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闘鷲降臨〜2020-2021 #FE名古屋 川辺HC澁澤ACシーズン中間インタビュー Vol.1
悔しい悔しい敗戦から数日。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
ご存知の通り今季はコロナの影響でなかなかHCやACのお話を聞く機会がありません。が、先日偶然2週間試合がないタイミングが生まれてしまった際、思い切って取材申し込みをしたところ、快く受けていただけました。
5連戦の前のインタビューとなりますが、お読みいただければ幸いです。
1.前半戦について
-前半戦について、ここまでの手応えはいかがだったでしょうか?
川辺HC(以下、川)
どのチームもですが、コロナの影響で外国籍選手の合流が遅れ、チームの組み立てがままならないところからシーズンが始まりました。
また昨年からはだいぶ選手が入れ替わり、攻守共にやり直しの部分や、選手の活かし方については試行錯誤を続けているところです。その中でもシーズンが進むと共に、怪我人が出ながらも日々成長していけてると思います。
ただ、大事なのはこれからで、後半戦に向けてもっともっと高めていかなければいけない、そう感じています。
-特に外国籍選手は全員が入れ替わる形となりました。その活かし方についてはどう意識されていたでしょうか?
川
日本人選手は大きく入れ替わっていないこともあり、最初の方は同じシステムでやっていました。その中で、その形では(各選手が)活きる活きないがはっきりしてきました。
例えばあの3人にピック&ロール(※ボールを持っている選手の守備に邪魔になるようにボールを持っていない選手が動くプレー。以下PnR)のスクリーナーをやらせるにしても効果が出せるプレーがそれぞれ違い、昨年のジョシュ(ホーキンソン)やクリス(オトゥーレ)とも異なります。そういうところが少しずつこなれてきたように思います。
-攻撃面はかなりこなれてきた印象がある一方、守備面ではウォルドーとフィッツジェラルド(以下フィッツ)の機動力のなさが露わになるシーンも多かったように感じます。その対策からか、前半戦はゾーンディフェンスを敷くタイミングも昨季より増えたように感じましたが、この辺りはどうだったのでしょうか?
川
個人的にはゾーンに頼りきるのはあまり好みではないのですが(苦笑)。澁澤ACがゾーンの組み立てに精通していて、守備に寄与できるだけの自信があったこと、また機動力に欠けることでそのカバーとして頼らざるを得なかったこと、この辺りが要因だと思います。ただ、相手チームもハイポストをうまく使うなど攻略をしてきているので、後半に向けてはそこに対する対策なんかも進めていっています。
-ゾーンを組む時に顕著ですが、ティルマンが加入したこともあり、ソウ(シェリフ)を含めた3ビッグで戦う時間帯も増えているように感じます。この辺りの選手起用の方向性はいかがでしょうか?
川
正直なところ3ビッグをどう戦術に取り込んでいくかは非常に難しいです。ただ、昨季に比べると今季はティルマンが外寄りの選手ですし、またソウ自身も昨季より非常にハッスルしてくれているだけでなく戦術理解も向上しています。昨季は3ビッグをやっても小さく守られることであまり機能しませんでしたが、今季はそういう部分でバランスが良くなったと思います。
-話は変わりますが、序盤では林(瑛司)、最近ではジャワラ(ジョゼフ)など、若手にも出場時間が与えられています。彼らの働きはどのように感じていますか?
川
練習でどれだけ良いところを見せられるか、激しいところを見せられるか、といったなかで、その週良いところを見せてくれた若手には出場時間を与えてあげたいし、実際にそういうゲームプランを組んでいます。もちろん、ゲームの流れの中で出場機会を与えられない事もありますが、会田、林、ジャワラの若手は着実に力をつけています。これからさらに、ベンチにいる若手の実力をどう底上げしていくかは課題だと思ってますし、60試合、プレーオフを勝っていく上で最高の状態を作るためにも考えながら起用しています。
-このベンチの底上げ、とも関わるかもしれない話、かつ耳が痛い話になってしまうかもしれませんが、1日目に勝ちながら2日目に勝ちきれないことが多い今季の序盤戦になっています。要因は色々あると思いますが、この辺りはどう感じていらっしゃいますか?
川
単純にデータとしても出ていることで言うと、2日目は明らかにこちらのペイントタッチ(※ゴール下の制限区域に攻撃側がボールを持って侵入すること)が減るんですね。これは1日目の試合がうまく行った後相手がゴール下を固めることで発生しやすい。今季はそこでオープンになった外のシュートの確率がよくないこと、固められた中を攻めてもなかなかファウル、フリースローがもらえないことが苦戦の要因になっていると感じています。そこで日本人選手のペイントタッチを増やしたいし、そこは課題感を持って練習しています。
また、2日目に相手が変えてきたことに対してアジャストしていく、もっと言えばゲームの中で相手が変えてきたことにアジャストしていく、指示したところをしっかり体現していくチームビルドは今後もやっていきたいですね。ただ、うちのチームがこれだけこの問題で悩みつつも2位にいられている、というのはおそらくどのチームも同じ悩みを抱えているんだと思います。
2.ウォルドー離脱とローソン加入、そして新戦力
-さて、そんな中突如舞い込んできたのがウォルドー契約解除、帰国の報でした。この辺り、外から見てもずいぶん急な話に見えましたが、実際のところどうだったんでしょうか?
川
急でしたね。予兆も全くなかったです。月曜日に申し入れがあって、水曜日には飛行機に乗った、そんな感じでした。クラブとしてもあの発表はやむを得ず、でした。(※12/18に契約解除、帰国)
-そこからはフロントの動きが非常に迅速だったように感じます。ベンジャミン・ローソンの存在はその時点で想定されていたのでしょうか?
川
ベン(ローソン)が短期契約(※当時、京都と短期契約で契約時期の終了間際)だということは把握していました。コロナの影響で、海外から入国することも困難な状況で、日本にいる選手で考えなければならないという事情もありましたので、すぐにフロントに獲得のリクエストを出しました。
その後はフロント、GMの竜二さん(渡邉GM)が迅速に動いてくれましたし、京都のGMが私の一つ上の先輩で、すぐに電話してコンタクトが取れた、などのコネクションも活かせました。影響する期間を最小限にすることができたと思っています。
-さて、ウォルドーの後釜としてローソンが加わり、また指の怪我が長引きそうということでIL入りした会田の枠を活かすべく荒川と契約。さらに特別指定選手として早稲田大2年の土家との契約が発表されました。まずはローソンから伺いますが、このポジションが入れ替わったことでバスケとしては大きく変わるのではないでしょうか?
川
バスケとしては間違いなく変わるというか、攻守ともにアップテンポなものになると思います。また、2-3ゾーンの柱としては澁澤も歓迎しているのではないでしょうか(笑)
攻守ともPnR対応がしやすくなる一方、攻守両面でポストプレーの対応に課題があるのは昨季から変わってませんので、そこはチームとして組み立てていかなければいけない部分だと感じています。ただ、合流した時にまだ動けていない、コンディションが整っていないと感じさせる部分もありました。この辺りをどう上げていくかも課題です。他の2人との棲み分けも含め、これからですね。
-澁澤ACにお聞きしたいんですが、ゾーンの真ん中にローソンが入る効果は大きいのではないかと思います。この辺り、どうお考えでしょうか?
澁澤AC(以下、澁)
そうですね、彼はウイングスパン(※手を広げた長さ。ローソンは身長だけでなく腕も非常に長い)もありますし機動力もあるので、それを活かした守備とリバウンドで大きく貢献してくれると思っています。
-ローソンが加入したことにより、ハンドラーに期待がかかる部分が増えてくるように思います。そんな中、太朗(会田)の指の怪我によるインジャリーリスト入りもあり、荒川が加入することになりました。彼についてはいかがでしょうか?
川
仙台戦に松山と横江が怪我したのは本当に痛かったんですね(※11月のアウェイの節。その前節に松山が足を痛め不出場、かつ2戦目は直前に脚を痛めた横江がほぼ不出場)。
松山はシックスマンとして常にゲームの流れを変えてくれる選手として頼りにしてましたし、横江は開幕以来フロアーリーダーとして常にチームの柱でした。この二人の怪我により、杉本しかハンドラーがいない、となった時に、ハンドラーが必ず必要なうちのシステムとしては非常にまずい状況でした。
そこであと1人ハンドラーが必要、となり、さらに太朗がしばらく戻ってこれない、となった時にGMに要望をしたところ、彼をという話になりました。ここのところ成長も見られててすごく期待しています。
-今までのFE名古屋にはないリズムのハンドリングの持ち主ですし、サイズがあるのも特徴です。今は杉本のバックアップ的な役割が多くなっていますが、2番(シューティングガード)のハンドラーが適性というところでしょうか?
川
そうですね、そこでの起用で考えています。
-現状、まだまだプレーに迷いが見受けられるシーンもあります
川
まだ若さが見られるところ多いですよね、その辺りは少しずつバスケットを教えて行けたらと思っています。
-ややシュートにも迷いがあるように思います。この辺りはどう見ていらっしゃいますか?
川
「空いていたら打って欲しい」とリクエストをしています。慣れるのに時間がかかっていますが、チャレンジしてくれることを期待しています。
-今後に期待ですね。さらに早稲田大学から2年生ガードの土家が特別指定選手として加わりました。すでに練習にも参加していると思いますが、川辺HCから見て彼の評価はいかがですか?
川
大学2年生としては相当いいと思います!
-彼のここが良い!というのはどのあたりでしょうか
川
守備の強度も高いですし、指示したプレーの遂行力にバスケットIQの高さを感じさせますね。ただ初めのうちは得点を取れていたのがうちの選手も慣れてきて、高さの壁に今当たっている状態です。それでも、素直で吸収力があって日々成長しているのは素晴らしいですね。
-ハンドラーがカギのFEのバスケだと思いますが、出場には期待して良いですか?
川
良い動きを見せてますので、出番を与えたいと思っていますよ。(※実際に東京Z戦にはベンチ登録され、2試合出場。印象深い活躍を見せた)
(後半へ続く)
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