日本の天皇制が本当に男系継承であるべきか医学的な観点から考えた話
荒れる話題ですね。右翼と左翼が仲良く喧嘩始めるかもしれません。
ペンタブでイラスト描いてみましたが、やはり進歩はありませんね。
総裁選もあり、このあたりの話題はどうにも避けては通れないところです。
日本という国が現在の天皇制を継続していることが非常に重要であることは一度歴史を学んだことがある方であればおわかりかと思います。
一見すると、科学的・理論的というよりは歴史的、やや感情的にようにも見えますが、そうではありません。
いずれにせよ世界で唯一という事実が大事であったりします。
二位じゃダメなんです()
江戸時代から続いているお菓子屋が人気があるのは当時の技術をそのまま継続していること、そしてそれをサポートする事実が残っているからですよね。
適当に嘘ついたヒトがこれは平安時代からの続いている店のまんじゅうだ、などといっても説得力がないわけです。
いきなり話逸れましたが、
イギリス含め、様々な国は、「家族」を継承して王朝を築いてきたわけですが、それは遺伝的に繋がっているかと言われるとそうではありません。他国からの養子はざらにありますし、敗戦や革命等で王が別の家系に変わることもよくあることです。
逆に日本は第126代天皇と代々同じ家系が日本のトップに君臨してきました。残念ながら最初の10人などは小説での伝説の人物などとされており、信憑性にかけるのは事実です。
とはいえ、その後からの天皇はおおむね文書の記録などが残っていることから男系継承による天皇制が現在まで続いています。
男系継承=男性家系が続く、は正しいですが、女性天皇を認めないということではありません。そのあたりは最後の方に少し記載しています。
その唯一の日本独自のポイントは、当然、先祖代々の遺伝を引き継いできている、ということです。
現在まで続くその「遺伝情報」とはなんなのかを少し述べます。
染色体
ヒトの遺伝子は常染色体22対と性染色体1対の計23対46本あります。
こんな感じのやつ。
それぞれ染色体には異なる機能があるわけですが、最もわかりやすいのが性染色体です。単純にはXXであれば女性、XYであれば男性と定義づけられます。もちろんXXY、XXXなどもありますが話がそれるのでここでは省略します。
性染色体
性染色体は、父から息子にはY染色体が、父から娘にはX染色体が引き継がれます。このため、Y染色体を通じた父系の遺伝情報(男性特有の遺伝情報)は、ほぼそのまま代々受け継がれます。
常染色体
一方で、常染色体は、父母の両方からランダムに引き継がれます。22対の常染色体は、父親由来と母親由来のものがペアになり、各子供にランダムな組み合わせで伝わるため、性染色体のように特定の遺伝子を確実に受け継ぐということはありません。
そして、常染色体は減数分裂時に親の遺伝子が混ざり合い、子供に伝わる際に新しい組み合わせが生じます。このため、特定の祖先の常染色体を次の世代にそのまま引き継ぐ確率は低くなります。
代を重ねるごとに、祖先からの遺伝情報が部分的に保持される可能性はありますが、完全に同じ形で保持されることは難しいと言われています。
その理由が、
遺伝情報が残る際には減数分裂という染色体が二つに分かれ、両親の遺伝子が合わさる過程で生じうるイベント、交叉といわれる物です。
交叉(クロスオーバー)
常染色体では、交叉が頻繁に起こり、母親と父親から受け継いだ遺伝子の一部が混ざり合って子供に伝わります。
親の病気が必ずしも全く同じ形で遺伝しない、または親が持っていない病気が子供に現れる一因となる理由の1つがこの交叉といわれる現象です。
では性染色体ではどうなのか
Y染色体はX染色体に比べて非常に大きさが小さな染色体です。そのため交叉の機会が非常に限られていると言われています。実際、Y染色体はほとんどが「無交叉領域」とされており、減数分裂の際にX染色体との遺伝子交換がほとんど起こりません。
このため、父から息子にほぼそのままの形でY染色体が受け継がれます。これは、父系の遺伝子を追跡するのが比較的簡単な理由の一つです。
一方で、X染色体については、
男性の場合、X染色体は母親から1本だけを受け継ぐため、減数分裂の際にX染色体の交叉が起こるのは母親の側のみに限定されます。
しかし女性(娘)の場合、2本のX染色体が減数分裂時に交叉することがあり、父親から受け継いだX染色体と母親から受け継いだX染色体が再組み合わせされて娘に伝わる可能性があります。
おそらく医学の進歩前は特に大きな意味がなく、男性が表に立つべき存在という考え方から、男系継承が継続されていたのかなとは思います。
遺伝子の継続が重要と言うことであれば、現在の科学技術で染色体の遺伝情報を調べることが可能です。
具体的には、
DNAシークエンシング(ゲノム解析)、SNP解析、ハプロタイプ解析などによって、全ての染色体(性染色体と常染色体)における遺伝情報を詳細に解析できます。
予算はかかりますが、天皇制継続のためであれば行うことに反対する人はいないでしょう(倫理的な面はおいといて)。
じゃあ、確実に現在の天皇からなにか遺伝子を引き継いでいるかどうかを毎回チェックすれば解決じゃないか、という発想にもなりますが、
問題点は?
これはあくまで現在の天皇を起点として未来の子孫達の遺伝子をチェックすることは可能です。
しかしながら1000年前の天皇の遺伝情報を引き継いでいるかどうかをチェックする方法はありません。(当時の遺伝情報をゲットできれば別ですが。ジュラシックワールドの世界観)
またさきほど述べたとおり、常染色体は非常に交叉が多く、果たしてこれは親の遺伝子をそのまま引き継いでいるのか?という疑問点も沸くわけです。
そんな中で確実に代々遺伝子を継いでいるという証明ができるのが、
Y染色体、となります。
すなわち男性継承ですね。記録文書が正確であるならば、当時の天皇から現在の天皇までずっと同じY染色体がいまもなお継承していることが証明されます。
ただし、常染色体はもうめちゃくちゃですので、当時の天皇と現在の天皇は、見た目も正確もなにもかも別人であるかとは思います。
結論?
1000年前の天皇制の開始時点の遺伝情報を継続する必要があるのであれば男系継承が必須、ということです。
一方で、少なくとも過去の天皇から少しでも遺伝情報を引き継いでいる存在でいい、ということであれば、男性・女性関係ありません。養子でなければいい。という考え方。どうしても少し嫌な言い方になりますね。
常染色体であれ、性染色体であれ、父親の精子、母親の卵子由来であれば一部は遺伝されるでしょう。
一方で、よくよく見て見ると過去に女性天皇がいるのも事実のようです。
なので、一時的に女性が天皇になること自体は特に問題ない。例外として十分認められるべき事。
ただ、そのいずれも記録上は男系天皇であること、そしてその子孫には新しい男性天皇は出ておらず、あくまで男性天皇のYは引き継がれていること、というのは重要なポイントです。
ということで少し遺伝知識に踏み込んで検討してみたわけですが、仮に女系継承も許可となったと仮定しても、他国と比較すると十分、遺伝情報という意味では代々引き継いでいる、という言い方はたしかにできます。
しかしながら同じ遺伝情報を確実に引き継いでいる現在の状況に比べると確実に希少価値は下がってしまうのは事実です。いうなれば妥協です。
新首相になってからどういう結論になるのかはわかりませんが、男女平等などといったうわべや感情的な理由によって、ある意味偶然の産物とも言える、遙か昔からの遺伝情報の継承という事実が途絶えてしまうのは少し悲しいかなと個人的には思っていたりします。
このあたりは科学者はもちろん、歴史学者、考古学者などが男系継承に賛成な気がしますが、どうなんでしょうか。
男系継承を継続しつつ、女性天皇も認める、というのが過去の歴史から見ても穏便な流れかとは思います。