PKUとSIADH, Cushing's like symptomsについて As patient experience of myself, hypothesis and preprint for the paper📝
体調の詳細のこと 9月の投稿のまとめ
Last update 2024/12/28
はじめに
📒以下に経過についての私の考察の詳細をまとめておくことにします。
私と似たような状態の人は少ないと思うけど、自分の体調の経験や考察について、何かしら、臨床系の人とかが見て何か役立つことがあればという考えです。
Scope
フェニルケトン尿症が中枢の内分泌調節に影響を与えることを通して、電解質異常や水分貯留を引き起こすことがあるのか、この部分について先行研究がないので、自分の患者としての経験からディスカッションする📝
臨床系の人がこのScopeに興味を持ってくれてこの分野の研究が進んで欲しいです。📝
Abstract
📝私の考察と仮説ですが、おそらく、フェニルケトン尿症、PKU、あるいはなにかしらのPhe Tyr dopa BH4の代謝異常によってdopaが安定せず(一部のPKUでprlが上がる症例について先行研究がある)、dopaが安定しないことによって、特に体に負担がかかったときに、下垂体の①avp、②acthが高止まりになって、SIADHのような症状とCushingクッシングのような症状が出て、それが重なり合って高度な水分貯留(特に下肢にのみ皮膚線条が起きるほど)と慢性的な低カリウム(と、おそらく電解質異常に伴うイレウス)を伴う複雑な臨床像を引き起こしているのではないかと。
Episode
私の症状で、特に問題になっていたのは、高度な水分貯留と慢性的な低カリウムの電解質異常なのですが。下垂体acth(と副腎cort)と下垂体avp抗利尿ホルモンがやや高くなっていました。この原因がPKUではないかという話なのですが、
以前より下垂体のprlとghが高いことがわかっていて、しかし、下垂体、副腎のadenomaはなく、引き続き、経過観察になっていました。
そして、子供の頃から乳汁分泌があったり、発熱や尿量減少で、小学校の週の後半を年単位で休ませてもらったり、(数日給食を食べると、徐々に体調が悪化し、早退から休む、欠席中に食事がご飯や祖父母の野沢菜漬けなどに切り替わると徐々に体調がなおるというのを周期的に繰り返していた。食事を変えると熱が下がるので、友達とプラモデルの飛行機で遊びたくて頑張って金曜日は学校に行ったりしてた。)また中学のころも体調不良と乳汁分泌やパーキンソニズムも経験していて、(最近でも起こるのですが)、どうやら長年の下垂体の問題は下垂体辺縁や黒質のドパミン系が怪しいんじゃないかなと疑っていました。
こどものときから長く続く変則的な不調と、食事の内容選択の難しさ(ミルクを嘔吐して何ヶ月も飲めずにおかゆの上澄みをもらったら飲めたことや、学校の給食とかで症状が強く出たり、今も食事の調節しないと難しい)、下垂体の数値が全体的に高いことや、下垂体辺縁のドパミン系の不安定さへの疑問や、特に食事の選択の難しさから、もしかして、フェニルケトン尿症、PKU(Phenylketonuria)が背景にあるのではないかな?と疑っていたのがあり、婦人科の主治医の先生(内分泌や電解質のフォローをしてくれている主治医の先生)に全体的な考えを相談して、検査をしてもらったところ、やはりTyrが浅く、PKUの傾向があるのが分かりました。(今はマススクリーニングなどの検査で赤ちゃんのときにも調べられますし、治療用ミルクを選択できたり、小児科や病院でももう少し踏み込んで調べてもらうこともできると思うのですが、私が生まれたのは昔なのでなかなかそこまでわからなかったのは仕方ないかな、という感じです。)(婦人科の先生がディスカッションを通して考えを理解してくれたのと産婦人科なのでPKUの検査も速やかにできた。)
Hypothesis
📝私の考察と仮説ですが、おそらく、フェニルケトン尿症、PKU、あるいはなにかしらのPhe Tyr dopa BH4の代謝異常によってdopaが安定せず(一部のPKUでprlが上がる症例について先行研究がある)、dopaが安定しないことによって、特に体に負担がかかったときに、下垂体の①avp、②acthが高止まりになって、SIADHのような症状とCushingのような症状が出て、それが重なり合って高度な水分貯留(特に下肢にのみ皮膚線条が起きるほど)と慢性的な低カリウム(と、おそらく電解質異常に伴うイレウス)を伴う複雑な臨床像を引き起こしているのではないかと。
更にストレスなどで電解質異常が進むと消化管の動きが悪くなり、消化管からチロシンなどのアミノ酸がローディングできなくなり、また、PKUにより体内でのチロシンの合成が浅いため、チロシンの不足が進み、これにより上述のドーパミン不足から下垂体の調節が不安定になって電解質異常をさらに加速させて(イレウスを強化することで、)悪い状態でラッチアップが起きることがあるようだ。
仮説の背景として、ドーパミンとACTHに関連する先行研究がある。[1]PKUにおいてプロラクチンとドーパミンに関する研究がある[2]また、ドーパミンとAVPの関係について先行研究があり、AVPは通常時ドーパミンによる抑制下にあると報告されている。[3]また、一方でdopaminergic stimulusではドーパミンによるAVPの調節とRAAの関係は複雑になっている。[6]
Discussion for the hypothesis
①飲水でもavpが下がらず、病院では5%ブドウ糖点滴などでも尿が出ない。食事内容や体の負担で症状が強まったこと。また、eGFR、albは問題ない。ループ利尿剤やサイアザイド、アルドステロン拮抗薬にはあまり利尿の反応がない。しかし、avp拮抗薬やAQP2阻害作用のあるとされる薬[7]などで尿量が増える。また、水分貯留から血液が希釈されて血液のナトリウムが下がるのを補償するために、中枢以外でRAA系がフル稼働して体のナトリウムの恒常性を保つために頑張ってくれていたのではないかなと。(RAAについて、ここは想像の域を出ないのと他の要因も考えられるのでディスカッションから削除2024-12-25)…これは、一般的なsiadhで研究されている方向とは逆なのですが。一般的には水分貯留で血圧が上がるのを抑えるためにRAAが抑制されて、ナトリウムが下がるとされるので…
私の体の中では、普通とは逆なのかもですが、水分による体液の希釈に抗うために、RAAがナトリウムをなんとか維持してくれていたと考えられそう。
血液の電解質と浸透圧の低下から、抹消に水が抜けて浮腫を加速させているようで、血圧も上がっていなかったです。点滴によるカリウムの補正を頑張っても低カリウムを脱出できなくて(2.4から2.7で推移)
いずれにせよ、siadh様の症状から水分の貯留が加速して電解質の乱れを引き起こしているよう。
(補足、カリウムとクロールが同じように推移していずれも低い。血漿が希釈される方向になっているよう)
②また、acthが高止まりでコルチゾールは慢性的に高く、cushing様の症状からナトリウムの保持とカリウムの排出が強くなっている。尿中ナトリウムがほとんどなかった。しかし、dexa負荷試験ではacth、cortともに、ちゃんと下がる。HPA軸の調節が高い方向へシフトしているよう。
①と②から、
siadhだと一般的には低ナトリウムが顕在化すると思うのですが、cushing様の症状が重なり、結果的に水分貯留と低カリウムが顕在化したのでは。
avpとacthが高止まりになって、正しくnegative feedback nfb(視床下部のfbとHPA軸のfb)の調節がかからないのは、(高い方向へシフトしているのは、)おそらくPKU由来のdopaの不安定が原因のひとつの問題ではないかと。
Trial and the results
今まで、水分貯留と電解質異常について、対症療法メインで治療を受けていたのですが、ここまでの考察を主治医の先生に相談しつつ、理解してもらい、ディスカッションをしながら、PKUの標準的な治療のひとつを組み入れてもらったところ、[4,5]だいぶ、状態が良くなってきています。
(タンパク制限とチロシン補充[4]、葉酸補充→少量L-dopaを追加変更2024/10/09追記→その後、L-dopaは中止、タンパク制限とチロシン補充、葉酸補充に戻る2024/10/11追記)、
また、同じような状態の人は本当に少ないと思うんですが、また、私の症例は主治医と症例研究をするのも良いと思うのですが、ここまでの考察をnoteにまとめておこうと思いました。patient experienceとして出せるようにまとめつつ、ここにプレプリント的にまとめておきます。
References
文献などは加筆で追記していきます
[1]Pivonello R, Pivonello C, Simeoli C, De Martino MC, Colao A. The dopaminergic control of Cushing's syndrome. J Endocrinol Invest. 2022 Jul;45(7):1297-1315. doi: 10.1007/s40618-021-01661-x. Epub 2022 Apr 23. PMID: 35460460; PMCID: PMC9184412.
[2]Schulpis KH, Papakonstantinou E, Michelakakis H, Theodoridis T, Papandreou U, Constantopoulos A. Elevated serum prolactin concentrations in phenylketonuric patients on a 'loose diet'. Clin Endocrinol (Oxf). 1998 Jan;48(1):99-101. doi: 10.1046/j.1365-2265.1998.00358.x. PMID: 9509074.
[3]Nomura K, Kurimoto F, Demura H, Sakurai H, Nomura T, Zibiki K, Naruse M, Kanai N, Shizume K. Effect of metoclopramide in plasma vasopressin in man. Clin Endocrinol (Oxf). 1984 Aug;21(2):117-21. doi: 10.1111/j.1365-2265.1984.tb03450.x. PMID: 6467638.
[4]Remmington T, Smith S. Tyrosine supplementation for phenylketonuria. Cochrane Database Syst Rev. 2021 Jan 4;1(1):CD001507. doi: 10.1002/14651858.CD001507.pub4. PMID: 33427303; PMCID: PMC8094217.
[5]PeaceHealth Phenylketonuria (Holistic) About This Condition
https://www.peacehealth.org/medical-topics/id/hn-1247002#:~:text=In%20another%20study%2C%20fish%20oil,skills%20in%20children%20with%20PKU.&text=Supplementing%20with%20L%2DTyrosine%20may,PKU%20diet%20and%20improve%20behavoir.
[6]Rossi NF. Dopaminergic control of angiotensin II-induced vasopressin secretion in vitro. Am J Physiol. 1998 Oct;275(4):E687-93. doi: 10.1152/ajpendo.1998.275.4.E687. PMID: 9755089.
[7]Yoichiro Isohama Dojin news https://www.dojindo.co.jp/letterj/135/review/02.html