ヒロインたちの激戦~第2期Σリーグ『ANC PURPLE BATS』第4節第1試合日菜むい選手視点
控室配信↓
日菜選手の視点配信↓
試合前
卓組
東家 『ANC PURPLE BATS』日菜むい選手🍵
南家 『なんでも鳴けばいいというものではない』夏八木玲衣選手🌴
西家 『麻雀以外麻雀じゃないの』犬童レイナ選手👿
北家 『風鈴火にゃん』ねこ武者🐱
前期覇者『ななない』の期待の育成枠。ドラフト時は雀傑3だったが雀豪2まで段位を上げてきた夏八木選手。前回登板では「主人公」と評される堂々たる立ち回りで見事2着。
『麻以麻い』からは先日嬉しい雀豪昇段を果たした、攻撃には自信ありの育成枠犬童レイナ選手。前回登板では天鳳位ヨーテル選手をはじめとした強者に囲まれながらも力強くトップを持ち帰った。
そして『風林火にゃん』からはリーダーねこ武者選手。前回登板ではLusyaba選手とのデッドヒートで競り勝ち見事トップ。
第1試合は非常に華やかな卓となったが、豪華なのは見た目だけではない。
第3節終了時点で『ななない』1位、『APB』2位、『風林火にゃん』3位、『麻以麻い』6位。まだ気が早いと言われるかもしれませんが、並びの上ではいきなりの上位対決である。
しかも日菜選手を含め全選手が前回登板を連対で終えている。今回もまた熾烈な戦いが繰り広げられそうだ。
🍵「前回なかなか苦しい展開の2位だったので、今度こそトップ持って帰れるように頑張ります」
一方で、他の卓も例にもれず豪華であった。
🐖「B卓すごいですね。協会のプロに天鳳位に……あと雪霧さんはAPB唯一の魂天ということで」
🦇「VPLのこと?今APBって言ったけどw」
🐖「言ってました!?すみません、僕アルファベット3文字苦手なんです」
APB唯一の魂天コータ選手、おちゃめな一面を披露。
🐖「あとA卓の方は(椎凰)いと(比木丹)いと対決ということで。どっちが縦の糸でどっちが横の糸か」
そして選曲に年代が出ている。(中島みゆき『糸』ー2001年)
🦇「こっちは犬猫対決って感じじゃない?」
🐖「まあ犬も猫も結局人間に飼われていく摂理なので、人間のむいさんが頑張るでしょう」
🐖「アイドル枠対決というかヒロインというか」
🐳「華やかというか」
🐖「女流対決というか」
🐳「でも実際中身のぞいてみたら凶悪な打牌してきますよ」
🐖「ダッハーwww」
🦇「たしかにね」
🐳「夏八木さんの前回の登板とか各方面から大好評でしたからね。実際僕ものぞかせてもらってレベル高いなって思いました。今回の対戦の中で手順とか見ておくと強さがわかるかもしれない」
🐖「犬童さんも前回トップ取ってますからね、育成枠ということもあって当たって砕けろでかなり攻撃的に来ると思うのでそこもちょっと注目かと思います」
見た目こそ煌びやかだが、ここに集っている打ち手はみな強者。
今回も、見ごたえじゅうぶんの闘牌が見られることだろう。
前回の日菜選手
前回はなかなか手が入らず後手を踏みながらも、辛抱強く手を作って2度の跳満和了につなげて2着。
3着で十分と控室が言っていた中で、逆風のなか最後まで上を見続けて持って帰ってきた、あまりにも鮮烈な印象の2着であった。
今回の登板でも、最後まで全力で上を目指して戦ってくれることだろう。
対局ハイライト
東1局~綺麗な卓にはご用心
ひげくじら選手の戦前の予想通り(?)東1局から卓上では激しいぶつかり合いが繰り広げられることとなる。
🐖「2メンツできてますけどねこ武者さんにドラの白対子」
🐳「嫌ですねえ」
🦇「純チャンにいける?」
🐖「純チャンと言えば、前回(登板の跳満ツモ)」
🦇「つい意識しちゃった」
日菜選手の配牌も悪くはなかったが、それ以上に手が良かったのがねこ武者選手だった。
配牌の勢いそのままに、ねこ武者選手は白をポンするまでもなく自力で聴牌に到達。早々と立直を入れる。
🐳「おいおいおい」
🦇「あーいやっ」
🐳「ツモられないことをお祈りですね」
このまま悠々一人旅、と思いきや……
🌴「シャンテンプッシュ!」
2鳴きで1シャンテンまで到達していた夏八木選手が粘りを見せる。
🐖「ここは夏八木さんに頑張ってもらった方がいい」
🐳「まったく」
雀頭がない状態だったが、4pを縦に重ねて聴牌し……
犬童選手から立直の現物6mをとらえて躱しきった。
🐖「これは助かった。親落ちた形になりますけどかなりいい」
早々に立直が入った程度では簡単には退かない。
この卓は華やかなだけではない。東1局からバチバチに火花が散っている。
東2局~勇気
続く東2局の配牌は……
🐳「前回から……配牌が良くないな」
🦇「けっこうその、玄人向けのが好みみたいですね」
🐖「これすぐねこ武者さんから立直飛んできそう」
🦇「ああいう配牌をむいちゃんにあげてほしい」
🖋「🐱にポンテン入れてもらったほうがマシかもしれない」
🐳「いや、うちの日菜むいがあがる」
なかなか日菜選手の方へと追い風が来てくれない。しかし、与えられた手牌でできることを精一杯やるしか道はない。
そんな中、またしてもねこ武者選手が聴牌に到達。
發を鳴くどころかメンタンピンに仕上げて立直。待ちは58s。なんとこの時点で6山。
🐳「發落とし見事ですね」
🐖「いやーこれは良い手順」
しかし、日菜選手も丁寧に手を進め……
聴牌。
🐖「あっ入った。これは曲げます」
🐳「これで放銃になってもやむなし」
自身の手にはドラが1枚もないが……
🍵「行きます、立直!」
ここは強気に立直を選択。
🐳「1m当たるように見えないのでラス1の1mが浅ければ勝ち」
枚数はねこ武者選手の方が有利だが、これなら勝負に値するか。
ところが、勝負は2人のぶつかり合いというほど単純でもなかった。
同巡に犬童選手も立直にたどり着く。
🐳「うおおおお」
🐖「おーーーっと!?」
🖋「怖い怖い怖い怖い」
🍵「わああ三軒立直……まあ戦うって決めたんで」
東1局に続き激しいぶつかり合いである。
しかし、ここは犬童選手が不運だった。自身の待ちのペン7sが既に山になかったのである。
ほどなくして、犬童選手のもとに当たり牌がきてしまった。
「ロン!」
この戦いを制したのは日菜選手。
🍵「よし、勝ちましたー!」
🐳「いやーでかいね」
🦇「オッケオッケオッケ」
🐖「これは大きい。打点こそですけどいいあがり」
🐳「ねこ武者さんの大物手を流すことができたんでね」
🐳「ドラのない平和のみで怖いですけどちゃんと立直して」
🐖「ね。腕振れてますね」
いくら曲げたほうがいいと言われても、こういう勝負の場面で実際に踏み込むのは本当に怖いものである。
それでも、見事に切り込んで勝ってみせた。これで微差ながらトップ目。
東3局~闇に潜む
1本場は犬童選手の1人聴牌で流局。日菜選手は七対子の1シャンテンで粘るも聴牌までは届かず。
🖋「犬童選手の仕掛け見事でしたね」
🐳「積極的で」
続く1本場。配牌は……
ドラも赤も両面もない。またしても逆風か。
🐳「今回も……悪いなあ」
🐖「前に出ていくのはちょっとなーって感じですね」
中盤に親の犬童選手が立直。待ちは14p。
さらに日菜選手のもとに一発で1pが舞い込んでしまった。さすがにこの局は撤退せざるを得ない。
🐖「あとは当たり牌ダイソンしてもらって」
一方で、他2人はぎりぎりのところで粘りを見せる。
🐱「チー!」
ねこ武者選手は鳴きの一通で局消化を試みる。
そして、夏八木選手はというと……
聴牌に到達した。とはいえ役はなく、待ちは3m単騎か5m単騎。あまりにもよろしくない。
ここは聴牌を取らずに打1mとした。
🐳「面白い。これいいね、好きですよ」
1mが速い分2mが愚形に当たる可能性も低い。仮の聴牌を取るよりも、5mのくっつきに期待した方が分がいいという判断。
ひげくじら選手も絶賛したこの打牌にツモ山も味方した。
7pと8pを2巡連続で引き入れて69p待ちの役有り聴牌。
高めドラの9pが立直の現物ということもありここはダマテンを選択。
🐳「どっちもありますね、リーグ戦なら立直って言っても」
🐖「おかしくないですね」
この選択に捕まってしまったのがねこ武者選手。一通を維持するなら切る牌は1pだが、親に危ない(し、実際当たる)。とはいえ聴牌は取れるものなら取り切りたい。しかしケイテンを狙おうにも2pも親に通っていない。
日菜選手は手出しが続きやめているように見える。夏八木選手の打牌も現物と現物のスジ。そこまで派手というわけでもなかった。とすれば、打つべき牌は親に通っている9p……
となるのも当然に思えたが、なんとこれが痛恨の満貫放銃。夏八木選手が競り勝った。
🐳「ダマにしたからこそ」
🐖「いやこれはお見事ですね、確かに素晴らしい」
🐳「敵チームを褒めてばかりですが」
🐖「いやよく耐えてますよ、前回同様」
南1局~12000の乱舞
東4局は夏八木選手の1000-2000のツモあがりで南入。
🖋「いや~我慢の展開が多いですね」
🦇「東場はずっと我慢だね~」
辛抱する木に花が咲くとはよくいったものである。ようやく好配牌が手元にやってきた。
🐖「おっ!ようやくいけるかこれ」
🦇「親番で手が入ればオッケー!
そのまましっかりと手を進めて發と6sのシャンポンリーチにたどり着く。
🍵「4p鳴いて發バックにすべきだったか悩ましいんですけど……立直と言いたい手なので。よし、そうです!これを待ってました!」
4pを鳴いていたら2900点の片あがりになっていたところだったが、ぐっとこらえて面前で手を完成させる。これの方が待ちも打点も良い。
🐖「發1枚と、6sも2枚いますよこれ」
🐳「ツモってええんやで」
🍵「よし、ナイスツモ!」
この進行にツモ山も応えた。見事4000オールのツモ和了。
🐖「オッケイ!」
🦇「ツモったナイス~!」
🐖「耐えた甲斐があった」
🐳「これちゃんとあがるのは強い」
🖋「やっぱ東場耐えた人なんだよなあ」
控室も大絶賛の会心の和了。これで再びトップ目に。
続く1本場も手牌は悪くない。
悪くはないのだが、そのぶんかえって何を切るのか悩ましい格好に。日菜選手はここから打8sとした。
🐳「これ難しいですね、2s3s切るもあった」
🖋「何言ってるんですか、茶柱は2s重ねるんですよ」
🐖「大変失礼いたしました」
🐖「じゃあ36p入ったら……」
🖋「茶柱単騎」
🐖「むいさんにのみ許される」
🖋「とんでもないことになっちゃう」
なお茶柱単騎については段位戦できちんと決めてみせた実績がある模様。
などと話しているうちに聴牌は入った。のだが……
重なったのはよりによって4pだった。
🍵「ああ~……」
平和が消えるうえタンヤオも未確定。おまけに赤5pが出て行ってしまう。
聴牌するもののなかで一番嬉しくないものが来てしまった。
とはいえ贅沢を言っていられるような巡目でもない。
🍵「まあしょうがない、これはしょうがない!親の立直は偉い!」
🐳「まあ曲げるよね、一盃口あるのがでかい」
親の立直は確かに偉い。
しかし、この卓に座る子は皆反抗期真っ盛りであった。
犬童選手から追っかけ立直が入る。
🐖「あっやばいやばい」
さらに終盤になって夏八木選手も聴牌にたどり着いた。
待ちはカン7p。打点こそあるものの役がなく、しかもこの時7pは河に3枚切れていた。あまりにも反応に困る聴牌である。
聴牌する場合打つこととなる5mは、親の日菜選手に対しては中筋だが犬童選手に危ない。何よりドラが6mなので日菜選手に対してもカン5mなどに当たるリスクもある。さらに、5mが通ったとしても次順に危険なものを引くかもしれない。
踏み込むにしても、5mを縦に置いていったん聴牌だけとっておき、危険なものを引いたらやめる、くらいが落としどころかとも思えたが……
夏八木選手が下した決断は即立直。
🐳「まじかつっよ。並の胆力じゃ打てないですよ」
この半荘2度目の3軒立直。決着を決める牌はなんと海底にいた。
最後のカン7pを引き当てた夏八木選手が跳満のツモ和了。
🐖「うわーまじで!?」
🦇「わーーー」
🐖🐳「「つっよ」」
🐖「これはお見事だわ」
🐳「両手を上げるしかない」
🐖「すみませんでしたーつって」
🐳「ただまあまだ逆転できない点差ではないんで。頭下げずにやっていくしかない」
その思いは日菜選手とて同じだった。
🍵「ひゃ~お強いー……まだ、まだ大丈夫。まだいけるまだいける!」
夏八木選手に5万点近くまで稼がれてしまったが、まだ3局残っている。
全員の思いが激しくぶつかるこの卓では、まだ何が起こるかわからない。
南2局~そろそろ混ぜろよ
まだわからない。
当然ながらそう思っていたのは、日菜選手だけではなかった。
3着目の犬童選手から立直が入る。
🐳「いや~いいな」
白対子落としでの立直。かなりの十分形に見える。
ここまで果敢に攻めるも0和了2放銃の犬童選手。今度こそ反撃となるか。
しかし、日菜選手も粘りを見せて七対子聴牌にたどり着いた。
🍵「ちょっとだけ……押させてくださいお願いします!」
🐖「おおおおお、いった!」
🦇「(決断)速い!」
待ちの西単騎こそ強そうではあるが、現状では打点があまり見えない。
七対子という手役はどうしても単騎待ちになる性質上、後手から押し返すのは難しいところもある。
それでも、ここはわずか1秒ほどの間に立直まで踏み切った。
そして次の瞬間、あっという間に決着はついた。
「ツモ!」
犬童選手が跳満ツモ。これで日菜選手に一気に1000点差まで迫る。
🐳「つっよ~」
🐖「裏裏て」
🦇「わ~」
🖋「きついな」
黙って見ているわけにはいかない。攻撃力が持ち味のこの選手が、0和了のまま終われるわけがなかった。
この日は視点配信こそなかったものの、画面越しに犬童選手の叫びが聞こえてきそうな和了であった。
12000点ツモの和了合戦。ねこ武者選手が1人置いて行かれる苦しい展開となり、トップ争いは他3名に絞られた。
南3局~風をとらえろ!
南3局は日菜選手にチャンス手が入る。
ここは少し考え、他家との点数差を確認したのちカンを選択。
🐳「強気だ、いけいけー」
その直後、新ドラの5pを引き入れて立直。
🍵「これでどうですか!」
🐳「いや~諦めてない、まだ全然トップ諦めてない」
🐖「さっきツモれなかった西をツモってこい!」
日菜選手、この半荘5度目の立直。
可能性がある限り、どこまでもまっすぐに追い続ける。
そして見事に高目の西をツモ。自風を引き当てた。
🐖「ナイッスー↑」
🦇「ナイスー」
🐳「強いー」
🐖「ちょっと待って!2mは!?裏4裏4!」
🐳「いやもう裏7!」
🐖「あぁ~スジだぁ~!」
裏にいたのは2m……のスジの5m。とはいえこの満貫ツモは非常に大きい。夏八木選手の背中が見えた。
🐳「ワンチャンあるねえ」
🐖「全然ある、1300-2600でオッケー」
🐳「ワンチャンどころかツーチャンくらいありそう」
オーラス~初勝利は目の前に
オーラス。ここでも日菜選手の手牌は悪くない。
愚形が残りそうではあるが打点は足りている。あとは夏八木選手とのスピード勝負。
🐳「さあ、勝負だ!」
🦇「いいよー頑張れー!」
控室全員で勝利を願う。チーム戦の醍醐味ともいえる時間である。
そして、ほどなくして決着はついた。
夏八木選手、この日5度目の和了。自ら戦いに終止符を打つ。
🐖「ああああああ」
🦇「や~~~」
🐳「お見事」
🖋「いやお見事です」
🦇「ナイスファイト!」
合計13本の立直棒が乱れ舞う、ハラハラドキドキの連続。
この卓に座っていたヒロインたちは、煌びやかでこそあれ、誰一人としてか弱くなどなかった。
試合後
🖋「いやー東場だけで考えるとかなり厳しい展開でしたが」
🐖「コメント欄でもナイス2着ということで」
🍵「ありがとうございます皆さん」
🍵「3mカンあのタイミングでよかったですか?」
🐖「いや全然よかったよ」
🐳「うんうん」
🐖「(南1-1)レイナちゃんがド急所の5s引いてね。こっから夏八木さんがすごい伸びを見せて」
🍵「ねー、そう。ドラもいっぱい、すごっ」
🐖「カン3s入れて、うちの欲しい1sも持って行っちゃって」
🍵「全部持って行ってるw」
🐖「1対1対1の状況で、誰勝つのって」
🍵「いや~最後の1枚引いてくるのさすが」
前回の2着とはまた違い、上がはっきり見えたからこそ残念という思いもあっただろう。
しかし、大舞台でこれだけ腕を振れるのだから、風向きが良くなりさえすれば、チャンスは大いにあるだろう。
初勝利の日は、きっとすぐそこにある。
ANC PURPLE BATS +112.5pt
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