憧れは、手が届きそうなほど遠くに~第2期Σリーグ第5節第2試合『ANC PURPLE BATS』Lusyaba選手視点


試合前

卓組


東家 『ANC PURPLE BATS』Lusyaba選手🖋
南家 『縁』アサダスズメ選手🐦
西家 『LogicArt』やまだでこ選手🗻
北家 『風林火にゃん』葉弥さん選手🐾

『縁』からは打数と言えばこの人、VPL2期生アサダスズメ選手。前回登板はねじまき鳥選手との鳥類対決に敗れ4着。個人・チームともに苦しい出だしとなったがここから巻き返したい。
『LogicArt』からは育成枠詐欺の一角、やまだでこ選手。初登板では前評判通り、とはいかず4着発進となったが今回はどうか。
『風林火にゃん』からはかつて『BCC』を率いたリーグ常連、今期は選手として腕を振る葉弥さん選手。前回登板では終盤まで苦しむもオーラスに跳満和了を決めてラス目からの逆転2着。

この卓は、奇しくも様々な思い出が交錯する卓となった。
やまだでこ選手は、以前からΣリーグを追っている方ならご存知かと思うがご自身のnoteで観戦記を書くほど熱心にBCCを応援されていた。BCCは解散したが、かつて愛したチームの元リーダーが目の前にいることについては、多少なりとも思うところがあるのではないだろうか。

一方のLusyaba選手にとっても、この卓組は決まったときから楽しみで仕方なかったことだろう。

🖋「Σリーグに応募したきっかけである縁のアサダスズメさんと一度は当たりたい」

APBお披露目配信より

牌譜屋さんの玉南打数ランキングで近くに名前があったこともあり、意識していたアサダスズメ選手。この人と当たりたい、と考えていて実際その通りになってみると、気持ちは否が応にも高まるものだ。

様々な思いが交錯する第2試合。各選手の心情を推察しながら見てみても面白いかもしれない。

前回のLusyaba選手

前回は南場の親番で大量加点を見せるも一歩及ばず2着。特に東3局の打5pは悔いの残る選択となってしまった。
強い心をもって、今度こそ納得いく結果を持ち帰ることができるか。

対局ハイライト

東1局~闘志を燃やせ

親番スタートとなった東1局。

配牌はまずまずだが、それとは別に1つ懸念点が浮上していた。
🍵「アサダスズメさんイリヤ使ってる……w
🐖「仕事が早い」
🐳「Lusyabaさんの闘争心に火がついてしまう。燃えてましたからね。イリヤ引き当てた奴は許せんって」


🦇「なんかね、マイナス40kってXに書いてましたけどkって何なんでしょうね」
🐳「カロリーかな?(すっとぼけ)」
🐖「カロリーって聞くと僕がちょっと」
🐳「変なところに飛び火しちゃった」

そんな話をしている間に聴牌が入った。
🍵「おっ」
🦇「あっ」
🐳「う~ん……」
リーのみカン3p。形も打点も面白くないが……

🐳「おお迷わずいったあ!
ここは力強く立直を宣言。

🐳「迷わずいったのがいいですね」
🍵「ですね、リーのみ愚形どうしようって(思ってしまいそう)」
🐖「腕ブンブンじゃないっすか」

🐳「手替わり少ないし親だし立直したほうがいいんですけどけっこう迷っちゃいそうじゃないですか。でも迷うと周りから『ん?待ち悪いのかな?』みたいな邪推されやすいんで」
🦇「親リーだからねー圧があるよねー」

結果は流局となったが1人聴牌で加点に成功。勇気を持った即リーをしたLusyaba選手の判断も素晴らしかったが、3pを掴んで抱えたやまだでこ選手をはじめ、他3名の冷静な守備も見事だった。

続く1本場も軽くあがれそうな配牌。
🍵「おっダブ東」
🦇「スピード感ある手だ」

ドラの3pこそ使いきれなかったものの1p暗刻で符がハネた。やまだでこ選手からロン和了を決めて3900は4200の加点。ついでに自分で投げた立直棒も回収できたのはけっこう気分のいいものである。

勢いそのままにいきたい2本場

🐖「3対子」
🐳「とりあえずまっすぐいきますか」

🐳「おっチーしない!トイトイ見てる
🐖「トイトイ見てる~」
🐳「間違いなく見てる」
🍵「この間……」
🐳「この間のリベンジだ」

反省を糧に。そんな意思を感じ取られる一幕であった。

しかし他3選手も黙って見ているわけにはいかない、やまだでこ選手から立直が入る。

🍵「わ~ツモる~」
🐖「わー」
🐳「アハーッ」
自分の河で中筋にしていた6sを自らツモりきって跳満。
🍵「お見事」
🐖「うーん強い」

このあと東2局ではやまだでこ選手が満貫をツモ和了。東3局では葉弥さん選手がやまだでこ選手から2600点をロン和了しあっという間に東4局へ。

東4局~不穏な風

親番が落ちてからは聴牌まで行く前に終わってしまった。そろそろ追撃したい東4局、Lusyaba選手は雀頭こそないが5巡目にして聴牌。
🐖「これドラ単騎?」
🐳「いやーいくでしょ」

これも迷わず曲げる。立直判断以上にその速度が印象的に映った。今日のLusyaba選手は心なしか前回より強気に見える。
🐳「19字牌のドラ単騎はだいたい曲げて問題はない」
🍵「3山、ツモれるツモれる」

しかし、ここは親の葉弥さん選手が競り勝った。立直に対して粘っていたアサダスズメ選手からロン和了を決めて親番を継続。
🐳「いやー惜しい、でもLusyabaさんナイストライ」

続く1本場、誰がどう見ても異常な事態が起こる。

やまだでこ選手、赤578とあったところから1枚目の9pをチーして打赤5p。
🐳「あ゛~」
🍵「あっあっあっあっ」
🐖「あ~もう贅沢なところから鳴いてるよ」
🐳「やばいよあれ」
🍵「やばいやばい」
🦇「やばいやばーい」

ほどなくして、そのやばい進行の正体が明らかになる。

白をポンしてからの……

配牌から暗刻で持っていたドラを使って満貫。奇しくも葉弥さん選手から直撃を取ることとなった。
🐖「まあうちとしては」
🐳「2着の可能性は上がるんですけどやっぱトップ取りってことを考えるとうーん」
やまだでこ選手が大きく抜け出して勝負は南入となった。

南1局~暗雲

迎えた2度目の親番、ここでも手牌は悪くなかった。
🐳「とりあえず連荘はできそう」
🐖「南發トイツでね」

萬子のホンイツも見えていたところだったがドラを引き入れた。そしてこの形の1シャンテン。
🐳「鳴いて2900にしたくない…」
🍵「立直したい~」
🐖「たしかにこの状況で鳴いて2900はちょっと物足りないですよね」
🐳「でも難しい、鳴いちゃっても」
🐖「赤5m持ってきて立直で万事解決ですよ」

もどかしい時間が続く中、ここでツモ9s。最大限に受けるなら単なる不要牌だが……

Lusyaba選手の選択はここで打5m。
🐳「まじか」
🐖「おっ」
🐳「この前のトイトイ逃しもこれだったんだよな~」
🐖「www」

その直後、やまだでこ選手から立直が入る。
現物もあるとはいえ、1シャンテンをキープしながら粘るなら切るものは9sしかなさそう。

しかしこれが単騎待ちに刺さる。安全を意識して5mから切ったはずが、あまりにも痛すぎる結末となった。
🐖「はい、懺悔案件です
🐳「懺悔ですね
🍵「あぁ~つらい~……」
🦇「一部の層のファンを裏切らない
🐳「イヤ~ルシャバサ~ン」(囁き)
🐖「あーもうこれ下大混戦だわ」

南3局~まっすぐ走れ

続く南2局は葉弥さん選手がやまだでこ選手から2600点を和了。

🍵「まだ大丈夫、頑張れっ」
迎えた南3局、愚形残りながらもまっすぐに手を進める。

最後までカン4sが埋まらなかったが立直タンヤオ赤なら打点は悪くない。ここも力強く立直。今日のLusyaba選手の立直判断はとにかく速い。

🐳「うおおお強気ぃ!」
🦇「曲げていく~」
🍵「曲げる~」

その後聴牌していた葉弥さん選手が撤退を選択。
🐖「あーやめたっ。おしおしおーしゃ」
🐳「このままいけるか~?」
🍵「ツモツモ、ツモ……」

やまだでこ選手はベタオリ。アサダスズメ選手は1シャンテンで粘るが有効牌を引けず終盤で撤退。あとは山との勝負だ。4sは残り1枚山。引けるか。

🐳「流局でも……」
🐖「1人聴牌でオーラス迎えるとあがり2着」
控室でそんな話が出始めた流局間際。

執念がついに実を結ぶ。東1局以来久々の和了となった。

🍵「あーツモったー!」
🐳「お゛お゛お゛お゛お゛っし」
🦇「ナイスー!」
🐳「いた~、よかった~」
🦇「ちょっと諦めそうだった」
🍵「ナイスー!」

流局かと思われたところであまりにも大きい満貫ツモ和了。混戦模様の2着争いから一歩抜け出した。

南4局~空は遠く

トップこそ離れたが何とか2着は見える。何とか逃げ切りたいオーラス。

1mトイツ落としでタンヤオを見据える。とにかくあがりたいときには何かと便利な役である。

しかしやまだでこ選手からドラポンが入った後親立直。宣言牌5pをチーして1シャンテンにとり、次に親から切られたのは4m。
この4mを鳴けばタンヤオのペン6p聴牌だが……

ここはスルー。4sを持ってきたところで打8p。
🐳「次47m鳴けたら2s3s待ちにするのかな」

次巡、またしても葉弥さん選手から4mが出る。
🐖「あっ鳴ける鳴ける鳴ける」
🐳「勝負!」
🐖「さっきの形だと、69pで片あがりになっちゃうのを嫌ったんすよ」
🍵「うんうん」
🦇「なるほどなるほど」
🐳「待ちはこっちの方が圧倒的にいい。ただ9p3枚見えてたので行ってもよかったかも」

より良い形で勝負したい。親リーとドラポンが入っているならそう思う気持ちもなおさら理解できる。

ところが次巡に顔を出したのは6p。結果論ではあるが、まっすぐペン6p待ちで勝負していればここで2着で終われていた。とはいえ、やれといわれてもなかなか難しい選択だった。見てる側は無責任に何でも言えてしまうものだが、実際に卓に座ってみないとわからない難しさと恐怖心がある。
🐖「これ本当にきついもん持ってきたらもう……」

そして通っていない8mが来てしまった。ワンチャンス2sを切ったところで8mは自分で切っているのでフリテン。

ここで撤退を選択。
🐖「ああ~怖いっすよね」

この局は親の葉弥さん選手の1人聴牌で流局となった。
続く1本場。親が大量加点する前に一刻も早くけりをつけたいところ。

この6pをチー。一通での躱しを試みる。親は索子の染め模様。仕上がってしまえば非常に怖い打点になりそうだが、その反面急所の8pも引いたらツモ切ってくれるだろう。

🦇「字牌切るのも怖いわね」
🐳「(生牌の)南は怖いですね。ワンチャン南単騎考えてるかも」

そんな話をしていたところに持ってきた8s。8だけど君ではない。親にポンされるかもしれないがこれは切るしかない。事態は一刻を争う。

🍵「ああ~それは……!」
🐳「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

ところが葉弥さん選手からはポンではなくまさかのロンの声。余りなしの清一色を張った瞬間に掴んで放銃してしまった。
2着が見えていたところから一気にラス目へと転落。あまりにも、あまりにも苦しい。

🐳「終戦ですねこれは……いやまだ残ってるか」
🐖「まだまだまだまだ」
🍵「まだまだ」
🐖「まだ、まだわからん」

状況は限りなく逆風だが下を向いている暇などない。対局はまだ終わっていないのだ。
勝負はオーラスの2本場。他2人は遠くに飛んで行ってしまったが、1羽の鳥が見えるところにいる。捉えられるか。

今欲しいのはただの良形ではなく打点。ドラの重なりと678三色に望みを託す。
🐖「7p7s入ったら即曲げですね」

ところがここで親の葉弥さん選手から立直の声。
🐳「まあ耐えましょう、しっかり、流局まで」
次局があるならまだ勝負はできる。こんな点数状況でオリるのは癪だが、ここは堪えるしかない。

ほどなくして葉弥さん選手が山にごっそりいた25sを仕留めてみせた。これでやまだでこ選手を抜き去りトップ目へ。Lusyaba選手が引きたくて仕方なかった7pがここに4枚あるのもまた、逆風を示唆しているのかもしれない。

🦇「風林火にゃんに勢いが」
🐳「そうかエンデさんもトップだったから」
🐖「(マイナスから一気に)帰ってきますね」

このツモで箱下に沈んだLusyaba選手。しかし、地上の光はまだ見える。わずかでも希望が残っているなら、そこにすべてを託すしかない。

今度こそ、今後こそアサダスズメ選手を捕まえたい3本場

聴牌はしたが嬉しくない方から入ってしまった。立直タンヤオのカン5m。
🐖「いや~……」
ここまで迷いなく立直をかけてきたLusyaba選手。しかし、ここでは手が止まった。無理もない。待ちが悪いうえに逆転が確定する手でもない。とはいえ、状況が待つことを許してくれなかった。

四の五の言っていられない。これも曲げる。
🐳「いやまじか、強い」
🍵「強い」
🐳「強いが、これあがれるか?」

この時点で待ちの5mは残り1枚。赤5mも既になかった。しかし、その1枚に託すしかない。
🐖「パッツモは変わる」
🐳「あるいはツモって裏か」
🦇「さっきも(カン4m)残り1枚であがった!」

必死に祈る控室。
そして、最後の5mが山から顔を出す。
「ツモ!」

声の主はLusyaba選手……ではなくアサダスズメ選手。最後の望みを託した牌は、目の前を通り過ぎて飛んで行った。

🐳「1枚ずれてたか~いや~惜しかったな」
🍵「ナイスファイト」
🐳「ガンガン立直いってたのはすごいよかったですけどね。Lusyabaさんやっぱりダマの印象が強いから。それを愚形でもガンガン曲げてたのはめっちゃよかったんだけど。結果がね~!」

試合後

🖋「いや~力及ばず」
🐳「ドンマイです」
🍵「ドンマイです、ナイスファイト」
🦇「ドンマイドンマイ」
🐳「(なかなか通話に戻ってこないから)ヽ(゚∀゚ )ノが『るしゃっち帰ってこない!』って心配してましたよ」
🖋「ネタバレ防止のために待機してました」
🐳「どうでしたか終わってみて」
🖋「悔いが残るところはあるっちゃあるんですけど、(オーラスの清一色放銃は)手出しちゃんと見て8s打ってるんで、あれはもう」
🐳「まだ余ってなかったですからね」
🖋「あともう1個、やまだでこ選手の9sはちょっとね」
🐖「あれですよね、455から先に5mほぐしたところ。赤5mポンも視野なので9s切ったほうが良かったかな」
🐳「9s自体はあの立直には打っちゃいます。一発かそうじゃないかくらい。打ったこと自体は悔やむことはないと思います。ただ残しちゃったのがクエスチョンだったかな。まあ後で振り返りましょう」
🖋「新規(🍵🐳🖋🐖)で僕が最初にラスったのが逆によかったかな。皆さんが今後ラス引いたとしても気持ちよく帰って来られるように頑張っていきたいと思います」

夢にまで見た対決の結末は、あまりにもほろ苦いものとなってしまった。しかし、戦いはまだまだ折り返し地点ですらない。今は遠くに見える空も、いつか必ず掴めるチャンスは訪れるはずだ。

ANC PURPLE BATS 90.3pt
現在、暫定4位。

🐳「では、この辺で終わりにします。〆はいつもの言葉で。僕が『ANCは』って……ごめんなさい。『APBは』というので、皆さん『いいね』で……あっいいねじゃない『いいぞ』だ……w」

麻雀以外ではアンバランスな一面もあるひげくじら選手でした。

おまけ


対局後も楽しそうで何よりです。

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