なぜ会社は隠蔽しようとしているのか?
本記事は前記事「不正を隠蔽する?コンプライアンス室」の続編である。
会社はなぜ?この転職者の前職からデータ持ち出しを隠蔽しようとしているのだろうか?今回はその理由を考えてみたい。
率直に言えば、本当のところはまったくわからない。
しかし、想定される理由を挙げるとすれば以下のようなものがある。
発覚することにより某社に謝りたくない
言わなければ某社にはわからないから隠したい
世間の評価が怖い
株価への悪影響
「かっぱ寿司事件」が騒がれているだけに想像以上に問題視される恐れ
もっと考えれば際限なく出てきそうだが、要するに上記は自社の保身というスタンスの理由である。某社のことや世間様のことなど考えていない場合の理由である。
某社にしてみれば思いもよらぬところから出てしまったことを今も知らないのである。したがって今後もますます情報漏洩のリスクが続く可能性を抱えるのである。しかもそのことを知らぬまま、、、
もう少しミクロな視点でも考えてみたい。
先ほどの理由はあくまで守べきは「会社」である。
しかし、もっと細部に目を向けると「会社」ではなく、会社を構成する「人」に起因する可能性もあるかもしれない。
それでは「人」視点で理由を考えてみよう。
当該転職者の採用を問題視される
当該転職者の面接プロセスの問題視される
当該転職者の採用判定者の責任回避
採用担当者、採用決定者の責任問題となることも考えられる。
特に採用決定者は会社の中枢にいることが多く、会社から完全に独立していない御用コンプライアンス室などは状況報告と対応をきっと伺うことだろう。被告候補と検事が一緒のようなものである。
このような場合には隠蔽したいというバイアスがかかってしまうのはわかるような気がする。
しかも大企業になれば採用プロセスに関わる人間、特に関係する上位職者はとても多くなることが想像できる。
しかも決定権限が上ほど大きくなり、同時にその責任も大きくなる。誰もがトカゲの尻尾にはなりたくない、機嫌を損ねてまずい人事扱いも受けたくない。こういうときは「沈黙は金」とばかりに黙って最上位者の意見を待つのが定石とばかりに、全部を最上位職者に任せてしまう。
そうなると明らかなコンプラアンス違反でなければ、表沙汰にならない厳重注意で終わるのが関の山だろう。
誰しも自分に火の粉がかかる恐れがあることには関わりたくない。ましてあと数年で無事に引退できる立場ほど消極的だ。しかも黙っていればわからないということもあり、後で問題になったときに「だから俺はちゃんと対応しろと言っただろ」を言える状況を残しつつ先送りするのが歴戦の猛者の必殺技なのである。
白塗りのブラック企業の内実はクロクロの黒で、自分が痛む可能性のあるグレーなコンプラアンス案件は白に軍配をあげ、自分が痛まないグレーなコンプライアンス案件は黒とするのであろう。最新のAIも真っ青な判別式が頭の中にできているのだろう。