5度目の、最後の初登板~第2期Σリーグ『ANC PURPLE BATS』第3節第1試合甲森あん選手視点
当日の控室配信のアーカイブはこちら↓
配信開始~試合前
今日は甲森リーダーではなく日菜選手の枠で応援配信ということで、改めて自己紹介をすることに。
🦇「コウモリのVtuber、甲森あんです!かなり気合入ってるので皆さんにいい麻雀を見せられればと思います!」
🐖「コータと申します。2試合目かなり楽しそうなメンツなんでね(銀貨先生ーゆうれいいかーうめちゃん)、2連勝できるように頑張ります」
🖋「広報部にも所属しております、鬼打ちダマ懺悔系雀士Lusyabaと申します」
もはや聞き慣れてしまったがよくよく考えるとパワーワードである。
🐳「ひげくじらです。運気をあんさんとコータさんに送ります」
……あれ、超アルティメットなんとかとかいう肩書きはどこへ?
卓組
東家 『Emperor Peng Inc. Σbranch』かくきりこ選手☖
南家 『ANC PURPLE BATS』甲森あん選手🦇
西家 『てんぱねすくりゅ~』シグマ選手🏫
北家 『Luna de esperanza』かちゃまんた選手🎨
VPLフレッシュスターカップ2代目王者、かくきりこ選手。
このリーグにかける思いは誰よりも強い、てんぱねの育成枠シグマ選手。
前回登板は無念の飛びラスとなったが今度こそ本領発揮となるか、誕生日を迎えた組長銀貨先生に吉報を届けたいかちゃまんた選手。
🦇「とりあえずトップ取りますか。連対続いてる(🐳2-🐖1-🍵2-🖋2)ので途切れさせないように頑張ります」
🍵「いってらっしゃい、楽しんでください!」
🐖「シグマさんとあんさんが今期初試合で、2戦目の2人は☖1着🎨4着と初戦の結果が対照的だった。かちゃニキ知り合いなんですけどかなり気合入れてくると思う。まあ勝つのはうちなんですけど」
🖋「シグマさんは配信とか大会慣れされているので、一発勝負に強いでしょうね。まあ、あんさんも相当修羅場くぐってきてますから」
🐖「🦇最近夜な夜な段位戦配信頑張ってるから実を結んでほしい」
🐳「てんぱねの方々シグマさん仕上がってるってXで言ってた」
🐖「仕上がりと聞くと競馬を連想しちゃう」
🐳「そんな話は聞いてないんだよ」
急に辛辣になるじゃん。
🐳「天鳳位のヨーテルさんとかが仕上がってるって言ってるとなんかすげえプレッシャーある。」
🍵「ありますね~」
🐳「改造されて出てくるみたいなイメージすらある」
🐖「サイボーグとして出てくんの?」
🐳「サイボーグ・シグマとして出てくる。確率とか全部計算され尽くしてる」
🐖「サイボーグでシグマって言ったらロックマンXのボス」
※参考:Pixiv百科事典
リーダーの初登板もさることながら、シグマ選手のパフォーマンスも気になるところ。控室もシグマ選手の話題で持ちきりであった。……話が変な方向に逸れている気がしなくもないが。
それはそれとしてシグマ選手のnoteは是非読んでいただきたいです。
私から見た甲森あん選手
新参者が軽率に語るな!と言われそうな気がしなくもないが、APBのリーダー、甲森あん選手を見ていて感じたことをまとめておきたいと思う。
雀風としては、和了も放銃も多いタイプ。コウモリーチが代名詞の攻撃型というのが一番的を射ているだろうか。
一方で、私が甲森選手の姿を拝見していて最も感銘を受けた点は別にある。
それは、真摯さ。
かつては雀聖1まで到達していた段位も、気づけば雀傑まで落ちてしまっていた。
しかし、何度地面に叩き落されようとも羽ばたくことをやめなかった。もういいやと道半ばで投げ出さずに愚直に向き合っている姿は、半端者などでは決してなく、額に汗の光る努力家である。
また、真摯さという面は、これまでのチームの運営においても遺憾なく発揮されていたことだろう。
勝ちたいのはもちろんだが、誰よりもチームのことを大事に思っている。そういったところが魅力的だからこそ、今期まで長きにわたりチームを運営できたのだと感じた。
このリーダーの元ならば、素晴らしいチームができることも想像に難くない。今期のAPBも、今まで以上に魅力的な場面がこれから紡ぎ出されていくことだろう。
対局ハイライト
そんな甲森選手の初登板は、東1局から激しいぶつかり合いとなった。
🏫「立直!」
🎨「ダマテン!」
☖「チーして聴牌!」
甲森選手以外全員が聴牌にたどり着く。
その後、かくきりこ選手の当たり牌を掴んだかちゃまんた選手が撤退し……
親との競り合いを制したサイボーg……シグマ選手が1300-2600のツモ和了。
🐖「これは仕上がってるわ」
🖋「仕上がってる」
🍵「きれいな平和」
甲森選手はいったん見に回り、親番での飛躍にかける。
東2局~風を待つ
迎えた甲森選手の親番。配牌は……
🐳「これは……難しいですね」
🐖「うちけっこう配牌厳しいこと多くない?」
コータニキの悲しい気づきである。特に日菜選手の初登板はとんでもない逆風でしたね。
🎨「東ポン」
🖋「ポンで5p流れちゃった」
🍵「あぁ~つら……」
🐳「一番欲しい牌なのに」
🐖「かちゃニキそういうとこやぞ」
🍵「も~……w」
なかなかもどかしい展開が続く。
しかし、徐々に風向きが変わり始める。
「「うおおおおおおおおおおお」」
これなら5pがなくてもなんとかなる。一気に満貫クラスの勝負手に化けた。
そしてかちゃまんた選手から2sが放たれる。
「「「ポンポンポンポンポンポンポンポンポン!」」」
🐖「ポンです!」
ヽ(゚∀゚ )ノ「ポン!」
🍵「ナイス!」
ヽ(゚∀゚ )ノ「うぇい!」
控室(とヨプさん)の念が通じてタンヤオドラ3の1シャンテンに到達。
しかし先に聴牌にたどり着いたかちゃまんた選手が300-500のツモあがり。12000点で派手に一発、とはいかなかった。
しかし、明確に後手を踏まされた東1局よりは悪くない展開に見える。失点もわずか500で済んだ。勝負はまだここから。
東3局~見えているという恐怖
東3局、今度はかちゃまんた選手に大物手。
🎨「發ポン!ドラポン!」
軽快に仕掛けて一気に満貫確定。
一方で、甲森選手にも聴牌が入った。のだが……
🍵「あぁ~……」
🐳「難しいやつ」
リーのみドラ無しカン7m。見えている満貫に対して勝負を挑むにはあまりにも心もとない。いくらコウモリーチが代名詞の甲森選手といえど、ここはいったんトリダマを選択。
その後、筒子の4連続形を残してカン7mを外し……
🍵「あっこれは……!」
🐖「これいいんじゃないですか?」
東と8mのシャンポン。待ちも打点も良くなった。
目の前には見えている満貫。しかし、これなら勝負に値する。
🐳「怖いけど…いった!」
🍵「立直!ナイス!」
🖋「ナイス立直ナイス立直」
しかし、風はまだまだアゲインストだった。
🎨「ツモ!」
ラス牌だったカン5pを力強くツモ和了。かちゃまんた選手が前回の飛びラスの雪辱を晴らさんとばかりに躍動する。
🐖「これは…強いな」
🐳「しっかりツモっていきましたねえ」
今期初のコウモリーチは不発。しかし、まだまだ勝負はここから。
東4局~緑VS紫
東4局、かちゃまんた選手は2巡目にして早々にドラの白をリリース。
手牌が整っているからこそできる選択である。
🐖「あーあーあー親がやばいよ」
🐳「仕上がってますね」
🖋「でも、あんさんも結構形いい」
甲森選手の手牌も打点はともかく聴牌はできそう。今度こそ初和了となるか……と思いきや、この局には誰よりもとんでもない手が入っていた選手がいた。
☖「ポン!」
🐖「えっちょっと待って」
🍵「緑一色ワンチャン……?」
🐳「あるぞ」
🐖「そこで役満はいらんのよ」
🍵「ひえ~」
3sも6sもまだ山にいる。ここで出てしまうのか。リーグ初役満。
しかし甲森選手も聴牌。258s待ち。これは行くしかない。
🍵「お願いお願い」
2度目のコウモリーチ。
これを目の前にして、かくきりこ選手は難しすぎる選択を迫られることとなった。
次巡ツモが1s。緑一色を諦めて2sを切れば聴牌だが、1sを切ればまだ夢は追える。何より1sは立直に通っている。しかし、巡目はすでに3段目。發ホンイツでも悪くない打点。
考えた末かくきりこ選手の選択は……
2s。一発と裏がついて大きすぎる5200点の横移動となった。
🐳「コウモリーチ一発!」
🍵「ナイス~!」
🐖「これおっきいねえ~」
🐳「緑一色はちょっとねえ……w」
🍵「いや~恐ろしい」
🐖「前の配信であんなこと言ったけどそこじゃないんだよ」
初役満は是非仲間にもってきてほしいものである。
南1局~グラス・ハーフ・エンプティ?
かくきりこ選手の大爆発をなんとか防いで迎えた南1局。
🐳「いい和了するとねえ、こうなんですよ」
🐖「今風に言うと『風』だよね」
麻雀の局は連続していない。偶然と偶然が繋がっているだけにすぎないが、決して気分としては悪くないものである。
勢いそのままに絶好の1sを引き入れて平和ドラ赤赤の聴牌。
シグマ選手の聴牌打牌1mをとらえて満貫の和了。なのだが……
🐳「また一発じゃん!裏も乗って……あっ立直してないのか!」
🐖「ダマで8000あったんで確実に取りにいきましたね」
賢明な判断ともいえるが、少々意外にも思えた。甲森選手は3sを縦においてダマテンを選択したのである。
この局について、甲森選手は試合後の検討配信でこう語っていた。
🦇「ありがたいことに横から入ったのに、ですよ。これー……これねえ。これさあ。NAGAはあんまり立直じゃないって言うけどこれたぶん段位戦のこと(を考えた判断)なんですよね。リーグ戦だったらこれは曲げたい。結果論協会の人と一緒にNAGAに抗議したい」
ダマ自体は決して悪い判断ではなかった。しかし、リーグ戦で喜びも悔しさも体験したからこそ、この判断の重みが胸に刺さったのだろう。今見返してみても難しい判断に思える。
ここで、ある有名な英語のフレーズについて少し語る時間をいただきたい。
コップに半分の水が入っている。その水を見て、半分も入っている(glass-half-empty)と楽観的に考えるのか。それとも、半分しか入っていない(glass-half-empty)と悲観的に考えるか。
この満貫和了を見て、私はリーグ戦の難しさを改めて考えさせられた。
この手は8000点もあったのか、それとも、8000点しかなかったのか。通算5期目の甲森選手ですらいまだに迷うこの判断。このリーグに登板している各選手は、想像以上にギリギリの状態で戦っているのだと再度実感した。
とはいえ、この8000点で順位がかなり安定したのもまた事実。気を取り直して、ここからはトップを目指す戦いである。
南2局~上昇気流よ続け!
南2局。甲森選手の手牌はまたしても良い。
配牌で中暗刻。ドラ北が対子。無理なくホンイツに進めそうな手でもあるし、ホンイツにならなかったとしても十分な高打点が見込める。
さらに、北を暗刻にして晒すことなく打点のタネを手に持つことに成功。
🖋「あんさん鳴きのレンジ広いからそこまで警戒されないかも」
中ホンイツドラ3。18000点の1シャンテン。あがれば間違いなく決勝打。
しかし、そこに待ったをかけたのがシグマ選手だった。
かくきりこ選手の立直宣言牌をとらえてタンヤオで局を流す。
「「「「ああああ~~~~」」」」
こういう1000点で大物手を蹴ることがいかに大きいか。それを全員理解しているからこそ、控室には悲痛な叫びが共鳴した。
確かに吹いていた追い風が、凪いだ。
とはいえまだまだトップは射程圏内。前を向いて進むしかない。
オーラス~理想と現実の狭間
南3局はかちゃまんた選手が700-1300のツモあがりで流しオーラスへ。
🐳「勝負所っすよ」
🍵「頑張れーオーラス!」
ドラは發。重ねれば一気に逆転の大チャンス。卓の命運を握る牌は、甲森選手、かちゃまんた選手、かくきりこ選手のもとに1枚ずつ。
そして、ほどなくして4枚目の發が姿を現した。
ラス目のかくきりこ選手のところに。
🖋「あーあーあーあーあー」
🍵「まずい」
🐖「跳満まである」
ほどなくしてかくきりこ選手聴牌。6sと發のシャンポン待ちで、ホンイツもついた大物手。
🖋「これはもうオリ……」
🐳「聴牌まで遠いのが救いですが」
聴牌まで遠いからこそ助かる。麻雀においてはよくある話である。
前に進もうとして大物手に振ってしまっては元も子もない。
和了が難しくても、オリきって流局して次へ。あるいは、親にも伏せてもらってこのまま2着で。それが現実的な落としどころだろう。
ところが、事態はある意味都合の悪い方に進んでしまう。
手が進んでしまったのだ。まさかまさかの四暗刻1シャンテン。面前でなくとも、南をポンすれば役牌トイトイで文句なしの逆転手。
しかし、聴牌すると出て行ってしまう牌はドラの發。このときかくきりこ選手のみならず、親のかちゃまんた選手も發単騎聴牌にたどり着いていた。聴牌して勝負しまおうものなら12000点の失点である。
🐳「これ~……南いるねえ」
🍵「まずいまずい」
大チャンスと見せかけた大きな罠。
ところが、事態はさらに変化を見せる。
シグマ選手から立直が入る。
🐳「どうなるこれ」
🍵「ヒリつく……」
トップとの点差は3800点。前に行きたいところだが、行くのも怖い時間は続く。
甲森選手が下した決断は……
🦇「……打南」
ぐっとこらえて1シャンテン崩し。勇気と無謀は紙一重。状況を鑑みると、發を打つリスクにリターンが見合わない。つらいところでもあるが、さすがの冷静な判断であった。
☖「うおおおゼンツゼンツ!」
一方でラス目のかくきりこ選手は前に出るしかない。つらい立場だが、ある意味やることはわかりやすいともいえる。
その一方で、選択を迫られた人がもう1人。親のかちゃまんた選手である。
ツモ2p。立直以外には通っている。シグマ選手の打4pの速さを見ると切りたくもなりそうなところだが……。
🎨「……この局で終わりにしましょうか」
かくきりこ選手が通してくれた4mを切って手を崩した。
🐖「やめたああああああ!」
🐳「冷静だ」
🐖「偉いなやっぱり、こういうとこ」
その直後―
シグマ選手のツモ和了で決着。2pを切っていたら、シグマ選手の打点次第ではトップ目から転落していた。自分の手牌に甘えず、冷静にオリきったかちゃまんた選手の素晴らしい判断であった。
結果、甲森選手は2着で今期初登板を終えた。トップのかちゃまんた選手と甲森選手の点数差は、最終的にわずか2800点。満貫と跳満の差、4000点。たらればを言い出したらきりがないが、近くに見えたからこそ、甲森選手にとっては手放しで喜ぶのが難しくなってしまったかもしれない。
試合後
🍵「いや惜しかった、ナイスファイトでした」
🦇「南1局曲げとけか~!みんなが連対でパスしてくれたからちょっと固いことしちゃったわ」
🍵「いやいやナイスでしたよ」
🖋「コウモリーチもしっかり決めて」
🦇「形的に1m曲げても出てたか~もっと強欲にいくべきだったね」
🐳「まあまあまあ、僕らはわかってるからリーチリーチ言えますけど。ダマは手堅い選択で、その8000があったからこそ連対が固い」
🦇「ありがとうございます、ちょっと救われました」
トップが手に届くところにあったからこそ後悔も残った。
それでも、堂々たる闘牌であったということは間違いなく言えるだろう。
甲森選手ならば、今日の半荘をバネにしてさらなる高みへと飛び立ってくれるに違いない。
最終シーズン。長いフライトは、まだ始まったばかりだ。
ANC PURPLE BATS +122.9pt
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