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闘鷲降臨~ある意味お手本(20-21GAME2)#FE名古屋
色々と言いたいことはありますが、試合全体としては「香川のチームとしての練られ具合」の素晴らしさが特に印象に残った、そんな2試合でした。
FE名古屋 75-77 香川
香川のアタックに手を焼きつつ、4Qのゾーンがハマって抜け出し、初戦を勝利したFE名古屋。ただ、初戦は特にマンツーマン時の守備には課題が残りました。結果として10/24、40%の確率で3Pを被弾するなど、内外両方で相手を捕まえきれない、この課題をどう修正するかに注目でした。
結果から言うと、この日は3Pの確率を下げることには成功しましたが、香川もさるもの、警戒の逆を突いて確率のいいインサイドを積極的に攻撃。FE名古屋もなかなかエンジンをかけて引き離す時間が作れないながら、相手に大きな波を作ることも許さず、お互いが最大でリードした点数が5点までという接戦で推移します。
最終的には、お互いが軸となる、FE名古屋はフィッツジェラルドを、香川は高比良をテクニカルとアンスポーツマンライクの累積でイジェクトされるという、荒れた展開となったところを香川が一歩抜け出し、2度の逆転のチャンスを活かしきれなかったFE名古屋を抑えて香川がシーズン初白星を挙げました。
2試合を通した香川の攻撃
この2試合、FE名古屋は香川の攻撃を止めるのに非常に苦労を強いられました。マンツーマンではガンガンドライブを仕掛けられたその隙から外のシュート、もしくはカウンタードライブでイージーレイアップを決められ、ゾーンは有効ではありましたが攻めどころがはっきりした守備のため、多用したくありません。FE首脳陣もさぞ頭を痛めていたことであろうと推測しています。
香川がどんな攻撃をやっていたかというと、世に言われる「ドリブルドライブモーション」という攻撃方法だったと見ています。香川の昨季がどういうバスケをしていたかは見ていなかったのでわかりませんが(情報求む)、チームとしての連動性は見事なものでした。
ドリブルドライブモーションとはどんな攻撃かというと、youtubeにいくつか説明の動画がありますが、この2つが参考になるのでご紹介します。
そして香川についても、この試合で出場した5人の基本的な配置は下の画像のようになっていました。
ここで香川がオフェンスのとっかかりでよく使っていたのが、
1.エルボーでコッツァーにボールを受けさせ、カールカットでボールをもらいに行く
2.兒玉をボールマンとしたピック&ロールでズレを作る
というものです。詳しいことはcyndi氏の以下のツイートにも掲載がありますので併せてお読みいただくと勉強になると思います。
・香川の主戦術である外からの1on1は
— cyndi@スポーツ観戦 (@cyndi_fen_nge) October 5, 2020
「誰かが仕掛ける」→「ヘルプされたらキックアウト」→「慌てて対応するディフェンスにカウンタードライブ」でズレを作ることで有利に進める。
・まず初めの「誰かが仕掛ける」は、ボールを持ってるビッグマンにカールカットしてハンドオフする事で始める。1/n
ドリブルドライブモーションのキーになるのは「センター以外の選手は2つのコーナーを含め、間隔を広くポジションをとる」「広い間隔をボールマンはドライブを仕掛けていく」「間隔が広い分、ヘルプが来たら大きく守備が動くため、そのギャップを使う」「守備の動き方によってはバックドアを積極的に使う」なのですが、いかがでしょうか。2日間の香川の攻撃を見ていると、少なくともFEがマンツーマンで守っている時間は、これらすべてをチームとして見事にやり切っていたと見えました。
FE名古屋の守備の問題
香川の攻撃が見事であった、という側面が大きい2試合でしたが、川辺HCの2試合目の試合後コメントを見てもわかる通り、特にマンツーマン時の守備には大きな課題が見受けられたのも事実です。
相手はスペースを作って1on1を仕掛けてくる以上、まずはボールマンのディフェンスがボールマンを責任をもって守らなければいけません。正面に入ってシャットアウトできないにしても、少しでも粘り強くコースをふさぎ、簡単にレイアップに行かせないようにすることが必要です。それは少しでも相手のシュート確率を低くするという意味合いでもありますし、リムプロテクター、ヘルプが間に合う、ブロックできるだけの態勢と時間を稼ぐという意味合いでもあります。マンツーマンの時間帯は相手に上手く動かされて、カウンタードライブの状況に持ち込まれていた、というエクスキューズはつきますが、それでもイージーバスケットを許さないという粘りを、試合通じて見せてほしかったというのが正直なところです。
また、兒玉をボールマンとしたピック&ロールの展開で簡単にズレを作られるシーンも目立ちました。これはどちらかというとボールマンのディフェンスよりはスクリーナーのディフェンスである主にフィッツが原因で、意識の問題なのかコンディションの問題なのかわかりませんが、ボールマンの判断の時間や余地を奪うようなディフェンスの動きがまだできていません。ショウディフェンスやブリッツをやってこない、やってきても突破できると見切られ、ある意味「ナメられ」ていたことで、ボールマンである兒玉の余裕を奪うことができませんでした。
この2試合についてはゾーンディフェンスの効果を最大限に活用して相手をスローダウンすることができましたが、マンツーマン守備の修正は喫緊の課題となったと言えそうです。
香川の成熟度
某Bラジにて、香川については「シンデレラチームが翌シーズンに継続路線で臨むことの難しさ」について指摘がされていました。これは過去のあらゆる競技においてそういった傾向はあり、まったくもっともなものであると考えています。
ただ、今季についていえば、少なくとも少し違った展開になるかもしれません。何せ、今季は外国籍選手の入国が遅れたり入国ができなかったりで、チームをしっかり作る時間は非常に限られていました。そういう意味で、昨季からの継続路線を敷いた香川は、チームとしての成熟度の意味合いでは大きく前からスタートしているチームとなったのは間違いなく、この2試合を見る限り、特に選手やコーチを大きく入れ替えたチーム相手には、大きなアドバンテージを得ることが出来るでしょう。
その後の躍進が成るかについてはウッドベリーの膝の回復具合と、新加入予定ながら合流が遠い様子であるヴァーグがどのタイミングで加わり、どうフィットするかにかかっていそうです。ただ、今の時点でも強気で攻撃的で魅力的なバスケが展開出来ていることには疑いがありません。見たことがない方々は、是非一度見ていただきたい、そういう魅力的なチームになっていると思います。
雑感
鹿野…6.0本日のFE側MOM。チームとしての取り組み、彼が体現しています。
杉本…5.0長時間勤務お疲れ様です。今日はマークがきつかった。
横江…5.5勝負所でFT外すのは珍しいよね。まだ本拠地でタッチが合ってないか。
フィッツ…5.5彼の得点に助けられての接戦。人災だけど厄日でしたな。
ティルマン…5.0ファウルトラブルとはいえ、精彩を欠いた、としか。
シェリフ…5.5攻撃面の動きはとても良くなった。もうちょい逞しくプレーしてほしいところ。
松山…5.0彼の突破から攻撃を広げたいが、現状やや判断に課題が。
ウォルドー…5.0やりたいことは分かるし真面目なのも伝わってくるから、早く体重落としてください。
飛田…5.0コンディションは一進一体なのかもしれないけど、1on1の守備を強いられる形は辛かったかも。
川辺HC・澁澤AC…5.5あの手この手でやりくりも、イジェクションで予定が狂った印象。
コッツァー…7.0文句なしのMOM。頑強なだけではなく、技術と頭脳を見せつけられた2試合目。
兒玉…6.5今日はマークされた分を自分に引き付けてのパスで貢献。9ASTで2TOは見事。
審判クルー…3.5軽くて安定しない判定基準でマネーコールを連発。声出し応援禁止の時で良かったね。
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