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医療現場の行動経済学を読んで〜高齢者の選択肢は4つまで〜

「高齢者には、選択肢は4つに抑えるべきだ」
と書いてある。たくさんの選択肢を並べても、その情報を処理することができないからだ。

65歳以上の15%が認知症もしくはその予備軍だという。
高齢になると情報処理能力が低下するので、自分の治療に対する考えをまとめることができない。
「どちらの治療を選択しますか?」といっても、
「お任せします」と言って、考えることから逃げてしまうことがある。

私は眼科医だが、白内障の手術をする場合、80歳以上の人には多焦点レンズではなく、単焦点レンズを入れると決めている。そのため、手術前に、術後の見え方を決めておかなくてはならない。
「眼鏡なしで遠くを見たいのか、近くを見たいのか」と質問するのだが、自分で決められない人が多い。 「お任せします」と言うのだ。
それでは困る。
「遠くにピントを合わせる場合は、近くを見るときに老眼鏡をかけなくてはなりませんよ」
「逆に、近くにピントを合わせたければ、遠くを見るときに眼鏡が要りますよ」と説明するのだが、ぴんとこないらしい。
「先生、手術をしたら、眼鏡をかけなくても、見えるんでしょ?」と逆に質問される。

これだけのことでも、自分で考えることを放棄する人がいるのだ。
今後は高齢者が増えていく。
白内障手術に限らず、高齢者に治療選択を迫る場合は、わかりやすい説明はもちろんのこと、選択肢は少なめにすることを意識していきたいと思う。

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