闘鷲降臨~福岡戦プレビュー(20-21GAME5-6)#FE名古屋
予習で試合を見てみたんですが、尖ってるなあって。
1.ライジングゼファーフクオカのアウトライン
B3から最短でB1昇格という天国からの、経営問題に端を発したB2行き、そして地区最下位という形での地獄行き。ジェットコースターのような浮き沈みのBリーグ生活の中、昨季途中からは秋田をB1に導いたペップことジョゼップ・クラロス・カナルスを再招聘し、立て直しを図っています。
その中で選手も僅か2名を残して総入れ替え。あまりに特徴的なペップバスケを体現できる選手を各チームから呼び集めました。残念なことにコロナ禍でペップ本人が来日できておらず、ACが代理で指導をしている状況ですが、その一方で外国籍選手3人は全員がシーズン前に合流。試合ぶりを見る限り、ペップの求める方針はしっかりと体現された上で、まずは3勝1敗と、幸先の良いスタートを切っています。
2.福岡、というかペップバスケの特徴
さて、次の画像をご覧ください。
これはBasketballnavi.DBさまのクラブスタッツ順位表の2節(4戦)終了時の状況です。さて皆様、この表の福岡の数字を見て、特徴的な数字を挙げてみてください。(1分/5点)
いかがでしょうか。数字を見慣れている方であればある程度似たところに着目されるのではないかと思います。僕が着目したのは以下の三つの数字です。
・PF=ファウル数の1試合平均34.5
・STL=スティール数の1試合平均11.8
・TOV=ターンオーバー数の1試合20.5
実際の試合での福岡のプレーぶりとこの数字を照らし合わせてみると、ペップバスケの明確な方針が見えてきます。それは、
・激しいディフェンスで相手にストレスを与え続ける
・そのためにファウルが嵩むことには目をつぶる
というものです。一般的に、バスケットボールにおけるディフェンスは「ファウルにならない範囲で激しい守備を行う」ことを志向するものです。しかし、ペップ率いるチームはファウルになってでも、そしてそのファウルが嵩んで相手にフリースローを与えることになったとしても、相手に自由にプレーさせないことを優先しているように見受けられます。
以前こんな話をblogで書きましたが、フリースローを相手に打たせることは、2Pや3Pを期待値の高いところで打たせるよりも期待値が高いのはデータにも表れています。しかし、ペップ率いるチームはそこを気にする素振りは全く見せません。フリースローを与えてでも、相手からボールを奪い、相手が不正確なプレーをすればお釣りがくる、恐らくそう考えているのでしょう。
その結果として、彼らの試合は自然とフィジカルで、落ち着きがなく、お互いにミスとファウルが多い試合になります。先ほどの表をご覧ください。ここまで4試合の平均なので分かりやすくなっていますが、先ほど挙げた数字は、福岡の対戦相手となった奈良、佐賀も同様に高くなっていることが分かるはずです。福岡が行うゲームの方向性に巻き込まれているわけですね。
「福岡は通常のバスケの文脈でプレーしているチームではない」
これを、試合を見る際には意識しておく必要があります。
3.冷静に、勇気をもって
では、FE名古屋が福岡に優位に戦うためにはどうすればいいか。それはまず大前提として、激しいプレッシャーに対して腰を引かない、これが必要です。
バスケットボールの判定基準として、リーガルなコンタクトによる圧力に負けて引いたプレーをしているときには、簡単にはファウルを吹いてもらえません。相手の激しいコンタクトをファウルとして吹いてもらうためにも、攻撃をしっかり進めるためにも、相手のプレッシャーに立ち向かわなければいけません。
その一方で、そういう相手の圧力に対抗していると、どうしても相手のペースに巻き込まれて自分たちのプレーも過剰に激しくなってしまいます。また、落ち着いて周りを見ることが出来ず、ミスがミスを呼ぶ展開になりがちでもあります。
前述したとおり、それは福岡のペース。そうならないために、激しいコンタクトに耐えながら、冷静に技術を発揮する必要があります。
以前B1でペップに率いられた秋田を見ても、今回の福岡を見ても分かる通り、このバスケを体現できた上で攻撃力を発揮できる選手の数はけして多くなく、技術と冷静さを持つチームにペースを落とし受け止められた時に打開する術を仕込めきれないのがペップバスケの大きな弱点と見ています。FE名古屋は、秋田に対して優位に立っていたB1の強豪チームのように、冷静に勇気をもって戦えるでしょうか。
4.まとめと試合スケジュール
バスケの文脈を共有しないことで優位性を取ろうとする、という意味で唯一無二の存在である福岡。FE名古屋は選手も監督もブースターも、煽り耐性を問われる2試合となりそうです←