ファミコンから雀魂へ、時代を超えての初舞台~第2期Σリーグ『ANC PURPLE BATS』第1節第2試合コータ選手視点



試合前

対戦組み合わせ

東 『ANC PURPLE BATS』コータ選手🐖
南 『縁』霧島岬選手🏝
西 『ぽんてんLv47』みずきけい選手📗
北 『 Luna de esperanza』ぶる選手🔵

麒麟位にまで登り詰めた押しも押されもせぬ強者、霧島岬選手。
クオリティの高い麻雀漫画に定評がある雀聖、みずきけい選手。
前期『縁』の育成枠として大ブレイク。雀聖にまで上り詰めたスーパーJK、ぶる選手。
第2試合も豪華な顔ぶれである。……参加者全員豪華なのだから、豪華な卓になるのは当然かもしれない。

🦇「今日なんかドラマチックなこと起こったら描かれるんじゃない?漫画に」
🐖「あ~いいですね、チャンス!チャンスはチャンス!」
🖋「倍満振り込んだりしたら一生漫画に残りますよ」
🐖「チャンスはピンチ!」
🦇「コワイヨー」

ひげくじら選手が荒波にもまれながらも確かに持って帰ってきた2着。
このいい流れを是が非でも繋げたいところ。
いつも通り陽気に喋りながら、しかしその胸には熱意もしっかり抱えて、APBの重戦車、コータ選手は初陣へと向かっていった。

コータ選手とは

ということで、ひげくじら選手のときと同様にコータ選手の魅力について紹介させていただこうと思う。

かなり参加率が高いタイプで、多少失点しても手数の多さで補うインファイターと言えるでしょう。他企画へ積極的に参加していることもあり、コミュニケーション能力の高さは折り紙つき。軽妙なトークで控え室を盛り上げてくれる存在になりそうです。

スカウティングレポートより

鳴いたり曲げたり、あの手この手で戦いを挑むタイプなのがコータ選手の持ち味。トップが偉いルールでは頼もしい存在といえるだろう。

また、コータ選手について語るうえで外せないのは、彼がドラフトに選出されるまでの経緯である。

(リーグFC応募)
結果からお伝えすると、落選。
理由ははっきりしていました。

・ドラフト前の凸待ちアピールの存在を知らなかった。
・プロや高段位者(天鳳含む)の選出が多いため、力を示す指標が必要。
・育成枠は雀力だけでなく+αの能力が必要。
・自分が圧倒的に無名すぎる

(第1期Σリーグ応募)
2023年4月8日 Σリーグとなってのドラフトの日。
リーグFC応募時の反省点を修正し、各リーダー様の凸待ちにはできるだけ参加し、有志で行って頂いた最高位戦の牧野プロの凸待ちでもアピールをさせて頂きました。
・・・・が、結果は選外。
段位は聖3・・・アピールもやれるだけやった・・・・・あとはなんだ??

そうだ、配信やろう。
(中略)

(第2期Σリーグ応募)
今回のドラフトも前期同様、参加できる凸待ちには極力参加し、配信も可能であるという事も新たなアピール材料として使えるようになった。

それが直接結果に結びついたかは定かではないが、この半年の活動が実を結んだことで緊張の糸が切れて涙した。

上記note記事より引用(一部追記あり)

最初に触ったゲームはファミコン。麻雀歴は30年オーバー。自分が積み重ねたものに対して、少なからずプライドもあったことだろう。
それでも決して自分がそのとき持っていたものに驕ることはなく、謙虚に研鑽を重ねてきたからこそ、今回のドラフトにおいて報われた。

何かに新しく挑むのに遅すぎるなんてことはない。
年単位で挑戦を続け、己を磨き続けてきたコータ選手。ついに念願のΣリーグ初登板である。



……一方で、コメント欄には別の角度からコータ選手の活躍を期待している人がいた。

ヽ(゚∀゚ )ノ<コータニキ計画修正頼みます!

第1試合でひげくじら選手が見せた立直の強さ。これに影響されてしまった人の打ち筋もまた、少なからず面前寄りになってしまうかもしれない。
APBが誇るみんなのヒロイン、日菜むいさんになんとか副露派の魅力を教えたいらしいこのおじ…お兄さんは、どうやらコータさんに副露を駆使した活躍を見せてもらうことで、日菜さんが副露の魅力に惹かれるように持っていこうと『鉄チーむいさん計画』なるものを準備しているらしい。

そんなヨ〇さんの姿を見て私は思った。

知らんがな。

第2試合ハイライト

東1局~胆力の縦置き

親番のコータ選手の手牌は、面前で進めれば十分な打点になりそうな格好。
🦇「〇プさんどうですか?鳴けそうですかこの手?」
🐳「これポン!ヽ(゚∀゚ )ノとか言い出したらチャーシューですよ

ダメですか!?ヽ(゚∀゚ )ノ

🐖「白重ねたけど6ブロックになった、白対子落とし」
🐳「立直手順だ」

そして13巡目、親番で満貫の聴牌。
🍵「あっ来た。リー……」
🐖「迷わずダマ」
🐳「あーきたー!」
🍵「巡目につきってことですか?」
待ちの47mは場に4枚見え。そして山には残り1枚だった。とはいえ親の満貫聴牌。即リーチと行く人がいても全然おかしくないだろう。
残り枚数は知る由もなかっただろうが、経験値の積み重ねからくるコータ選手の精神力の強さの一端を垣間見た気がした。
🔵「36p立直!」
🐳「追っかけるもあるが」
🐖「ダマ続行」
ぶる選手が牌を横に曲げる。しかし、あいつが曲げるなら俺も、などという気軽な判断には甘えない。
その辛抱が実ったか、最後の7mが高目満貫の聴牌を入れていた霧島岬選手のところに。
🐳「あっこれはとらえた!これはさすがに出る」

どんな強者であろうと、放銃率を0%にできないのが麻雀というゲーム。
その言葉通り、7mは止まることなく河に放たれた。

🍵🦇「おーナイスー!」
🖋「これは2軒なら絶対に出てないですよね

立直して和了に結びついていなかったとしても誰も責める者はいなかっただろう。しかし、積み重ねてきた知識と経験に裏打ちされたコータ選手の嗅覚は、見事にダマでの和了ルートを見出してみせた。

🦇「選択完璧!」
🐳「APBの未来は明るい!順調じゃないですか」
🦇「今日出てないチームメイトにプレッシャーがかかっていくw」
🐳「いやもう皆さん気楽に自分のスタイルで打っていただければいいんですよ」

🖋「Lusyabaダマならぬコータダマでしたね」
🐳「まあドラ3あったのと、場に4枚見えてたのと、鳴いて目立っていた霧島さんの現物に4mあったのでね。いいダマだったんじゃないでしょうか。」

続く1本場は、ぶる選手が中ドラドラの手をきちんとツモりきって次局へ。

東2局~読みは小説より奇なり

📗「1pポン」
🍵「これは、チャンタですね」
🐳「まあ今回ドラ4sなのであんまり打点はなさそうって考えていいですね」
📗「1mポン」
🖋「おっこれは?幻の役……」
🐳「三色同刻か?」
🍵「1sまだ山に」
🐳「ありますねえ」

南家・『ぽんてんLv47』みずきけい選手が積極的に仕掛ける。鉄チーむいさん計画に加担するつもりなのだろうか。
🔵「36mで先制立直!」
しかし先手を取ったのはぶる選手。ここまで3局続けての聴牌。

一方でコータ選手もドラの4sを引き入れて聴牌で追いついた。赤ドラも2枚持っており、打点は十分にある。しかし……

前巡、立直一発目で通っていない2mを引き、ぶる選手の現物2sを切ったこともあって形が崩れてしまっていた。これでは2m切りでも南切りでも、待ちは単騎になってしまう。

🐳「まあいったん南切ってダマ……」

ひげくじら選手の考えは至極妥当だろう。タンヤオが確定するし親の霧島岬選手が5mを立直に通してくれた。東1局のようにダマテンにすれば、こっそり仕留められるかもしれない。
南は場に生牌なうえ、チャンタに見える仕掛けをしていたみずきけい選手の自風。切りたくなかったのもわかる。しかし聴牌となれば話は別だ。南さえ切ればタンヤオの役有り聴牌。ここはさすがに南切り……

しかし、数秒後画面に映し出された光景はあまりにも衝撃的だった。

🦇「南単騎~!」
🍵「おお南単騎!」
🐳「つよっ!?」

コータ選手は2mを横に置いた。打牌選択に要した時間はたったの3秒弱。控室もどよめく選択であった。

これについては、試合後にご本人からお話を伺うことができたので、ここに追記しておこうと思う。

〇2s切りについて 
「2着目のぶる選手に対して、一発で打ってはいけないからケアとして現物を切った。また、みずき選手に混老頭トイトイなどを放銃してしまうと上位争いが混沌としてしまうので南も切りづらかった」

〇単騎選択について
南はみずき選手が持っているだろうと思っていた。霧島選手から5mが出て2mを打ちやすくなったこともあり、2軒立直にすれば手が短くなっているみずき選手から南を狙い撃ちできるだろうと思った。ぶる選手がかなりツモがきいている印象があったので、このままでは押し切られる、この聴牌が入ったなら行こうと思い立直に踏み切った。」

聞いていて、文字に起こしていて鳥肌が立った。自分が同じ点数状況・同じ牌姿を渡されたら、絶対にできないと思ったからだ。

しかし、コータ選手はわずか3秒でこの打牌を提示してみせた。無論3秒だけで全て考えたわけではない。前々の巡目から深く思考を巡らせていたからこそ、我々には即決に見えるような速度で2mは河に切られていったのである。


この気迫の決断に、展開も味方した。

親の霧島岬選手からも立直が入る。字牌というものは、1軒立直に対してでも現物がなければ切りたくなるものである。ましてや、3軒となればなおさらだ。

さらに、霧島岬選手の宣言牌が7sだったことも何かの運命の悪戯だったか。

📗「チー」

ペン7sが鳴けて聴牌ができた。できてしまった。純チャン確定、高目三色同刻の1sと9pのシャンポン待ち。そしてみずきけい選手の手から放たれた牌は……

南。コータ選手の満貫和了である。

🐳「いやうますぎ!」
🍵「ね、南単騎うまい!」

麻雀を題材にした漫画か小説を書けと言われたら、私にもこの展開は思いついたかもしれない。しかし、自分の手でこれを現実にできていたかと言われたならば間違いなく無理だったと確信できてしまう。

2sのところで南切ってれば258s待ちでもっとわかりやすかったじゃねえか!などと笑っている場合ではないのである。リスクとリターンの天秤を繊細に見定めて、きちんと回答を導き出してみせた。この和了を見ることができただけでも、このチームを応援しようと思えてよかったと私は感じた。



🦇「ところでコータさんまだ鳴いてない……w」
🐳「裏切り者じゃんw」
(´・ω・`)<コータニキ……
🐳「ヨプさん喜んでよ!なんでがっかりしてるんだよ!僕は大満足ですよコータさんも立直でしっかり打点を作って」
🍵「すごーい♪」

……そういえば鉄チーなんたら計画みたいなのありましたね。南単騎で盛り上がりすぎてて忘れてた。

東3局~なんでも鳴けばよい?

東3局のコータ選手は一転してお休み気味の牌姿。

9巡目にしてようやくこの形。他家の河を見てもかなり後手を踏んでいそうに思える。

ここからコータ選手は8p9pのペンチャン落としを選択。
🐳「これは鳴きのコータ出ますか?」
🦇「どうだろう。中は安牌2枚として持つかなあ、どうかなあ」
🖋「多分ですけど、鳴く気なら2軒に安全そうな8p9pは残すと思うんですよ。鳴く気あるなら索子の二度受け払うと思う」

副露派雀士同士、考えが通じるところがあったのだろうか。ほどなくしてぶる選手から3sが出るが、コータ選手はこれをスルー。
🐳「急所ともいえるが鳴かない!鳴きのコータ、出ず!」

ヽ(゚∀゚ )ノ<チー……しない!?
(´;ω;`)<……つらい……

🖋「2sが怖い場というのもありますからね」
🐳「たしかにかなり怖いですね」

他家と自分の速度差、点数状況。ひとくちに鳴きといっても様々な条件を鑑みて判断するものなのである。言葉にすると当たり前のように思えるが、実戦の場でバランスを保ち切るのは本当に難しい。こういうところがきちんとしているのも、強さの証明といえるだろう。

親のみずきけい選手から終盤に立直が入ったが、その直後にぶる選手が1000-2000のツモあがりを決め東3局は決着となった。

🐳「悪くないですね、上と下が分断されて連対は取りやすくなった」

続く東4局は、親のぶる選手が2600オールのツモ和了を決めた後、1本場でみずきけい選手が500-1000の1本場を軽くツモあがり。コータ選手は僅差の2着目で南入となった。
しかしコータ選手もここでは先手こそ取られたものの、一発消しなどさぼらずにきちんとすべきことはこなしてゆく。こういうところがしっかりしているからこそ、本当に頼れる選手だと感じた。

南2局~JKを追え!

南1局はみずきけい選手と霧島岬選手が立直をかけるも、ぶる選手がみずきけい選手から2000点(+立直棒)をもぎ取る結果に。
これでコータ選手は親番がなくなった。しかしトップ目のぶる選手との点差はこの時点でわずか5100点。トップが偉いルールだけに、この点差を黙って見ているわけにはいかない。JKの背中を猛追する豚の図がここに完成した。……文字列だけ見たらただの事案だなこれ。

🖋「ぶるさんとはある意味協力関係といえるかもしれませんね。一緒に親番流そうねって」
🐳「マラソン大会とかで一緒にゴールしようねって最後抜き切ろうとするやつだ」

🐳「コータさんが役牌ポンしたら、コータさんの上家のぶるさんはある程度絞らずに鳴かせてくれるかも」
🖋「逆の考えもありますね。ライバルはあなただから、あなたが親と戦ってくださいというのもある」
🍵「なるほど~」
🐳「特にこういうリーグ戦の序盤だと動きはわからないですね。ぶるさんがどういう動きをするのかは見ておきたいけど」

そんな会話をよそに、コータ選手はまたしても面前で手を進めていった。
しかし、この局はそれ以上に何が何でもあがりたい人がいた。

📗「ポン!チー!チー!」
現状3着目のみずきけい選手である。トップ争いが熾烈な一方で、ラス争いも一度の和了でひっくりかえりうる点差にあった。ましてやライバル目の親番となれば何が何でも流したい。全力の仕掛けでタンヤオドラ1、25s待ちにたどり着く。

その直後、コータ選手にも聴牌が入る。

メンピンドラ1。待ちは69s。これだけ聞くと何の迷いもいらないが出ていく牌はドラの6p。目の前にはかなりタンヤオの聴牌が入っていそうな人がいる。

そんなことで日和っている場合ではない。どうしても欲しいトップが目の前にあるのに、見送る道理などありはしない。

🐳「いったー!」
🦇「強気!」
🍵「強い!」

殴り合い上等。チャンスがあるなら取りに行く。これが重戦車の生き様だ。

裏も1枚乗せて満貫。これで再びトップ目である。


🖋「……ところでこのチームって副露率1位だったはずでは?」

🐳「麻雀は立直だよ立直!」

(´・ω・`)<……
ヽ(゚∀゚ )ノ<麻雀は面前!
鉄チーむいさん計画、頓挫。

オーラス~デッドヒートの果てに

南3局はぶる選手が早々に立直にたどり着き1000-2000のツモ和了。

なんと100点差でオーラスを迎えることとなった。
🐳「若干有利ですかね状況?」
🖋「横移動しちゃうと怪しい」
🐳「ツモなら親被りがある」
🦇「いやもうコータさん、自分で決めよう!

打点は問題ではない。とにかく和了が欲しい。そんなときに役に立つものと言えば何か。

チー!ヽ(゚∀゚ )ノ
チー!ヽ(゚∀゚ )ノ

そう、副露である。5巡目にして早くも258p聴牌にたどり着いた。

🦇「これは勝ちでしょ!」
🍵「これは……!」
🐳「勝ったな、風呂入ってくる」
🖋「風呂入ってきますか」

緊張の糸が一気に緩んでゆくAPB控室。

しかし、この状況には罠があった。なぜ親のぶる選手はこんなにも早い巡目で5sを切ったのか。なぜ6pは手出しですらなくツモ切りだったのか。
その疑問にはほどなくして回答が提示される。こういう切り方をしてくる選手は、変則手でもない限り……

手が整っているのである。
最後の最後まで、APBの前にスーパーJKが試練として立ちはだかる。

もちろんコータ選手もオリるわけにはいかない。無筋だろうが、ドラだろうが、眼前にあるトップめがけてぶった切る。

🐳「これは行くしかない」
🖋「押し切れるかどうかだけ」
🦇「あ゛ー怖い゛よ゛ー!」
🍵「あ~」

一転して緊張が高まる控室。できることは仲間の勝利を全力で願うのみ。

譲れない。譲れるわけがない。チーム戦の面白さと怖さが凝縮される瞬間である。抜きつ抜かれつのラストスパート、最後に頭一つ抜け出したのは―

コータ選手だった。

試合後

🍵「いや~かっこいい!」
🐖「いや~……超よかったマジでー!!!
帰還したヒーローの第一声は、あまりにも強烈だった打牌が嘘であったかのように、心の底からの安堵がにじみ出ていた。

🐳「東2局の南単騎立直最高でした」
🐖「いやーあれはもう、最悪清老頭あるかなと思って、ただこっちだってドラ赤赤あるからって行って、最後霧島さんが3軒目立直してくれたのが良かった」

確かな実力と経験を持つ、雀歴30年超の雀士。
しかしその実態は、時に自らの不運を嘆き、時にラーメンに舌鼓を打ち、時に競馬の予想を外し、そして常に皆から親しまれる気さくなおじさん。

その丸くて広い背中は、チームメイトにとってはこの上なく頼もしいものであるに違いない。


ANC PURPLE BATS +85.9pt
現在、暫定1位。

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