闘鷲降臨~時に防御は最大の攻撃たりうる(20-21Game44,45)#FE名古屋
開幕8連敗スタートの相手に屈辱の初白星をプレゼントしたシーズン序盤からはや5カ月近く。
立て直しはなりつつも、脆弱な守備が躍進の足を引っ張り続ける愛媛ですが、撃墜した相手にはFEだけでなく西宮、仙台が名を連ね、けっして楽に勝たせてくれるチームではありません。
FG%がB2で2位とトップクラスの攻撃力を誇る愛媛相手にどのような試合をするかに注目が集まりました。
Game1 FE名古屋 87-79 愛媛
序盤はノーガードの殴り合いの様相。FEは幅とパワーのミスマッチを活かしたフェルプスのインサイドポストでポイントを作られて守備がハマりません。一方のFEは杉本のピックアンドロールからの展開でズレを作り出すと、そのズレを飛田が3Pを4/4という大爆発で得点に結びつけ、愛媛に先行を許しません。
2Qになって流れを少し掴んだFEが逆転し最大10点まで点差を広げるものの、愛媛はステファンの3Pを足掛かりにFEのゾーンを攻略。離されることなくHTを迎え、54-50という超ハイスコアリングゲームが展開されます。
これではいけない、と両チームが思ったのかどうか。3Qは一転、重いロースコアゲームに。お互いにこのQのファウル数がゲーム全体の5割近く占めるという数字が示す通り、圧力が強まった守備にお互いの攻撃は停滞。愛媛にわずかながら点差を詰められ、1点リードで最終Qへ。
迎えた最終Q、勝利に向けて力強くチームを支えたのはJTでした。出だしから2本の3Pを沈めてリードを広げると、その後も身体を張って攻守に活躍。またローソンも8P7Rでチームを支え続け、4Q序盤に広げたリードを最後まで譲らず、Game1を勝ち切りました。
Game2 FE名古屋99-73 愛媛
鬼門のGame2を迎えたFE名古屋。序盤はGame1同様お互いに攻撃が好調。さすがにそこまでの極端な入り方ではありませんでしたが、お互いに守備がハマっているとは言い難い状態で2Q残り6分くらいまでを1ポゼッション前後の点差で推移します。
ここでまず価値を見せたのが杉本。オフィシャルタイムアウト前の二つのポゼッションでプルアップ3Pジャンパー→ドライビングレイアップで点差を7点に広げると、その後の5分では2-3ゾーンの2に位置すると神出鬼没のカバーリングで次々にスティール、それをすべて得点につなげてあっという間に点差を広げます。
このゾーンでリズムを崩した愛媛はなんと5分間近くノースコア。この間16点を積み重ねたFE名古屋が前半を18点リードで折り返します。
リードは溶かすもの、というのがいつものFEの流れ。それがGame2後半であればなおさら、とよく訓練されたFEブースターは思ったことでしょう。ただ、この日は違いました。3Qは愛媛に1本のオフェンスリバウンドも許さない守備の集中力で余計な失点を減らす一方で、相手のズレを上手く作り、アシストがチームで12本もつくようなオフェンスで29点を積み重ねてリードを拡大。
流石に30点近い差には愛媛も集中力が途切れ、緩んだ圧力に気分よくプレーしたフィッツジェラルドはこのQだけで14得点を積み重ね、結果として今季最多の39得点。最後は主力を全員休ませられる余裕でもって、鬼門のGame2をこれ以上ない形で勝利しました。
時に防御は最大の攻撃たり得る
Game1の1Qはお互いが30点近くとなる点の取り合いになったことでもわかる通り、愛媛とFEはお互いに攻撃力十分。その上で守備がハマらなければこうなります、というのがGame1の前半であり、Game2の1Qだったと言えると思います。
そうなると明暗を分けるのは守備力、ということになるわけですが、杉本や松山に割って入られイージーレイアップを許し続けた愛媛は最後の最後までFEの攻撃を止めることができませんでした。一方ゾーンを上手く使い、杉本の守備における特性も使って相手のミスから速攻、アーリーオフェンスを行うことで、相手ミスからの連続得点を引き出したFE名古屋。
外国籍同士のマッチアップだけで見ると噛み合わないことも多くやられる場面が目立った週末でしたが、ゾーンにせよマンツーのときにせよ、「周りが上手く手助けをすることで相手にストレスを与え、正確性を減らす」ことで粘り強く守り続けたことが、最後の最後、苦手なGame2の圧勝につながったと言えるでしょう。
攻撃と守備が交互に行われ、しかもその回数が多いバスケにおいて、勝ちを手繰り寄せるためには相手の得点を抑えて自分たちが得点をとる、その積み重ねをどれくらい連続で行えるかが勝敗を分けます。
そのためには攻撃力だけでなく相手の攻撃を抑える守備力が不可欠。そこに改めて気づかされた「最高の週末」でした。
雑感
・初戦のMOMは文句なしにJT。老獪。
・2戦目、個人的には2Qに攻守で打開した杉本にMOMをあげたい。バックダウンポストで押し込むところにローソンのピックを呼んでローポストエリアでのピックアンドロールに持ち込むと、ローソンに引っ張られた2人のディフェンスをステップバックで躱して決めたロング2には惚れ惚れした。この3連勝はエースの攻め気が産み出している。
・少し前の横江から波及してハンドラー陣全体に攻め気が出てきているのだけど、その恩恵を受けているのは実はフィッツジェラルド。無理な形でお願いします、なパスが減ってズレた状態でボールをもらえるようになったことで、彼の得点力が活きてきた。
・やればできるじゃなくて、出来るまでやる、でチャレンジよ、荒川。
・それにつけてもトビちゃんの頼もしさよ。Game1の連続3Pもだけど、ワンドリブルかましてのジャンパーが安定してきたのと、ドリブルからのポケットパスでアシストができるようになったことで、相手がキャッチアンドシュートだけに絞れないスキルが整ってきている。怪我せず最後まで行ってくれれば、上位撃墜の切り札になってくれるかもしれない。
・一方、ちょっと心配なのが鹿野さん。少し前の元気さに比べるとややキレがない印象。終盤に向けて上手く状態を上げてほしい。