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闘鷲降臨~日曜2ndハーフの落とし穴(20-21game16-17)#FE名古屋

今回は試合ごとの内容は雑感にとどめ、2か月経過したところでのFEの現在地などを考えてみます。あ、辛口になるのでテイストが合わないと思ったら回れ右な。

Game1 FE名古屋 69-58 福岡

とにかく荒さで粗をつくってカオスに持ち込みたい福岡に対し、スローペースで対抗。結局のところ要らないターンオーバーを多く喫した分差は開きませんでしたが、大人のバスケでの勝利と言えましょう。

Game1 雑感

杉本…6.0攻撃では突破口を、守備では福岡相手のゾーンの要、前の2のポジションで素晴らしい出来栄え

フィッツ…5.5最低限やってほしいことはやっていた印象

横江…5.5怪我の影響で長時間は使えなかったが、後半あれだけやってくれただけで十分

ティルマン…6.0ややミスは目立ったが、ミスマッチもうまく生かしてファウルをもらいチームを支える

鹿野…6.5個人的MOM。攻撃面もだがゾーンの前に置いた時の運動量と受け渡しの賢さが素晴らしい

ブラッド…6.0機動力には難ありも、インサイドで良い形を作れれば敵なし

宮崎…6.0死ぬ気で稼いだ前半の10分が、チームを最後まで闘わせた

ジャワラ…ナシ/肘が入っちゃったのはご愛敬も、あそこを割って入りに行った決断と気合は褒めたい

シェリフ…6.5ミスマッチを突いて得点しアシストしと効果的な活躍。今季一番活きた試合に

飛田…ナシ/シュート機会なし。警戒されているのは分かるが、もう少し活かしてあげたい

会田…ナシ/キャッチは出来たので、次はあれを奪われずにプレーしたい

…5.5 6分余りを無難にプレー。鹿野を休ませるためにももう少しプレーしてほしいが

HC/AC…6.5前半に主力を上手く休ませたこと、ゾーンを活かしたことなども含め、この日はベンチの勝利

審判クルー…6.5事前の予習の成果か、福岡のチート狙いの守備を一定の基準でしっかり裁ききった。お見事

Game2 FE名古屋 83-86 福岡

「今日もいつもの日曜後半」ではあるわけだけど、そろそろそれが何故かが分かってきた感じはしますね。

Game2雑感

杉本…5.5この日はボール運び時のミスも多く不安定。やや負担がかかり過ぎていたか

フィッツ…4.5守備で穴になりつつ、力強くフィニッシュしてほしいところで出来ずでは使っている意味がない

横江…5.5前日よりもかなりプレー時間が伸びてしまった。やや強度に不安でヒヤヒヤしたが、反動がでなければいいなと

ティルマン…5.5体力的にも厳しいはずの4Qでもしっかりとプレー。最後まで闘えたのは彼のエナジーのおかげ

鹿野…5.5こちらも勝負所で素晴らしい働き。今節はミスの仕方も含めていい意味で若いプレーだった

ブラッド…4.5機動力がないのは仕方ないが、インサイドでもここというとこで踏ん張りが利かなかった

シェリフ…5.5FGもFTもすべて決めるだけでなく、オープンの3Pをしっかり打って決めたのは大きい。これが出来ると戦力としての意味あいが大きく変わる

飛田…5.5相手を追いかけての2スティールなど、少しずつ脚の動きは戻ってきた。あとは攻撃のきっかけかな

…ナシ/指示をこなすのは重要だけど、それでいっぱいいっぱいにはならないでほしい

HC/AC…5.0ノセてしまった丹野を最後までどうにもできなかったこと、丹野がいないタイミングのプレーは少し勿体なさが残った。取りこぼし

審判クルー…6.0節を通してしっかりした判定でした


ここから先は現状に対する辛口記事ですのでそういうテイストが好みでない方は回れ右。


日曜後半が弱いこととゾーンディフェンスに頼らざるをえないことはつながっているんですよ、というお話

 開幕から2か月が経過し、現時点で9勝8敗。実はこれ、昨季の17試合時点での勝敗数と全く一緒。昨季も苦労している印象は拭えませんでしたが、そこからベンジャミン・ローソンがケガで離脱するまでは上昇具合も見えていました。しかしながら今季は、ややもするとそれよりも閉塞感の強いシーズンのように思えます。

 その要因となっているのが節の2日目の戦い方。土曜日の試合を7勝1敗としているのに対し、日曜日の試合は2勝6敗。結果には明確な違いが出ています。次の表をご覧ください。

20-21eFGデータ17節時点

 これはeFGという、通常のFG%の計算方法の分子に、入ったら1点余分に入る3Pシュートの分を加算して算出する指標です。シーズンで計算してみるとFE名古屋のeFG%は相手に許したeFG%よりも高く、得失点差もプラス。全体としては、改善の余地はあれどさほど悪くない数字に見えます。
 これが、日曜日の2ndハーフ、つまり後半に絞って計算してみたものををご覧ください。平均をとってみるとFE名古屋のeFG%は大きく変わっていませんが、相手チームのeFG%は大きく上昇しています。そして得失点差もマイナスに。つまり、「FE名古屋は日曜日の後半の守備が緩い」ことが指標の上ではっきり出ているわけですね。

 従来までは、主力選手に出番が集中していることによるガス欠が理由ではないかと思っていました。もちろんそういう部分もなくはないのでしょうが、特に今月に入ってからの負け試合を見ていると、どうもそれだけではないように感じられます。土曜日にかなり負荷が分散していたり、シェリフの出番も増えるなどして休ませ方にも工夫が感じられるにも関わらず、同じことが起こっているからです。

 ここからは僕の私見になりますが、今の状況は選手の構成による構造的な問題だ、そういう風に考えます。
 今季の外国籍選手はティルマン、フィッツジェラルド、ウォルドーの3名。彼らはそれぞれに強みを持った存在ではありますが、ティルマンには機動力はあってもサイズがなく、ウォルドーについてはサイズとパワーはありますが機動力は皆無。そして、その間を繋ぐはずだったフィッツジェラルドはコンディション不良もさることながら思ったよりも機動力、そして勤勉さに欠くことが露になってきてしまいました。

 この影響を大きく受けているのは実は相手のハンドラーを守るガード・フォワード陣です。それは特に、相手チームがピックアンドロールを仕掛けてきたときに顕著になります。具体的には、「ウォルドーとフィッツジェラルドが機動力を生かしてピックアンドロールのボールマンに圧力をかけることが不可能なので、シュート力の高いボールマンに圧力をかけようと思ったら、体力を使うファイトオーバーをやるしかない」というのが大きな問題点なんですね。
 これはガード・フォワード陣の体力というだけでなく、相手が攻撃時に迷わないので慣れてしまう、ということにもつながってきます。この状況を隠すために使用されて一定の効果を上げているのが2-3ゾーンですが、本来ゾーンはやられても仕方ないところをある程度絞って捨てて守る守備であり、よほど相手の特性が嵌まらない限りは長時間やっていれば必ず崩すことができます。FEのゾーンは今のところ、川辺HC澁澤ACによる丹念なくみ上げを、上の2をプレーする杉本鹿野横江の運動量+知性と、下の3の外側を守ることの多いシェリフとティルマンの機動力で破綻は少なく来れましたが、それでも運動量が落ちてきたところに相手のシュートが当たるタイミングが噛み合えば日曜の福岡戦のように無残なことになります。(計算してみたら後半の福岡のeFG%が100%超えていて白目になりました)

 結局のところ、現在の問題は、ウォルドーとフィッツジェラルド、メインでインサイドを守る2人がいずれも鈍足で機動力がないため、守り方のバリエーションが乏しいこと、それによるガードフォワード陣への負担と、単調にならざるを得ない守り方に相手が慣れてくるタイミングとこちらが疲労で弱点をカバーできなくなるタイミングが合致する、それが日曜後半ハーフの落とし穴の正体ではないか、と考えています。

 この見立てがある程度正しいのだとすると、この課題を解決するのはなかなか難しいと言わざるを得ません。パワーがない選手に一朝一夕にパワーがつかないように、機動力のない選手に機動力をつけようとするのも無理な相談だからです。ガードフォワード陣への負担という意味合いでは、怪我人が戻ってくることと、それまでに林の成長や飛田の復調によってある程度抑えられると思いますが、相手が慣れてくることに対して守り方のカードが少ないことは、正直なところどうにもなりません。

 この話だけでなく、ウォルドーにせよフィッツジェラルドにせよ、疲労が残っている状態ではプレーの力強さ、精度、繊細さが落ちるのも明確に出てきてしまっていることを考えれば、そろそろ何らかの考え方が出てきても不思議ではない、と言いたいところなのですが、このコロナ禍を考えると、それもなかなか難しい部分はあるかもしれません。
 とはいえ、これまでのシーズンよりさらに、先への閉塞感がつよい状況なのは事実。この編成のアンバランスをカバーするには采配では限界があります。あてが外れたことは素直に認めつつ、責任感のある動きを進めてほしいものです。

 

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Nacky a.k.a. 青井高平
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