽しめるよう心がけました。
1. イソケンと二人の王子様 / ISOKEN (2017)
オススメ層:恋愛映画・女性向け・フェミニズム・アート好き・蜷川実花作品が好き・将来ナイジェリア人と結婚したい
普通の恋愛映画に見えて、実は挑戦的な映画なのがこちら。34歳未婚女子。早く結婚しろムードが漂う。そんな中、主人公・ISOKENは2人の男に会うのです。一人は、名家出身ナイジェリアボーイ。もう一人は、オイボ (oyibo)。オイボは、ヨルバ語で外国人を指します。外国人・オイボとの恋愛ってナイジェリアでも非常に論争的らしく。「いいじゃん〜」層もいれば、「白人と付き合うって植民地主義感じるし劣等感を感じて嫌だ」層もいる。そんな外国人との恋愛に真っ向から挑む、挑戦的ナイジェリア恋愛映画なのです!!!
他の見所は、映画の色彩。アフリカの美術品、衣装、部屋のインテリア…ナイジェリア版の蜷川実花?!と思いました。実際、若い女性監督による映画であり、ナイジェリアの銀行Bank of IndustryのNollyfundから資金を調達しているため、細部にもお金がかけられている。(低予算映画が目立つナイジェリア映画ですが、近年映画にお金をかけるようになっているそう。)
最後に、気をつけるポイントがあります。映画の登場人物を覚える時、髪型で覚えていませんか?それ、ナイジェリア映画ではアウトです!女性はみんなウィッグ着けるので、髪型変わります。ショートカットの次の日にサラサラロングヘアになるのです。顔を覚えましょう!!顔を!
2. 北へ / Up North (2019)
オススメ層:コメディ・ナイジェリアの田舎を堪能したい・とにかく元気になりたい・イスラム教に関心がある
題名の通り、ラゴスから北へ1000キロ、舞台はバウチ(Bauchi)です。田舎です。ナイジェリア人は、大学卒業後1年国に奉仕するNYSC(National Youth Service Corps)というプログラムが実際にあるのですが、それに参加することになった主人公。その行き先がど田舎・バウチなのです。
バウチはどんなところ?バウチは、ムスリムの多い地域なので、バウチ女子は大体ヴェールを被っています。そして年に一度盛大なお祭りがあります。(下記参照)映画シーンにも出てきますが、そのシーンは圧感です。
「北へ」を見ていると、バウチが同じナイジェリアの国って事を忘れそうになります。だって、ナイジェリアって200ともいわれる多民族国家で、言語も宗教も何もかも違うから。実際、Editi Effiong監督は、ナイジェリア人が他のエリアの事を知らない事に問題意識を持って、映画を作ったのだそう。(下記参照)
“I thought, how can I show the country to the rest of the country? Nigerians don’t travel; we don’t understand each other. I have been tweeting and writing about Nigeria for long, nobody cares. So, I figured film is much more powerful. That’s why I went for it.”
監督の目論見通り(?)、私はこの映画をみてバウチに行きたくなったよ!!!まあ、その前にナイジェリアに行きたいけどね!!!
3. ライオンハート / LIONHEART (2018)
オススメ層:ナイジェリアの中都市・ビジネスマン・強い女性・部族の違いが気になる・特にイボが気になる
今度の舞台はラゴスから東へ600キロ、エヌグ(Enugu)です。この映画、色々と話題になった映画。まず、ライオンハートの放映権はNetflixが購入。しかもナイジェリア映画初。Netflixお墨付き映画とでもいう事ができるでしょうか。次に、これは、2019年アカデミー賞外国語映画賞にナイジェリアの映画としてノミネートしました!しかし…映画がほぼ英語という理由で失格。(いやいや、あんたら歴史勉強した?イギリスが植民地支配したから英語使われてるんやろ?しかも、言語も違う部族ごちゃまぜエリアをナイジェリアっちゅう一つの国でまとめたから英語使われてるんやろ?)そう私は心の声で叫んでいました。
映画のあらすじは、敏腕女子が、パパの会社をおじさんと一緒に立て直していくストーリー。そして、みどころは部族の違いです。ナイジェリアは主に、ヨルバ・イボ・ハウサ族で構成されていますが、イボとハウサがフィーチャーされています。特に、ナイジェリア映画には、イボ語のコンテンツが少ないらしく。イボ推しにはたまらない作品。Netflixお墨付き映画なので、面白さはしっかり担保されていますよ〜
4. アービトレーション: 交差する視点 / The arbitration (2016)
オススメ層:ビジネスマン・スタートアップ好き・裁判・セクハラ裁判・謎を解きたい
写真や説明文から、裁判沙汰になってそうだし、泥沼恋愛映画かな…と思っていたんですよ。違った!!!恋愛面も見所だけど、私はそれよりも裁判を通して明らかになる、スタートアップ系の会社事情に夢中になってしまった。どんどん事実が明らかになっていく…最初はクズメンヘラ女にみえた主役のダラが…実は…。ストーリーのテンポもよくてオススメです。
あと、映画ではセクハラが起きたのかどうかが争点になっていますが、セクハラ裁判って万国共通で証明するの難しいじゃないですか、たぶん。それをどう証明するのか?という点も見所です。
5. ウェディング・パーティー / Wedding Party (2016)
オススメ層:ナイジェリアを知りたい・女性向け・ウェディングが好き・部族の違い気になる
これたぶんね、あんまり面白くないと思うんですよ。日本人にとって。というのも、ナイジェリアは主に、ヨルバ・イボ・ハウサ族で構成されていますが、この映画の見所は、違う部族同士の結婚。部族の違いがさまざまな問題を引き起こしているわけです。でも、部族毎に見た目で違いがあるわけじゃないし、ふーんって思うかもしれない。あんたをヨルバにやりたくない!イボにやりたくない!といわれてもイマイチピンとこない。
でも、なんでオススメするかって?それは、この映画、ナイジェリアで一番人気映画なんです。圧倒的。キャストもオールスター感満載。お金もかかってます。ナイジェリア人ってどんな映画が好きなんだ?答えはこれです。ナイジェリアを理解したい人にお勧め映画。
そういえば、花嫁友達にイギリス人(白人)が一人まぎれているんです。まあ、それは置いておきます。
6. ウェディング・パーティー2 / Wedding Party 2 (2017)
オススメ層:女性向け・ウェディングが好き・ドバイ好き・将来ナイジェリア人と結婚したい
上記の、Wedding Partyは爆発的なヒットになります。ということで、第二弾!!!!Wedding Party2です、いえーーーーい!!!!
私は、Wedding Party2のほうが好きです。なんでかって?そういえばさっき、花嫁友達にイギリス人(白人)が一人まぎれているんですと言ったじゃないですか。今度は、そのイギリス人が主題になった!そして、イギリス人とナイジェリア人の結婚に主題が変更!これなら、少しは共感しやすくなったでしょ?ね?もし自分がナイジェリア人と結婚したらこうなるのかな〜?って想像も膨らませられる。
そして、見所は、なんとね、ナイジェリア映画、ドバイ進出!!!すごい!!!Wedding Partyで手にしたお金をつぎ込み、なななんとドバイで撮影!!!!!お金、かかってます。
ちなみに、なぜドバイか?それは、ナイジェリア人ってドバイ大好きなんです。入国しやすいって理由もあるらしいですが。実際、私もドバイに行った時、アフリカ系の人が多くてびっくりしました。まあ、日本人にとってのハワイが、ナイジェリア人にとってのドバイって感じじゃないでしょうか。
7. キング・オブ・ボーイズ / King of Boys (2018)
オススメ層:見応えある映画・集中してみたい・ナイジェリアを知りたい・私が一番好き・警察・ビジネス・汚職・泣きたい
私が唯一泣いたナイジェリア映画。こりゃすごい。まず、Nollywoodは90分ぐらいの作品が多いのに、この映画は、3時間!!しかも、全然飽きない!!コメディ映画に溢れたNollywood業界に、社会風刺系の重たい映画を差し込んだ、ナイジェリア映画のタブーに取り組んだ映画なのです。
ストーリーは、貧しい家の出の女の子が、ナイジェリア社会で不正、殺人、賄賂、汚職…もういろんなことして、のしあがっていくのです。主役は上記のおばちゃん(Sola Sobowale)。なんかもうね。憎めないの。人間なの。しょうがなく賄賂とかあげて、悔やんで、嫌われて、神しか頼れず、、。起承転結になっているので、見た後のスッキリ感もあります。
監督は、大ヒット映画Wedding Partyの監督でもあったKemi Adetiba。そして主演女優親子もWedding Partyで親子役をそのまま起用。この映画も、ナイジェリアで大人気です。
8. モカリック 修理工とボクの一日 / Mokalik (2019)
オススメ層:子供と一緒に・心温まるヒューマンドラマ・中間層が主体・ほっこりしたい・車好き
恋愛映画あんまり好きじゃないんよね〜家族絡みの心温まる映画好き〜〜そんなあなたにオススメの映画がこちらです!ある一人の少年が、車の修理工場の見習い工として1日働きます。ラゴスのキラキラお金持ち達に飽きてきた、もっと庶民的な映画が見たいって方はよいかと。自動車修理工場について私はまったく持って知らなかったから、主人公と一緒に自動車の仕組みを勉強していました。ほっこりほっこり。
9. メリー・メン ~ヨルバのアウトローたち~ / Merry Men: The Real Yoruba Demons (2018)
オススメ層:男性向け・ドキドキハラハラ・強盗・ナイジェリアの政治・ナイジェリアイケメンを見たい
ナイジェリア版オーシャンズといったところか。4人組ボーイズ、メリーメンがナイジェリアの不正義を倒すぞ!という内容。舞台は、首都・政治の中心アブジャ。(ナイジェリア映画は経済の中心地・ラゴスで撮影されることが多いのだけど、今回はアブジャ!)
まあとにかく、この予告編みてください。ドキドキハラハラしそうでしょ?
こちらも人気映画で、メリー・メン2も上映するそうです。余談だけど、外国人の顔ってなかなか覚えられなくない?私にとって、この映画レベル高かった〜。4人みんな同じ顔に見えた〜。何回か巻き戻して顔確認した〜。ですので、「映画は巻き戻さない主義」みたいなプライドは捨てて、巻き戻しましょう。巻き戻さなくても問題なかったアナタ、尊敬です。
10. アミナの運命 / Azali (2018)
オススメ層:児童婚・ガーナ好き・スラム街の生活・貧困層
おいおい、ガーナ映画もあるんだぞ!と言われる気がしたので、ガーナ映画も。2019年アカデミー賞国際長編映画賞にガーナ作品としてノミネートされた映画です。ガーナ北部の田舎に暮らす14歳の女の子が70歳に結婚させられそうになったら、ブルキナファソに送られそうになって、逃げだし、アクラ(ガーナの首都)で生活をし、故郷へ戻ろうとするストーリー。もうこの説明が情報過多で、重いよね。でも、映画の中身は、もっと壮絶。見終わった後、やるせなさしかありませんでした。オススメ。
その他のNetflix視聴可能映画
上記10選にいれなかったけど、やっぱり語りたいので、省エネモード、早送りで語ります!!!そして、それぞれの映画に、私なりの賞を与えてみました!
11. 誘拐計画 隠された真実 / Gbomo Gbomo Express (2015)
「一見怖くみえて全然怖くなかったで賞」
なんか下の写真の男性、顔に大きな傷あるし、怖そう…って思うじゃん。私も怖い映画だと思っていました。でも、あれ、そんな怖くない。てか、面白い。あと、題名に「隠された真実」ってある通り、隠された真実があって、盛大に騙された私。えええ!って驚いて、2回目見ました。
12. 昨日への道 / Road to Yesterday (2015)
「ナイジェリア映画なのに暗いで賞」
ナイジェリア映画は基本明るい映画なのに、この映画は全体的に暗雲立ちこめる感じ。レアです!!!ちなみに、最後にどんでん返しあって私はビックリしたよ!!!
13. ラブ・トライアングル in サンシティ / 10 Days in Sun City (2017)
「度を超えた金持ち男、怖かったで賞」
こちら、金がかかってる映画です。なんてったって、舞台はサンシティ(南アフリカ)なんだから!内容、面白かったけど、ナイジェリアについて語りたかったので、長い説明省略しました。ちなみに、この映画、ナイジェリア内でも人気です。
14. ポテトの言い分、ポタトの主張 / Patato Potahto (2017)
「お金ないのに頑張ったで賞」
これは、ガーナ × ナイジェリアという多国籍映画!!!レア!!!正直私にはそこまで面白さは分からなかったのですが、舞台がほぼ一つの家で構成させているわりには、すごく面白いと思います!きっとお金なかったんだろうな!
15. 50 / Fifty (2015)
「ナイジェリアの50代女性セクシーで賞」
ナイジェリア版Sex and the city。50歳のキラキラ・ラゴス女子4人をもとに話が展開していきます。実際、Sex and the cityに感化されて作ったんだろうなと思う。面白かった。
16. チーフ・ダディ ~あんたの父親は誰?~ / Chief Daddy (2018)
「なぜそこまで人気なので賞」
これ、正直そこまで良さが分からなかったのよ。題名からしてクズ男映画。だけどね、ナイジェリア映画ランキング歴代3位なの!みんなどこのポイントが好きなの?教えて!!!ナイジェリア人!!!!
17. ラゴスの富豪たち / The Bling Lagosians (2019)
「金持ちってどうしてみんなパーティーするので賞」
ナイジェリア版Gossip Girlといえるだろうか。金持ちLagosian(ラゴシアン)の暮らしを堪能してください。スイス産の高い布とか外車、腕時計いっぱいでてきます。
18. 恋愛プランナー / When Love Happens (2014)
「どこの国にもこういうストーリー絶対あるで賞」
こういうストーリー、ああ恋愛って世界共通だわあって思うんだよね。まあ見たら分かります。主人公のお顔がなんともいえない愛くるしさで顔が頭から離れない。
おわりに 〜ナイジェリア映画を楽しくみるために〜
こんなにオススメしてきたけど、「ナイジェリア映画!Nollywood!最高!ナニコレ!大好き!」という衝撃を覚えるような面白さはないと思うんです。
だって、みんなパラサイトとか普段から面白くてお金かかった映画に見慣れているでしょ?ナイジェリア映画はお金ないし、役者の数も多くないし、勝てるわけないんですよ。(ちなみに、最近はナイジェリア映画、ノリウッドが熱い。Netflixがナイジェリアに本格的に進出したし、中国のHuahua Mediaという会社も共同で映画をつくることに。ナイジェリア映画は最近になってお金をかけるようになったり、これからなのです!!!)
いずれにせよ、ナイジェリア映画を楽しむ秘訣。それは、我が子をみるようにナイジェリア映画をみること。「すごい。伏線あるじゃないか!騙された!!!おお、ドバイまで撮影いったんだね!」といった具合に。つまらなかったナイジェリア映画だったのに、全て愛しく思える時が来るのです。
もう一つのナイジェリア映画を楽しむ秘訣。それは、ナイジェリアという国を楽しんで欲しい。当たり前だけど、ナイジェリアのカルチャーは日本と全然違う。価値観、恋愛観、親子世代の価値観のズレ、貧富の差、衣食住、、内容が少しつまらなくても、例えば部族の争いとか、新しい発見がきっと待ち受けているはずです。
アメリカの映画でも黒人がフィーチャーされた映画は無限にあるけど、白人 vs 黒人の要素が強調されていることが多いと思うんです。でもナイジェリア映画、ノリウッドはそんなことない。純粋にアフリカ大陸から俺たちで映画作ってきたぜ!!!って感じるの!!!燃えるね!!!!
そして、10作品を越えてきたあたりから、ナイジェリアの女優、既視感ある方ばっかりになります。「ああ、あなたね、知ってるよ」と。レパートリー少なすぎてこっちが心配になります。例を挙げると、Adesua Etomiさん(下記インスタ・右)。なんと、18作品中、6作品出ています。しかも全部主役級。どんだけ!ってこっちがいいたくなる!あなたに遭遇しすぎて、ちょっと気になっちゃって、インスタもフォローしたわ!
最後に、ここまで読んでくださってありがとうございました。本当に嬉しいです。もう後は、ナイジェリア映画をみるだけですね。え?結局何みたいか忘れたって?じゃあ、とりあえず、キング・オブ・ボーイズみてください。長い映画は嫌いだって?じゃあ、ISOKENみてください。恋愛映画、嫌いだよって?じゃあ、ライオンハートみてください。ここまできて実はナイジェリアが嫌いだって?じゃあ、アミナの運命みてください。とにかく元気が欲しいって?じゃあ、北へをみてください。まあ、とりあえず、すぐに見なくても、ウォッチリストには入れておきましょう。
そして、ここまで盛大なる知ったかぶりをしてきましたが、私はナイジェリアに行ったこともないし、そこまで詳しくないので(大学院での研究対象は1910年代のケニア)間違ったこといってたら、是非是非教えてください!それでは、Filmarksのコメント欄でまた会いましょう!