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ナヨクサフジ(ヘアリーベッチ)

空き地の一角がきれいな紫色に覆われていた。
マメ科の帰化植物「ナヨクサフジ」だった。
マメ科らしい葉(羽状複葉)やツルがよく繁るなかで、
フジのように小さい花がびっしりついた花穂が上向きに立っている。
それぞれの花は1~1.5cmくらいの細長い蝶形花。
在来種の「クサフジ」とよく似ていてパッと見で見分けるのは難しいそう。
筒状の花のお尻の部分が花梗(花を支えている短い茎)より突き出ているのが
ナヨクサフジ」で、突き出ていなければ在来種の「クサフジ」なのだそう。
あと「ナヨクサフジ」の方が花が細長いとのこと。
これは花のお尻が突き出ているので「ナヨクサフジ」だった。
咲き始め。きれいに並んで下から咲いていく。
下から花が終わり、
終わりとともに赤みがぬけていくようで、グラデーションになっている。
葉の先端から巻きひげが分岐し、周囲の植物に巻きつきながら成長する。

ナヨクサフジ」はヨーロッパや西アジア原産で、もとは飼料として輸入されたものが帰化したと言われているそう。現在は飼料や緑肥として栽培され、道端や空き地、河川敷などで自生もしている。
マメ科なので共生する根粒菌によって窒素固定ができ、レンゲに変わる緑肥植物として利用され、また、他の植物の生長を抑えるアレロパシー効果があり(明確な結果が確認できなかったとする報告もあるとのこと)、よく繁ることによる被覆力も強いので耕作放棄地や果樹園などでの雑草防止にも利用される。蜜源植物でもある。
全体に細かい毛があるものは「ビロードクサフジ」(学名:Vicia villosa ssp. villosa)」と呼ばれ、「ナヨクサフジ」「ビロードクサフジ」、その他改良品種も総称して「ヘアリーベッチ(hairy vetch)」として販売されているそう。

在来種「クサフジ」との違いは、
ナヨクサフジ
一年草~越年草で、野生化したものは空き地や河川敷などに生える。
筒状の花のお尻の部分(ガク)が花梗(花を支えている短い茎)より突き出ていて、花全体が細長い。
●クサフジ
多年草で、山地や川べりの草原や林縁に生える。
筒状の花のお尻の部分(ガク)が突き出していない。
花はややずんぐり。

野生化した「ナヨクサフジ」は増加している一方で「クサフジ」は減少していて、最近河川敷などで見かけるものの大半は「ナヨクサフジ」だそう。
「クサフジ」も見てみたいなあ。

ナヨクサフジ(弱草藤、学名:Vicia villosa)
マメ科ソラマメ属のつる性の一年草~越年草。
ヨーロッパや西アジア原産。
花期は5~8月。

ナヨクサフジのマメは食べることができるそうだけど、食べ過ぎには注意で、草や茎は食べると中毒になる可能性があると。(クサフジの方は食べられる野草だそう)


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