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闘鷲降臨〜2020-2021 #FE名古屋 川辺HC澁澤ACシーズン中間インタビュー Vol.2

中間インタビュー、後半です。大ボリュームの後半戦への決意、ご確認ください。前回は↓

3.後半戦に向けて

-思わぬ形で中2週間と大きく試合間隔が開きました。選手が入れ替わったところでまとまった時間が得られたのはプラスに捉えたいところですが、中間の調整はいかがでしょうか

川辺HC(以下、川)
 一部コンディションの問題を抱えた選手がいたのはもったいなかったですが、概ね強度の高い、良い調整ができたと思います。

-後半戦はこのメンバーで、「B2で一番長く、最後までバスケをすること」が目標になってくると思います。そこに向けて、川辺HCは何が必要と考えていらっしゃいますか?


 大筋として、チームがやることは大きく変わりません。ただ、攻撃にせよ守備にせよやれることの引き出しは増えていますし、課題の「アジャストへのアジャスト」についてもかなりできるようになってきています。
 あとは攻守ともに「あと一歩の質」を大事にしていかなければと感じています。そうすることで、一桁の点差で進むような試合を自分たちに傾けたいですね。

 渡邉GMとも話をしたんですが、このご時世だといつ(コロナの影響で)シーズンが終わってしまうか分からない。その中で一つでも上のポジションにいることが必要だと、一つ一つの試合を大事にと言い続けています。

-アジャストへのアジャストという言葉が出てきました。先程の話を考えると、2日目に中を固められた時に外のシュートが思うように入っていない、という部分も大きいと感じますが、そういう精度の面はどうお考えでしょうか。


 データ上もオープンでの3ポイントは打てているんですが、それが入らないとなかなか相手の守備が広がっていかないんですよね。そこは速い展開に持っていくとか、色々なことを考えていかなければいけないし、オープンでは打ち続けることも必要です。
 また、日本人選手のペイントタッチは増やしていきたいですし、例えば茨城のようにPnRをオールスイッチで守られると日本人ハンドラーを相手外国籍ビッグマンが守る形でスピードのミスマッチが発生する、そういうところを攻め切らなければいけない。後半戦はそういう成長に期待したいです。

-シュートという面ではコンディションが上がってきているように見える飛田、目に見えないプレーだけでなくドライブの意識も強くなった鹿野にかかる期待も大きいと思います


 飛田はゲームに対する勝負勘の素晴らしい選手で、シュートを撃ち続けられるメンタルもあります。また昨季あたりから少しずつハンドラー的なプレーもできるようになってきました。守備で少し動けてなかったのがネックだったのも解消できつつあるので、後半のキーになってくると思います。

-飛田と鹿野の双方のプレー強度が保てるくらいに起用できるのが理想ですよね


 鹿野はすごく信頼している選手なので、少し頼り過ぎているきらいもあるのですが、やはりコート上にいてくれると点数以上に結果を出してくれる選手なんですよね。
 もちろんエースの杉本、ここぞという時にチームを助けてくれるキャプテン宮崎も常に結果を出してくれる選手なので、当然の期待はしていますが。

-話は変わりますが、先程も触れた通り、今季はゾーンディフェンスを敷くタイミングも増えています。ある意味では苦肉の策であったとも思う反面、思った以上の成果も出ていると見えますが、この辺りはこのバイウィークでも練習しているんでしょうか?


 そうですね、おっしゃる通り、弱点を隠すための策という側面もあったんですが、相手が上手く戸惑ってくれたこともあり効果を発揮してくれました。前半戦で少しずつ相手にアジャストされたところもあるので、このバイウィークはその辺りはさらにブラッシュアップしています。…今日は澁(澁澤AC)がほとんど喋ってないので、その辺りは澁に喋ってもらいましょうか(笑)

-では澁澤ACに聞いていきたいと思います。ゾーンのブラッシュアップという話がありましたが、選手の入れ替えによる機動力向上、あとは速い攻撃、というキーワードはゾーンディフェンスの特徴とも噛み合ってくると思いますがいかがでしょうか?

澁澤AC(以下、澁)
 そうですね、ゾーンは常にポジショニングが決まっているので走るコースが整った速攻を出しやすいという利点があります。特にソウ(シェリフ)のような走力のある選手を活かしやすいのは攻撃にも影響していると思います。
 ゾーンで守るときにも、ゾーンの時は相手の攻撃はここがポイントになる、ということを事前に準備して臨んでますが、今季の特に1日目はそこが特にうまく行っていると思います。

-ゾーンの時、相手チームがかなり戸惑ってますよね


 選手がこちらの教えたこともうまく使ってやってくれてると思います。特に1日目はまだ元気がある状態なのも大きいですね。
 僕はあまり1日目2日目という意識は強く持ってはいませんが、コンスタントに力を発揮する上で、特にベンチメンバーにはさらに期待したいと思っています。そのあたりでチーム力が上がればさらに面白くなりますし、荒川選手土家選手の加入でいい流れになってきていると思います。

-普段の練習の強度は大事ですよね


 そうですね、特にこの中間の練習は若手が頑張ってくれていてとても質の良い練習になっていると思います。疲労がある状態での練習ではベテランだと詰められない一歩が若手なら詰められます。その積み重ねでいい強度での練習ができたと思います。

-渋澤ACは、自分よりも年上の選手がいる中でのコーチングにはなりますが、やりにくさというものはありませんか?


 ないですね。このチームはすごくやりやすいです。素直な選手が多いですし、宮崎選手や鹿野選手は年上になりますが、裏方に回ってくれるというか、コーチ陣をいい形でフォローしてくれているので、そこでやりにくさを感じるということはないです。

-これまでのFE名古屋の傾向として外国籍選手も素直な性格の選手が多かった印象ですが、今年の選手たちはどうですか?


 すごくバランス取れていますし、コミュニケーションも取りやすいです。JT(ティルマン)なんてコミュニケーション取りすぎなくらい取っています(笑)。


 JTは練習を止め過ぎ(笑)


 練習中でも、気になったことがあるとすぐにコーチとでもメンバー同士でもコミュニケーションを取るリーダーシップのある選手です。フィッツは独特の視点とコートビジョンがあるので、特にオフェンス面でよい提案をしてくれます。

-JTに関してはベンチでも一番しゃべっているくらいですよね。JTは試合に出たがるタイプだと思うのですが、コントロールに困ることはないですか?(笑)


 たまに交代を断られますからね(笑)。それでも交代した方がいいと思うときは交代させますが、もう少しやりたいのかなあというときは出したりしますね。

-交代の指示を出す前から大丈夫だというジェスチャーをするときもありますからね(笑)


 出たがりですね(笑)。去年のジョシュやベンも交代したくないというタイプの選手でしたが、今年で言うとJTも相当出たがりですね。最初よりもJTはすごくフィットしてきたというか、システムの中に入り込んでくれたので、すごくよくなっています。

-そうですね、ここ最近はいい形でJTを絡めたプレーというのが増えて点が取れている印象ですが、逆にそれに頼りすぎてJTの体力を削っている部分もあるのではないかと思いますが


 2日目にガクンといくときありますからね。

-JTもベテランですからね


 前に澁澤ACも言っていましたが、2日目のJTのペイントタッチが減っているというデータもあるので、チームでそれをどう補っていくのかが課題だと思っています。


 2日目はファウルをもらう回数が減りますね。

-上手く相手からファウルを引き出すというのもJTのいいところなのですが、そういうプレーってどうしても体力を消耗しますよね。一方で、フィッツについてはどうでしょうか?ここ最近は終盤のプレーも向上している印象もありますが


 元々オフェンスではズバ抜けた能力を持っている選手で、ボールを預ければ点を取ってくれる選手ではあるのですが、ディフェンスのところで課題があるということで、中盤にプレータイムが減った時期があって。
 それについて本人も悩んでいたのですが、面談等を通して話をしているうちに、本人としてもディフェンスを頑張らなければという意識が根付いてきたのかなと。

-なるほど。想像ですが、ウォルドーに代わってローソンが入ったことで、パワーのある選手を守るのはフィッツの仕事になってくるのかなと。また、仙台戦を見ていて、外国籍選手のマッチアップをかなり気にしていたのかなと思ったのですが、その辺りは意識されていたのでしょうか?


 そうですね。今は、相手の誰が出ているときはゾーンで守りたい、誰に対してはこちらは誰をマッチアップさせたい、というのを事前に話してから臨むようにしています。

-そういう意味では仙台戦はジェイコブセンをファウルトラブルに追い込めたのは大きかったですね


 めちゃくちゃ大きかったです。1試合目はそれが勝機だったと思います。

-それに関していえば、1試合目はシェリフが頑張った印象がありましたが


 シェリフはディフェンスで貢献してくれました。また、あの試合はJTのポップからの仕掛けをジェイコブセンが止められなかったという印象があります。で、2日目はそれが激減してしまったというのが敗因かなと。

-なるほど。それに関連して1試合目と2試合目の話になりますが、2試合目に勝てないという言い方をするとネガティブな印象がありますが、1試合目にこれだけ勝てているというのはポジティブに見ることもできると思います。2試合目については、後はベンチに控える若手選手たちの突き上げがどのくらいあるのかということになってくるでしょうか?


 あとは、我々コーチ陣も練習からどれだけ2試合目を見据えた準備ができるのかだと思っています。実際のところ、1日目だからどうだ、2日目だからどうだというのはあまり意識していなくて。どうしても周りからは言われるのですが、一戦一戦を戦った結果だと思っているので。ただ、ここまで数字に表れていると何か関係はしていると思いますし、それに対して準備をしていきたいなと思います。

-コーチの皆さんがどのような準備をしてきたのか、我々もそれをコート上から読み解くのを楽しみにしています。話は変わりますが、ウォルドーが抜けたことで、オフェンスが停滞した時間帯の彼のポストプレーという選択肢が一つ減ったことになると思います。去年の序盤戦にも、ここぞというときに点が取れる必殺技のようなセットが欲しいということを川辺HCがおっしゃっていた印象があるのですが、今後そういったものを作り出せそうな手ごたえはありますか?


 そうですね…。現状はまだですが、そこにはしっかりフォーカスしていきたいなと思っています。去年も言いましたが、バスケットでは、去年であればクリスのような楔となる選手がインサイドにいて、ピック&ロールや3Pから点が取れない時間帯にペイントエリアで優位を作れるというのはすごく大きいと思っていて。ゴールに近いところで、点を取れる選手がいるというのは相手も嫌だと思いますし。なので、どうやってペイントエリアで点を取るのかというところは追求していきたいと思っています。

―後半戦でその答えが見られるのを楽しみにしています

4.最後に、ブースターの皆さんへのご挨拶

-それでは、インタビューとしては以上としまして、最後に皆様からファンの皆さんにメッセージをいただけますか?まずは川辺HCからお願いします。


 もう至るところで言っていることですが、まずはバスケットができていることに感謝して、日々成長しながら、60試合終わったときに笑顔で終われるように。もちろんB2優勝B1昇格できるように一生懸命練習していきますので、一緒に最後まで戦ってください。

-ありがとうございます。それでは澁澤ACお願いします。


 コロナが流行りだしてきてシーズンがどこまで遂行できるのかという不安もありながら、ここ2週間はバイウィークという形で準備をしてきました。チームスローガンのLoveTheGameに尽きると思うのですが、我々コーチ陣は試合でよりクオリティが高いものを提供できるように、そして選手はそれを実践できるように、そういう時間の過ごし方をしています。バスケットボールをエンターテイメントの1つとしてファンの皆さんに提供できるようにすることがLoveTheGameであり、仕事の1つだと思いますので、残りの試合に気持ちを向けて頑張っていきたいと思います。

-ありがとうございます。我々もそれぞれできる限りのサポートをしていきたいと思いますので、最後にみんなで笑えるように、残り32試合、そしてその先(プレーオフ)までよろしくお願いいたします。

編集後記

 2回にわたって、バイウィーク中の取材結果をお届けしました。このインタビュー後の勝敗は2勝3敗と結果こそ苦しい部分もありますが、群馬戦の2戦目は、後半戦に向けての光が見えたように思います。その光の源がなんであったかが少しでも見える記事になっていればいいなと、そう思います。

 今回の取材の実現にあたり多大なるご尽力を賜ったクラブ関係者の皆様、なかでも坂口元代表。そして、サブインタビュアーとして私にない視野、着眼点を提供してくれたカブレラ氏に、この場を借りて感謝申し上げます。

 次回はシーズン終了時になるでしょうか。「Last Team Standing」としてインタビューできる日を楽しみにしています。実現しますように。

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Nacky a.k.a. 青井高平
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