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Skoop On Somebody【25th anniversary LIVE Vol.2~club SOS~】(2022/6/12 神戸 クラブ月世界)

 Skoopに関してはずっと色々な想いを抱えてきたけれど、何を隠そう、この日は私にとって初めての「3人体制のライブ」。コーヘイさん脱退前はまだSkoopのライブに行けるような年齢じゃなかったから。
 
 ハコの狭さ、ステージとの距離にそわそわしていたら、客席後方から3人が登場し、[Process of luv]からスタート。このツアー、公演によってセトリが変わっていたかと思うけど、[Process of Luv]、[Call Me]、[GOOD TIME]の固定の冒頭3曲の並びがとても良かった。1997年の1stアルバムの冒頭2曲で始まり、そこからいきなり25年後の"2022年現在"にワープする。97年の2曲に古さは一切感じないし今年の新曲と並べて聴いても何の違和感もないけれど、それでも、このツアーは25周年のお祝いのツアーなんだ、と感じる。

 MCに関する感想も少し。序盤のMCはコーヘイさん再加入の経緯についてのお話がメイン。「自分の幸せより他人の幸せが気になるようになった」というコーヘイさん。コロナ禍を経験してご自身に何ができるか考えた結果が音楽だった、と。まさに音楽を、SOULを演るべき方だな、と思う(それは勿論、3人に共通して言えることだけれど)。
 復帰の話はタケさんとコーヘイさんのお酒の席での会話が最初で、そこからコーイチローさんに伝わったという流れらしいけど、コーイチローさんは「(yesともnoとも言わないまま)まずは一緒に音を出してみないことには分からない」と。ファンの立場だとメンバーの仲が良いと勝手に嬉しくなりがちだけれど、そもそもこの人たちは友達付き合い(も勿論あるとは思うが)じゃなくて"バンド"なんだよな。
 このシリアスな話から、「コーイチローさんは昔から怖かった」という話になり、20代の頃に初めてコーイチローさんとタケさん・コーヘイさんがスタジオで顔合わせした時の再現コントみたいなものが繰り広げられたのが個人的にツボだった。再現パートに入る流れがあまりにもスムーズで、ミュージシャンのそれとは思えなかった(笑)。

 続いてボーカル、カホン、ピアノだけのclub SOSスタイルへ。[潮騒]、[ama-oto]と続く中で、聴いていて熱に浮かされるような感覚、久々だなと思う。テンションが上がるとか、楽しかったり幸せな気分になるとか、圧倒されて言葉を失うとか、音楽を聴いたり演奏を観たりするとそういう瞬間が訪れることはよくあるけれど、熱っぽさに吸い寄せられて自分の体温も上がる感覚というか。何より、これがアコースティック小編成によって引き起こされるというのが面白い(いや、むしろ、ミニマムな編成だからこその生身の人間の為せる業なのか)。
 そして、このパートのラストは[I Don't Wanna Let U Go]。たった3人だけとは思えないダイナミクスと赤い照明がもたらす緊張感。音源はずっと聴いてきたけど、実際にライブで観て気付いたのは、休符の溜め方が大事というか、休符があるからこそ、その次の一音一音が重く深く響くということだった。しかもその休符の長さも一定じゃなくて揺らぎがあり、3人の呼吸の合わせ方次第で決まる。言うまでもなく、誰にでもできる事ではない。私が惹かれて、のめり込んで、憧れて、どうしても観てみたかった演奏はこれだった。

 中盤のMCは今回の神戸滞在の話をメインにリラックスムード。そこから柔らかい雰囲気のまま、[Sing a Song]、[if]、[sha la la]。この辺りも日替わりか時期によってセトリが変わってたみたいで、私が[if]を聴けたのはこの日だけだった。[sha la la]のピアノソロは何コーラスでも聴いていられる。こういうセッション感、好きだな。
 終盤は[Hooray Hooray]、[バラ色]、[M.F.S.B.]と続く楽しいパート。[M.F.S.B.]は2月の渋谷公演の配信でも観たけど、やっぱり3人のボーカルで聴けるのが嬉しい。

 本編ラストの前のMCでは、3人が出会ってSKOOPとしてデビューするきっかけになったデモテープを作ったのは、震災でライブが出来なくなった時期があったから、というお話。あの時期の阪神エリアの誰もが、多かれ少なかれ何かしらの影響を受けて生きていたんだな、と気付かされる。
 そんなMCを受けたラストの曲は、90年代の曲ではなく、あえて、なんだろうか、2人時代にリリースされた[Sunrise]。3人だった過去、2人になった過去、そしてまた3人で奏でる現在と未来。なんとなく、そんな事を感じながら聴いていた。
 アンコールでは、コーイチローさんの「神戸は昔も今も音楽が好きな人が多いし、自分の音楽の原点の街」というお話から、[Save Our Souls]へ。

 大阪も行くけど神戸も行っておきたい、と思って観に行った公演だったけど、神戸でSkoopを、そして、コーイチローさんの奏でるピアノを聴くという事はとても特別だったのだな、と今になって気付く。また神戸に観に行こう。きっと大阪で観るのとは別の時間が流れるはずだから。