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祝・プレーオフ初勝利☆(20-21Playoff Q-F game1)#FE名古屋

3年ぶりのプレーオフの舞台。

空回り気味の攻撃とバッツに悩まされた守備の1Q

 FE名古屋は横江杉本鹿野フィッツローソンがスターター。現状のベストメンバーといえるでしょう。
 一方の越谷は畠山長谷川田村ブラッキンズバッツ。過去のスタッツを見てもSFの人選には苦労しているようで、今日は田村をスタートに。

 序盤戦、最初にリズムに乗ったのは越谷。ブラッキンズのシュートタッチが良く、気分良く得点を重ね、落としてもバッツがいるという二段構え。FEはまずは選手の入れ替えでリズムを戻そうとするのだけど、ゾーンを敷いた一発目でトップからブラッキンズに3Pをヒットされて10点差になり、たまらずタイムアウト。

 タイムアウト明けは越谷も選手を入れ替え。バッツを下げて落合とヒンクルを投入。いわゆる「機動力強化モード」。ただこちらも選手入れ替え明け一発目にスクリーンの対処を誤ってコーナーでJTを全くのフリーにしてしまい、3Pがヒット。そのあとはお互いに良くもないけど悪くもない3Pのシュートチャンスを決め切れずにポゼッションが移動。1Q最後は動きの鈍いバッツが外に出てこれないところを突いて松山が3Pを決めてなんとか点差を詰め、16-20で1Qを終了します。

バッツ対策をお試し、の第2Q

 越谷の機動力強化モードはあくまでオプション。本番はやはりバッツがインサイドに鎮座しているときにどうやって立ち向かうか。解説の松藤先生も仰っていましたが、この対策は大体の場合ダブルチーム、ブリッツになるわけなんですが、そのタイミング、誰が行くのか、方向にも種類があります。このQは序盤はショー、つまり行くフリで外へのパスアウトを中心にケアし、基本はマッチアップしている選手に任せる形で入りましたが、いきなりパスアウトからのミドル、1on1からのポストでアンドワンを献上。前半二つ目のタイムアウトを取らざるを得ない形になりました。

 タイムアウト明けのバッツ対策はベースライン側からのダブルチーム。かなりタイミングを見計らっていたことを見ると、ボールが入ったタイミングではなく、ドリブル、もしくはそれ以外のバッツの動作をスイッチとする形だったかもしれません(残6:30あたりの杉本の動きをみると、ベースライン側へのターンがキーにも見える)。この辺りはバッツはまだ余裕をもってボールを捌けていたため効果としては未知数でしたが、そこからの展開での相手のシュートが思うように入っていなかったこともあり、相手の攻撃を止めることにはある程度成功。

 攻撃面は相変わらず苦労していましたが、JTとフィッツを併用したこの時間帯は、少しずつピックアンドロール(PnR)からの展開でバッツをゴール下から動かすことに成功。杉本のレイアップ、鹿野のドライブからのフィッツの合わせなどでイージースコアを作ることに成功します。ただ、この時間帯はFE名古屋もここぞというところで外のシュートがヒットせず、2~3ポゼッション差のビハインドが続きます。

 ここでチームを支えたのが宮崎と飛田のシューター陣。特に宮崎は相手ゾーンをあざ笑うかのようなディープ3を決めてみせ、その後いったん追いつく時間帯を作り出します。最後1分ちょっとはファウルカウントの勘違いからの交代でやや守備が曖昧になったところを突かれて点差を戻されてしまいましたが、粘り強く戦った20分といえるでしょう。

 ひとつ素晴らしかったのは、これだけ粘り強く守りながら、相手に与えたフリースローはわずか1本にとどめたこと。集中を20分つづけた証です。FE名古屋32-36越谷でハーフタイムを迎えます。

お互いに少しずつ力みの取れた第3Q

 プレーオフ初戦ということもあって、お互いに力みというか、「(!)掛かり」という表示がそこかしこに見受けられたような前半(ウマ娘的表現)。特にその力みはお互いのアウトサイドシュートの精度に反映されていました。

 後半、FE名古屋は松山をハンドラーとして、PnRでカバーに出られないバッツの脇をアタックする形でスコアを重ねます。ただ、このQは越谷のオフェンスリバウンドの圧力に非常に苦労させられる形になりました。このQも2~3ポゼッションの差を詰められず、50-55でQを終えます。

緩みなくチームで圧力をかけろ、の第4Q

 なかなか尻尾を捕まえきれないFE名古屋。レギュラーシーズンではさんざん見た負けパターン。このQも一番初めのブラッキンズの3Pを止めきれず、ビハインドは限界水域の8点まで拡大します。

 勝負どころと見たのか、FE首脳陣はここで2つの賭けに挑みます。ひとつは、レギュラーシーズンどころか、5年間でも数えるほどしか見たことのない、古コートマンツーでのトラップディフェンス。動きのクオリティを見れば無論のこと準備をしてきたには決まっていますが、実戦投入して大丈夫か…という心配は杞憂に終わりました。むしろ越谷の戸惑いを引き出し、リズムを崩すことに成功します。

 もう一つは、このタイミングで何かのきっかけでやや暴走気味なプレーを始めていたエース杉本をベンチに下げ、この日そこまで全く出番がなかった荒川を投入したこと。若手に対する起用としては考えようによってはかなり鬼の形ですが、荒川は攻守で与えられた役割をしっかりこなすだけでなく献身的な戻りで決定的なスコアを防ぐなどの活躍を見せ、2分8秒+アルファ、杉本に休憩と、頭を冷やす時間を作り出しました。

 この2つの賭けに応えたのが松山でした。3P→3Pでファウルドローからの3本成功→3Pでわずか1分30秒の間に9点を積み重ね、ここでようやく逆転に成功します。

 この後はお互いにゴールを決めあい守りあう流れになりますが、ここでひたすらバッツにフラストレーションを与え続けてきた効果がようやく出てきます。インサイドでローソンがくっつき続けた効果もあってバッツのインサイドでターンオーバーが複数回発生。最終的にはローソンのドライブにファウルをしたことで4つ目のファウルとなり、バッツをコートから追い出すことに成功。前後して松山の速攻からの3Pで得点差を2ポゼッション差に拡大することに成功します。

 残りの2分はフリースローで得点を重ねながら必死の逃走劇。最後の反撃を試みる越谷もインサイドアタックを中心に1点差までは追い詰めるものの、タイムアウトを使い切った状態で残り3秒、松山がフリースローを2本沈めて3点差とし、最後の超ロングも空を切って試合終了。前回のプレーオフでは得られなかった勝利を、3年ぶりの出場でものにしました。

それは準備の勝利

 川辺HCもコメントでこう言っている通り、首脳陣が越谷に対していろいろな可能性を考えて選手にインストールし、それを選手たちが40分間緩まずに実行した、そういう勝利だったと思います。というか、どんな試合でも緩むことはある、というのがこの5年のFE名古屋のゲームだった印象が、ここまで緩む時間なく戦い抜くことができたのは初めてだったのではないでしょうか。強いクラブに、チームになっていくにあたり、はじめの一歩を踏み出せた、そういうゲームになったと思います。

 そして、本日のバスケットライブで解説されていた松藤先生のツイートが大変勉強になったので貼り付けておきます。ツリーになっているのでリンク先をどうぞ。

 また、バッツ対策についてカブレラくんとcyndiくんがそれぞれnoteを書いているのでそちらも。

 さあ、今日勝たないと意味がない、そういう日です。体力はどんどん厳しくなると思いますが、ハードに闘うところを見せてほしいですね。

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Nacky a.k.a. 青井高平
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