幸福な家庭は皆同じように似ているが、不幸な家庭はそれぞれにその不幸の様を異にしている
この部分だけを知ってる人は意外と多いかなと。
ロシア作家のレフ・トルストイのアンナ・カレーニナの出だしの一節です。
しばしば漫画やドラマなどで取り上げられる表現です。大体の作品では、
幸せの家庭はどこも似ていてつまらないけれども
不幸な家庭はそれぞれさまざまな逆境や苦難を抱えており、面白さがある。
というように受け取られることが多いですよね。
自分は留学もできてるわけだし、教育を受けられてる時点で家庭環境いいだろうし恵まれてるから、逆につまらない人生なのかな、なんて考えることがしばしばあります。
でも、ほんとにそうなの?
アンナカレーニナについて少し調べてみました。
幸せな家庭:
共通の安定要素があり、基本的な価値観や生活スタイルが一致している。
安定性と平穏を保っているため、大きな問題や波乱が少ない。
不幸な家庭:
多様な問題や困難に直面し、それぞれ異なる形で不幸を経験している。
具体的にどこで問題が生じるかが家庭ごとに異なるため、多様な不幸の形が存在する。
ということを言っています。
じゃあ幸せと不幸ってここでは何かというと
幸せの定義:
家族内での愛情、信頼、理解、そして相性の良さがあり、基本的な価値観や生活スタイルが一致している。
問題が少なく、平和で安定した家庭生活が続いている。
不幸の定義:
家族間での相性の悪さ、不和、浮気、経済的問題など、多様な問題が原因で家庭が崩壊する。
それぞれの家庭が抱える問題が異なり、それにより不幸の形も家庭ごとに異なる。
どうしてもイメージとしては生まれた時の家庭環境、金銭的な環境など違いが取られがちですが、必ずしもそうではなく、どちらかというと
「家族内の人間関係」に重点を置いています。
んで、この小説で大事なのは親子でも兄弟ではなく、あくまで恋人・夫婦なんですよね。
アンナがうまくいかなかったのは元々が衝動的な恋愛で周りをみておらず、最後には夫婦で信頼関係が築けなかったこと、
一方でキティの生活が立て直せたのは、共同の目標があり、誠実なコミニュケーションを図れたから。
結局何が言いたいのかっていうと、
幸せな家庭で生まれた人はつまらない、と言いたいわけではなく、
人それぞれ色んな不遇があり、不幸の種類は千差万別だけど、2人で円滑なコミニュケーションをとりながら同じ目標に向かっていったら幸せな家庭を築けるよ、ということ。
うまく行った家庭と行かなかった家庭をそれぞれ描きながらその主張を小説にまとめた、という内容でした。
解釈が歪曲して、不幸な家庭で育った人は逆境に打ち勝って、独特で素晴らしい人生を送れることが多い、という考えになったドラマなどが出てきてしまっているようですね。
たしかになんとなくあってはいそうだけど、物語の本質とは全く違う、ということを改めて勉強しました。
逆境は意外と好きだけど、海外で対処しないといけない逆境は正直つらい。
言語の壁含めて人間関係って大変だなぁと留学後一年たってひしひしと感じます。