海外留学のあれこれ(独り言形式)
いままで触れてきたようで深くは触れてこなかったこの話題。
留学後、1年半が経過し、生活も良くも悪くも安定してきたので少しまとめてみようかなと思います。
内容は生々しいです。思ったことなど含めて忖度無しに語っていきますのであしからず。具体的な内容というよりは思っていることを淡々と。
人生の大成功者というよりはいろんな悩みを抱えている留学生、留学志望の方向けの記事となります。
特に自分は金銭管理があまく、通帳記録などを逐一残しているわけでもないので、金銭面については具体的な値段というより生活レベルがどのようなものか、がメインになります。
駐在の方がうらやましいというのは太古から言われていることですが、そんなことを考えても仕方がないという境地に達しました。
海外留学はお金ではなく名誉と自己研鑽、自己満足です。
幸い自分は留学助成金を得ている方なのと、単身留学です。留学生の中だとかなり生活レベルが保たれている方かと思いますが、家賃に全振り?レベルの使い方で、節約するところは最大限に節約の毎日です。
まずはじめに。
海外留学のための心得
意志をつよくもつこと。
ネットの意見や友人、上司はともかく、身内・家族ですら海外留学に対してマイナスのイメージを持っている方がいると思います。
数ヶ月の留学なんて意味がない
日本でもっといいことできるのに海外に行く意味ない
お金なくなるだけの貧乏生活
日本でのキャリアを捨てるんじゃないのか
留学先から給料をもらわない自費留学に意味はない
こんなものでしょうか。特に5についてはよく言われます。
が気にしなくていいです。よく言われることですが、チャレンジしないと結果はわからないってやつです。
幸い自分は大学病院勤務医師だったということもあり、留学自体に反対する家族・友人や上司はいませんでした。これはラッキー。
残念ながら結婚している友人や後輩などは配偶者が猛反対して留学がかなわなかったかたも大勢います。アカデミック機関の頂点である大学病院の友人・後輩ですらこれです。
その理由はやはり日本でお金が稼げるのになんでわざわざ貯金をはたいてまで海外にいかないといけないのか、ということで。これは女医さんと結婚されている友人でも同様の事態になっていたので、別に珍しいことではないようです。
日本に限った話ではないですがやはりお金儲けというのは人生の目標の大きな1つであることが多く、このあたりはアカデミックに生きている人種とは異なってきます。
海外留学によって帰国後にキャリアが形成されて収入も上がる(可能性が高い)、という長期的なことを話しても聞く耳をもたないという残念な環境下におかれている方もかなり多いようです。
日本で生活レベルをあげすぎた弊害かもしれません。
ほんとうに留学に行きたいのであればそういう意見をはねのけて進めましょう。独身の方は特に今がチャンスです。恋人がいる方は結婚前に留学の意志を早めに伝えましょう。
留学先について
どこにいっても愚痴はでます。隣の芝生は青いという奴です。
先日アメリカの学会に参加した際に、アメリカ留学組と食事しながらお互いの状況を共有したのですが、まぁ愚痴の嵐でした。
ヨーロッパ組はアメリカがうらやましい。アメリカ組はヨーロッパがうらやましい。それは金銭面にかかわらず、仕事や研究内容も同様です。
お金がどんどん消費されていくわりに、留学先で自分の立ち位置を確保できない、成果がなかなか得られない。などなどです。
なので、本当に留学先はここじゃないといけないのか、といったことはあまり関係ないのかなと思っています。行ったところでできる限りの努力をするに越したことはない。期待をあげすぎると上手くいかなかったときに鬱になるというリスクもありますしね。(もちろん第一志望にうまくいけるに越したことはないです)
医師の場合は日本に帰国する前提で研究していますが、そうでない人たちはがちで天下取りにいく気概で、ポストを勝ち取ってます。自分が気迫がないとはいいませんが、そういうのをみてると負けた気になって凹む。などなど日常茶飯事です。
そして、自分にとっての留学先の一番の問題点は、「日本人がまったくいないこと」
留学であれば当たり前では?と思うかもしれませんが、自分の知り合いで研究室や大学内でまったく日本人がいないという留学生にまだ出会えていません。
日本人が隣の研究室にいる、PIが実は日本人、同じ研究室にもいる、大学内にいっぱいいる、などがやはり一般的です。
陰キャな自分にとってはこれが辛い。ちょっと食事を食べに行こう、というのもストレスがたまります。もちろん仕事外ではロンドンには日本人はいっぱいいるので連絡を取れば出会うことはできますけどね。
英語の勉強になるじゃん、といわれますが、みんな黙々と違うことしてるので大して会話ない。そして雑談ほど難しいことはなく話について行けない(1年半たってもこれという憂鬱)。
アメリカとヨーロッパでは全然違うようですので自分の目指すところにあわせて選定しましょう。といいつつ自分はアメリカで探していたのは直前にイギリスの留学先が決まったという例外中の例外です。まぁどうとでもなるということです。
ただ、旅行を楽しむならヨーロッパに勝る物はありません。どの国も近い。
留学の準備
ビザの取得のための種類準備
貯金
現地でつかうための銀行・クレジットカード
家探し
などがあると思います。
ビザ
ビザについては公式ページをよく読んで自分に該当するものがないか検索しましょう。1年単位で内容が変わります。特にイギリスはアカデミック優遇措置があるため、結構取りやすいです。
Academic Visitor Visa
1年限定だが留学先の受け入れ証明書があれば取れる。更新はできないが、一旦帰国して再申請すれば取得可能。きちんと受け入れ証明書さえあれば誰でも取れる?
Government Authorised Exchange Visa
いわゆる大学機関での留学の際に申請ができるもの。いろんな制限はあるものの受け入れ先がきちんと公的機関で決まっている場合なら取れる。
Global Talent Visa
優秀な経歴があれば取れるというビザ。websiteには顔パスレベルで著明な人のみ申請ができるような書き方がされているが、CVや業績、推薦状などきちんと自分がアカデミックなことを証明すればいける(らしい)
数年前より海外学振取得歴があると書類審査が簡便になる(顔パスルートと同じ)になったようです。
High Potential Individual Visa
世界トップ50と認定された大学院を修了した場合に取れるビザ
現時点では東大・京大のみ。
修士であれば2年、博士は3年の留学が可能。
日本は大学よりも大学院修了は比較的緩いと思うので、イギリス留学を考えているのであれば東大・京大への大学院入学がいいのかも。
といいつつ大学院入学時点で留学について調べる方なんてそうそういないので難しいですよね。
貯金
がんばって貯めましょう。ほんとの学生はつらいと思います。親からねだりましょう。お金ないと留学ができないというのはどうしようもない事実です。
現地で無収入で何年間生きていけるのか、最悪家族からのサポートが得られるのか、など計算しましょう。
ロンドンは物価がいかれており、1人暮らしで下手したら1000万円考えとけ、なんて言われましたが、さすがにそこまでいってません。ただ500万は余裕でいってます(職場近くで家賃が高い、旅行込み)。ただ、中心地をさけ、生活費を可能な限り抑えれば300万とかでもいけるのかな?とも。
家族連れであれば相当辛いと思います。
日本にいる間、医師会から借金タイプの助成金をもらってある程度自由な生活をしている方も見かけました。返済タイプであれば探せばいろいろあるのかもしれません。
海外にきて思いますが、まぁなんとかなるもんです。貯金が0にさえならなければ日本にかえってまた頑張ればいい。先輩方の話をよく聞きますがみなさん貯金無くして帰国したことを武勇伝にされています。
銀行・クレジットカード
海外に来ると基本は出国届けを出すと思うのでマイナンバーが失効し、新規の銀行手続きなどが原則できなくなります。
日本にいる間に手続きを完了させましょう。
自分がおこなったのは下記です。
・三菱UFJ銀行および三井住友銀行
電話番号を日本においていく携帯に設定する。電話認証にも対応できるように。キャッシュカードを家族に預ける(万が一のために入金してもらう)。
・ソニー銀行およびSMBC prestia
日本のネットバング。
円・ポンド・ドルなど変換が簡便。
デビットカードを作成し、現地で使用できるように。
定期預金などの開設
・Wise銀行
日本の銀行から海外送金を行うことなく、海外の銀行口座におくるためのプラットフォーム。デビットカードの作成。
送金のためには日本にいる間に事前にマイナンバーの登録が必要。
100万円制限が地味につらいが仕方がない。
・Revolute銀行
英国のネット銀行(2024年7月に正式に銀行認定されました)。日本でも作成可ですが、自分は留学後、住所と電話番号、BRPをゲットしてからイギリス版を申し込みました。デビットカードの作成のほか、apple payの登録ができるのが便利。
金利は無料版でも2.5%ほど。定期ではなく毎日少しずつ金利がたまっていくので見ていてちょっと楽しい。
家賃などは原則イギリス銀行からの支払いが必要のため、wiseやrevoluteあるいはその他銀行が必要です。revoluteは住所登録は不要(いまも?)なのでいつでも作成できるメリットがあります(物理デビットカード取得のためには住所が必要)。
めんどくさいですが、日本円しか元手がないので、家賃振込のためには
UFJ銀行 ⇒ Wise銀行 ⇒ Revolute ⇒ 振込
としています。留学中、現地で収入がないため、家賃は半年〜1年分を事前支払いする必要があり、Wiseは100万円制限のためこのようなやり方を取っています。
使ってみるとRevolute色々便利です。以前までsonyやprestiaのデビットカードで買い物をしていましたが、最近はrevoluteがメインになってます。
現地のクレジットカードは作っていません。というより収入がないので多分作れません。バックアップで日本のクレジットカードは持ってきています。JCBが使えないことが多いのでVISAは必要。
家探し
自分はこちらにお世話になりました。こっちの不動産(に限ったことではありませんが)は顧客を舐め腐ってますので問い合わせメール送っても返事がないことなんてざらです。もうお金払って日本人の仲介業者にお願いしました。入国後5日間で決まりました。さすが。
あと、不動産のホームページの写真などは基本詐欺です。かならず現地で物件を直接みてから決めましょう。wifiがあると書いておきながらないことも多いようです。
なので2週間程度AirBnBなどで仮住まいを確保しておく必要があります。
上記諸々、引っ越し後の初期投資など含めて100万円くらいたぶん吹っ飛んでます。
ちなみに家賃は水道・光熱費・税金もろもろ入れて日本円で月30万円ほど。
18平米のトランクを広げるスペースもありません。人生で一番狭い部屋に一番高い家賃を払って住んでます。
留学当初は25万円ほどだったのが急激な円安でこんなことに。
ロンドンのど真ん中、職場から徒歩15分という好立地を選んだ結果です。特にこだわりもないですし治安も抜群なので後悔はしていません。
食事について
物価がたかいところへの留学であればどこも同じと思いますが、基本は自炊です。たまの週末など友人との息抜き、娯楽として外食をする、といった感じです。
ただ、日本と比べちゃダメですが、おいしくない。おいしいところ行くには相当の金額をださないといけない。というわけで自炊の方がよっぽどマシだったりしています。
お米は必需品ですが、炊飯器は電圧だの何だのでめんどくさいので、
留学当初はチビクロちゃんを使っていました。
電子レンジですぐできるのが便利。
少しなれた頃に、活力鍋に切り替えました。
比較するのも申し訳ないですが電子レンジとはレベルが違います笑
ヨーロッパはパンがおいしい。でも太る。最近お米生活に戻してきました。
旅行
ヨーロッパ留学の醍醐味ですよね。近隣の国には大体2-3時間でいけちゃいます。格安航空を使えば相当安くいけますが、どうにもあのサービスのなさが好きになれず、ANA(Star Aliance)やJAL(One World)との提携がある航空会社を選ぶことが多いです。
値段というより直通便があるかどうかだったり?それでも往復いっても4-5万円とかなので日本からの旅行に比べると相当安いです。
留学中にただの旅行となると少しメンタルやられるので、学会や研究会につなげてフリータイムを楽しんでいます。
いまのところ
フランス(パリ)、オランダ(アムステルダム)、ギリシャ(テッサロニキ)を学会関連で、来年はイタリア(ナポリ)、スペイン(マドリード)に行きます。
単なる観光ではスイス(全般)、イタリア(ローマ)、オーストリア(ウィーン)、チェコ(プラハ)、スペイン(バルセロナ)に行ってます。
冬に観光でドイツ(ハンブルグ)、研究会ついでにギリシャ(アテネ)も行く予定。北欧もできれば行きたいところ。
単身の欠点は一人旅行で寂しいこと。その代わり、旅費は安い。
なにがいいのやら。
娯楽
いろいろあります。日本との違いは、人種にかかわらずいろんなアクティビティーの交流の機会があることでしょうか。
日本人コミュニティーでの癒やしも大事です。ただ、駐在たちと一緒になると金銭面の違いを目の当たりにして凹むのでほどほどに。
まとめ
留学はダメ元でのチャレンジ。失敗が基本。運が良ければ成功する。
のつもりでいきましょう。
もちろん成功目指して頑張るわけですが、楽しまないとせっかく貯金をはたいて海外までいくので記憶に残る思い出作りのためにメンタルを保つことを優先しましょう。
※ あまりにぐだぐだかいてるので落ち着いたら適宜内容修正していくかもしれません。