時魔導士現る!
白いブラック企業はすごい。
魔法を使えるやつがおる。
魔法のジャンルでいうと時魔導士ってやつである。
今回は白いブラック企業で活躍する時魔導士の魔法について紹介しよう!
白いブラック企業では偉いのがホイホイ変わる。カレンダーのごとく短かければ1年、長くても3年程度で変わる。このサイクルをうまく利用して時魔導士は魔法を発動させるのである。
時魔導士は、このお偉いさんが変わるタイミングまでのらりくらりと仕事を引き延ばしていく。怒られないギリギリのライン、牛歩を下回る進捗を嘘をつかないギリギリ範囲の言葉マジックを駆使して凌ぐのである。お偉いさんたちは変わっても、ろくに引き継いでいないのか、それとも仕事自体に関心がないのか、時魔導士の進捗の悪さはリセットされる。お偉いさんが変わったら、こっち(時魔導士)のもんとばかりに「今までは順調だったのだけど、ちょうど今だけ不調になってしまったんです」というような雰囲気を作る。あくまで雰囲気だけで、そういうことは言わない。言葉に出せばそれは嘘になるからである。時魔導士は嘘をつくことはない。嘘をつけば命取りだからだ。周りが誤解するような雰囲気作りが上手いのだ。
さらにお偉いさんが交代するタイミングは絶好の負債解消タイミングである。嘘は決して言っていないのだが、たぶん誤解させていたであろう雰囲気を、このタイミングで無かったことにする。例えば牛歩のごとくではあるが、何かしら進んでいたのであれば報告しなければならない。だから何をやっていたのか知らないけど、何かをやっていたような雰囲気はこの機に一気に解消して無かったことにする。以後は、また牛歩のごとく上が変わるまでのらりくらりと過ごせるようになるのである。
そうこうしているうちに時魔導士自身も立ち去るタイミングが到来する。こうして一定のターン(1〜3年)を凌ぐと時魔導士自身もレベルアップ(出世ね)して次の食い荒らす場へと異動していくのである。異動するにしてもろくな引き継ぎはしない。そもそもろくな仕事をしていないので引き継ぐ内容もない。旅の恥は書き捨ての如く、綺麗さっぱりなかったことにするのである。
他の偉いさんも、だいたい同じである。だから関心もないし、会社をよくしようという気持ちがまるで感じられない。うまく凌げばより高いレベルへと昇っていけるのであるから、無理して無茶して会社を良くしようとなどと馬鹿なことをして万が一にも事故りたくないのである。レベルアップの鐘(テレテレッテッテッテー)が鳴るまで待てばいいのである。放置少女ならぬ放置おじさんをしていればエスカレーター式にレベルが上がる。それが白いブラック企業なのである。
こういうところが自営業者に言わせると
「サラリーマンっていいよね」
「サラリーマンって気楽だよね」
と言われてしまうところだろう。
しかし、そう思ってしまう人たちも知ってほしいことがある。こうした輩(やから)だからこそ上に行けるのである。そしてこうした輩に食い物にされている真面目で一生懸命に働く多くの若い犠牲者たちがいるのだ。
最後にもう一度、白いブラック企業の時魔導士のワザとまとめておこう。
言葉マジック(嘘はないが巧みな言葉マジックを駆使)
嘘をつかずに雰囲気を出す(マヌーサ?)
お偉いさんが去るまで凌ぐ(時魔法?)
自分が去るまで凌ぐ(時魔法?)
凌ぎきればレベルアップ!