2025春節聯歓晩会を見ました
とてもよくできたではないかという感想でした。
この前よくある、党と社会主義を無理やり前面に押し出す「主旋律」がかなり少なくなり、普通の番組に戻ったようです。まだまだ若干残っていますが、許容範囲です。若者役者などを大量起用、歌も無理やり党を褒めるではなく、テーマも表現も今時風に合わせています。近年では有り得ない政治風刺コメディも出ました。90、00年代のものと比べ、だいぶ力弱くなっていて、言うものも痛いところではありませんが、それでもまさにこんな政治環境の中から出るなんて、大きな驚きでした。
気になるところとしては、ビリビリ動画の進撃です。春節聯歓晩会は単なる番組ではなく、国家行事とも言えます。国営中央テレビは国の顔として、国の信用と直結するものです。ビリビリ動画って、今まで政府や党内保守派の多くから、「若者たちのふざけたもの」「大した話にならない」と捉われ、春節聯歓晩会、中央テレビとのイメージがかなりかけ離れています。今度はビリビリ動画がスポンサーになって、あらゆるところでアピールしていました。春節聯歓晩会の生放送はビリビリ動画でも流されていました。ビリビリ動画は従来では大金かけてスポンサーになりたくても、その資格がないと思われます。格が違いすぎます。
何よりも、今年の春節聯歓晩会はかなり異色と思います。往年の「50代が20代でも楽しめられるものを作った」から、「20代が50代でも楽しめられるものを作った」に転換したように見えます。若者が集まるビリビリ動画がスポンサーになるのも象徴的です。
今の時代は、中国の若者にとって極めて不安な時代です。手元にちゃんとした職がなく、まともな未来も見えません。ガス抜きとして、緊張緩和の思惑もあるのでは、と思いました。あるいは単純に中央テレビの中、30代の若者が進出したかもしれません。
が、こうした動向には歓迎です。昔のゆるゆるの時代が良かったですね。
が、世界的な不況中、どの国においても保守化が避けられないものかもしれません。ゆるゆるの余裕がなくなっています。
ここまで読んだ皆様、いいお年を。