アベココア ワンマン2024.2.27
宮城(ってプロフィールに書いてあったから仙台じゃなく宮城)で活動しているシンガーソングライター、アベココアのワンマンを観た。
路上での弾き語りを観てその存在を知り、手売りのチケットを買ったのは3日前のこと。三谷幸喜のオデッサを観劇した帰り道、仙台駅に向かうアーケードで彼女は歌っていた。
音は「聞こえてしまう」ものだから、どこに向けて出してるのかわからないような独りよがりな音が路上で聴こえたら僕は心の耳を塞いでしまうのだけど、彼女の声は壁打ちではなく、宛もない空中に放たれたものでもなく、何十メートルも手前から僕にも届いていた。ホンモノの表現者だなと思ったので、人生で初めて弾き語りに足を止めた。
自分の年齢的に、若い女性シンガーに興味を示す行動がギャラリーストーカー的な態度に当たらないだろうかと少し躊躇したけど、聴きたいと思った。
実際のところ、代わる代わる立ち止まった人の中で、僕が危惧したようなおっさんムーヴを示したのは若い男性だったから、次の世代もまだそんなかよとは思ったけど、自分の中にも同じような部分があるはずだし軽蔑もしきれずに膝をついて数曲聴いた。そんな聴き手の余計なぐるぐるした気持ちなんて彼女はとっくに何周も受け入れた様子で、より多くの人に歌を届ける意志が感じられた。
詩の世界や作品への共感で言うなら同世代の女性に刺さるんだろうと思うから、場違い覚悟でライブに行くと、客層はなんなら僕より歳上くらいな男性がたくさんいて、驚いた。いや、いいんだけど、僕も同じなんだし、本当にそれはそれでいいんだけど、もっと広まれ、ってますます思った(女性客増えたらいいな、という意味です)。
声に説得力があって、器用過ぎるくらいにいろいろ出来るどの発声も心地よい。あれだけ歌えて、あれだけの曲が作れて、ギターも巧くて、紛れもなく才能あるシンガーソングライター。世代やジャンルは関係なく、良いものは良い。僕は自分の感覚をものすごく信用しているので、僕が言うんだから間違いない、はず、なんだけど、僕が受け取った印象と現状の知られ方にずれがある。もっと知られていかないと、もったいない。(ライブが続くようなので、ぜひ)
後半にキーボード伴奏が入って、声の良さが際立ったように感じた。音に消されない稀有なボーカルだし、バンドのほうが魅力が伝わっていくのかもなと思った。
彼女に限らず、完成度とか、たぶんこの先もずっと本当にどうでもよくて、歌でも演劇でも料理でも、次の世代の表現者が心ゆくまで続けられたらいいなと思っている。才能は埋もれてはいけないし、埋もれないと信じている。
ひとまず応援するしかできないけど、応援したい人が増えた。
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