音無小鳥さんの『光』に救われてた話
今日は音楽の話です。
私の大好きな、アイドルマスターの音楽の話。
ただ、今日紹介するのはアイドルの曲ではありません。
我らが765(ナムコ)プロダクションの事務員、音無小鳥さんの歌う『光』という曲のお話をします。
事務員、音無小鳥
音無小鳥さん。彼女はアイドルではありません。
アイドルマスターの作中において、プレイヤーがプロデューサーとして仕事をすることになるアイドル事務所、756プロダクションでアイドルたちを支える、事務員さんです。
ゲームやアニメの描写を見るに、書類関係の処理や電話対応といったおそらく一般的な事務業務の他、所属アイドルたちのスケジュール管理の一端も担っているようです。物語の序盤(チュートリアル)では、駆け出しのプロデューサーであるプレイヤーをなにかとサポートしてくれたり、学生も多く、まだまだ未熟なアイドル達のことを温かい目で見守り、多方面からサポートしてくれたり…ちょっと、お母さんみたいな。
プロデューサーやアイドルたちが事務所に帰ると、必ず音無さんが「おかえりなさい」と言って迎えてくれる。
そこに居てくれるのが当たり前すぎて、改めて言う機会は少ないけれど。765プロにとって欠かせない、とても大切な人です。
そんな彼女にはなんと、持ち歌があります。
それも複数。
しかも神曲。
音無さん、実は自らもアイドルを志していた過去があるのです。作中で披露される機会はそうそう無いのですが、アニメ21話の挿入歌で『花』、エンディングで『空』を聞くことができます。また、アイマスのライブには音無小鳥役の滝田樹里さんが出演される機会があり、その際には彼女の歌声を聞くことができます。
音無さんの曲はそのどれもが、誰かの背中を押す曲。誰かの幸せを願う曲です。それは多くの意味で、765プロの彼女たちに対する応援歌であり。しかし同時に、私たちプレイヤー/プロデューサーにとっても、この現実において何より響く、優しい優しいエールなんです。
『光』
去年の春。
新卒で入った会社での短い研修の後、配属された店舗で私は毎日右往左往していました。何もかもが初めてだった当時。毎瞬毎瞬どうしたらいいのか分からなくて、とにかく一生懸命やるしかなくて、ずっとを気を張りっぱなしでした。間違わないよう、失敗しないよう…ちゃんとしなくちゃ、ちゃんとしなくちゃって、そればかりで。
それでもできないことだらけの毎日で、悪い想像ばかりが巡っていました。
「今の私これで合ってる?正解できてる?」
一歩も踏み外すことを許されない綱渡りをしているようで、電車の中で毎朝胃をきゅーっと縮めていました。
今日はちゃんとできるだろうか、何か失敗しないだろうか、いやすでに今何か忘れ物をしてるかも、あーー今日は一体何が起こってしまうんだろう…
偶然と早めに最寄駅についたその日も例外でなく、出勤前の私の頭の中はぐるぐる空回りしていました。お店に着くのが嫌で、ホームで少し時間を潰すことにした私は、どんなきっかけで選んだのか覚えていませんが『光』を聴いていたのです。
ホームの椅子に座ったまま、泣いていました。
ああ私だ。
私のために歌ってくれてる。
今、輝く一番星
ひとつ夢を願った…
だけど今日もまた終わってゆく
ただ自分でいたいのに…
ただ笑っていたいのに…
だけど成れなくて もう出来なくて 落ちる涙
夜が闇で空を消しても
雲が銀河を隠しても
小さくたって
あの花の様に
星は光を咲かせてく
どうか負けないで
自分を信じて 大丈夫だから
どうか止(や)めないで
夢が朝になっても覚めないなら
明日を迎えにいってらっしゃい
もしも道に迷った日は
自由に歩いてごらん
そしていつだって素直でいて
もしも失敗が怖い日は
思いっきり泣いてごらん
そしてどこだって未来はあると知ってほしい
朝日が今昇り始めて
全て眩しく照らしてく
けれど一緒に
影も出来てく
喜び悲しみ抱きしめて
ずっと願いが続きますように
今日に変わるまで
きっと願いが叶いますように
その日まで
今日が疲れたらおかえりなさい
光輝け
みんなひとりひとつの光を
光輝け
あなたらしいあなたのその光を
愛してるから
どうか負けないで
自分を信じて 大丈夫だから
どうか止(や)めないで
夢が朝になっても覚めないなら
明日を迎えに行ってらっしゃい
今思うと私、ちょっと自分を追い込みすぎでした。ただそれは今だから言えることで。あの頃は、自分で自分にそう言ってあげられる余裕はありませんでした。
頑なになっていた私の頭と心を、するすると解いていったのがこの歌です。
ゆったりした曲調と、小鳥さんの語りかけるような優しい歌声。それでいて揺るがない、小鳥さん自身の強い願い。簡単なことじゃないってわかってるけど、それでもどうかどうか、叶いますように。みんなの夢が、叶いますように。
こんなに優しい歌だったなんて、この時まで気づいていませんでした。
私の経験上ですが、アイマスの曲にはこういうことがままあります。今まで何度も聴いてきてたのに、こんな曲だったなんて知らなかった、こんな良い曲に気づかなかったなんて!っていうことが。アイマスは曲数がもう半端ないことになってますから、"その時"に響く曲に出会えるかどうかって、結構奇跡的な確率になってくると思うんです。この時の私は幸運でした。
「大丈夫だから」「どうかやめないで」「いってらっしゃい」
「あなたらしい あなたのその光を 愛してるから」
ぽろぽろ泣いたら、ほんの少し身体が軽くなった気がしました。小鳥さんの優しさで心がぽかぽかしていて、私はホームを出て、お店に向かうことができました。
この日から、どうしても今日が怖い日は、この歌を聞いたり歌ったりしています。
こんなに優しい願いを抱ける人がこの世界にいるんだって。
そのことにいつも、救われています。
伝えたいのはこんなきもち
「アイドルマスターとずーっと一緒に…!!」
あの西武プリンスドーム、10周年ライブ。
天海春香役、中村繪里子さんの公演中の言葉です。
16周年を迎える今年になっても、私はアイドルマスターと一緒です。きっとこういう発見と感動を繰り返して、一生一緒に生きていくんだと思います。
伝えたいのはいつも、ただ、ありがとうの気持ちばかり。
ありがとう…いつも一緒にいてくれて。
ありがとう、いつも支えてくれて。
ありがとう。ありがとう…
そう思うたび、私の担当アイドルたちの顔が思い浮かんで、私と同じか、それ以上の熱量で、私に同じ「ありがとう」を返してくれるんです。必ず。それがいつも、私をたまらなく幸せな気持ちにさせてくれます。
あんまりアイマスへの感謝を掘り返しているとまた違う話がひとつ出来上がってしまうので、今回はここまでにしようと思います。
ありがとうございました。
蛇足
『光』が初公開されたCDって、アイマス2のプロローグ(上記広告)だったんですね…
Amazonの当時のレビューを読んで考えていました。アイマス2以降の展開は公式から2nd VISIONと銘打たれており、このCDが発売した当初は、それまでのアイマスから一段階違うステージへ踏み出す、転換点の真っただ中だったはずなんです。
新しいゲームでの新しい世界線。キャラクターの年齢を含め、ビジュアルの大幅な変更、設定の変更、そして新しいキャラクターの追加。逆に、プロデュースできなくなるアイドルが判明したり、一部声優の交代があったり。当時の賛否両論の様子は、今でも語り草です。
今でこそ全てが上手く嚙み合って回っていますが、アーケード、無印のアイマスを愛してきた当時のプロデューサーさんたちの不安や戸惑いは如何ばかりだったか。私には想像することしかできません。
その混乱の中で、変わらずあったのがこの小鳥さんの願いだと言うのなら、それはまさに、これからのアイマスを指し示すたった一筋の『光』だったんだろうなと、想像していました。
多くのプロデューサーの願いも、そしてきっと制作陣の願いも、結局小鳥さんの、この祈りのような歌に集約されていたじゃないかと思います。
そう思って歌詞を見返すと、また違うものが浮かび上がってきませんか。私はまた、泣きそうです。
また、アイドルマスターを好きになりました。
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