#20.俳優×演劇的手法×WSD
(1)普段おこなっている活動は?
俳優・シンガーソングライター・会社員
脚本家の倉本聰の主宰する「富良野塾」を卒塾後、俳優として、舞台を中心に、映像・CM・ナレーションなど幅広く活動。脚本家の石井信之と共同主宰するミノタケプランの代表として舞台のプロデュースもする中で、ミュージカル出演をきっかけにシンガーとしても活動開始。東京・秋田・北海道での歌や朗読のライブを定期的に行っています。
また「俳優業を優先してよい」と応援してくれる経営者(高校の大先輩)との出会いのおかげで、会社員としての顔もあります。会社では、営業職・事務・研修担当・セミナー司会などさまざまな職種を経験。近年は、企業研修や大学で特別講師としてお話しするような機会もいただき、俳優としてできることがさらに広がってきているように感じています。
(2)WSD受講のきっかけは?
俳優仲間でWSDを受講していた人が複数いて興味を持ちました。興味半分でオリエンテーションに参加したところ、「社会的な自分とは別の『本来の自分』を取り戻す」というキーワードにドキッとしました。ワークショップ云々以前に、これは今の自分に必要な学びではないかと直感し、受講したいと思いました。俳優業が忙しくなると時間の確保が大変なので、上半期の39期を希望しました。もし下半期だったら受講をあきらめていたかもしれません。
(3)オレンジコースとブルーコース、選んだのはどっち?
東京在住で通学できる環境なので、通学とオンラインどちらも学べるオレンジにしました。コロナ禍でオンラインのありがたさもありましたが、同時にリアルならではの大切さも感じていたからです。
実際にオレンジコースで学んでみると、対面とオンライン、それぞれの特性や難しさがありました。対面では、授業以外の部分でもコミュニケーションがとれるのがとてもよかったです。オンラインでは、限られた時間と組み合わせでしかコミュニケーションが取れないため、対面よりも難しさを感じました。コロナ禍でオンラインの機会も増えたので、対面とオンライン、どちらも経験もできてよかったと思っています。
(4)WSD受講で最も印象に残っていることは?
苅宿先生や佐伯先生をはじめ、講師の皆さん、スタッフの皆さんがとても人間的・魅力的でした。自分の言葉で自分ならではの思いを伝えられる魅力的な大人に私もなりたいと思いました。
授業では、思いのほか振り返りにたっぷり時間をとることにびっくりしました。それだけ大切なことなのだと体感できたように思います。振り返りの一環で行う、ギャップモニタリングのワークも印象深いです。弱さも含め自分と向き合う作業になりました。また、ワークショップ実践科目I、ワークショップ実践科目IIと進むにつれて自分の中が変化したことも実感できました。WSD受講のきっかけでもあり、自分自身の課題でもあった『本来の自分を取り戻すこと』にもつながりました。グループのみんなからもらったギフトメッセージは宝物。忘れないように額に入れて飾っています(笑)
(5)現在の活動に活かしているWSDでの学びは?
俳優として舞台やその他の作品に参加したり、イベントを実施したりすることは、参加型で合意形成を行っていく実にワークショップ的な活動なのだなあと、WSDを受講して実感しました。数十年そんな場にいたのに、いまさらの実感です(笑)。同じことをするのでも意識するとしないとでは、こんなにも感じ方が違ってくるものなのですね。
受講前は「こうだったらいいのに(思っていたのと違う)」と思っていたことも、「そのまま受け入れ」→「違いを楽しむ」ようになりました。それは周りに対してだけでなく、自分に対しても同じです。例えば、社会的な自分、期待に応えようとする自分が出てきたときに、「本当はどう思っているのか、どうしたいのか」について考え、どちらも否定せずに、「そのまま受け入れ」→「違いを楽しむ」ようになりました。
また、「他の人の考えを聞くことが学びを深める」ことも実感・体感したので、どんな立場でかかわる場合であっても、人と会ったり話ができる機会は、自分にとって学びの場だととらえるようになりました。日々いろいろな場面でありがたく感じることが増しています!
(6)WSD受講を迷っている人へのメッセージを!
迷っているならば、ぜひ飛び込んでみてください。レポート課題など、大変なこともありますが、なんとかなります!(笑)
普段の生活ではなかなか出会えない、異なる環境で活躍する仲間がたくさんできること、そして本来の自分を取り戻すことは、今後の人生において、とてもとても大切なきっかけになると思います。
(7)これからの展望は?
「正解がない」という考え方は、俳優の仕事にも通じています。正解はなくても、より効果的に伝えるための「自分なりのベスト」は探し続けます。経験を積むにしたがって楽しめないこともある作業ですが、WSDでの学びのおかげで、初心を思い出し、常に楽しんでいける自信が出てきました。
先日、本読み稽古を公開するイベントを実施しました。「正解がない」ことを逆手にとって、戯曲を途中から読んだり、途中まで読んだり……演じる方も、観る方も、より自由に戯曲を楽しむ場になりました。また、振り返りのトークタイムを設定し、意見交換することで新たな気づきがひろがりました。
今後も演劇的手法を使ったワークショップ、あるいはワークショップ的な活動(佐伯先生曰くゲリラ活動(笑))をしていきたいと思っています。東京だけでなく、地元の秋田でも、こころが自由になる時間と空間を共有し、人と人をつなぐようなワークショップができたらいいなと思っています。日本ではまだまだ観劇の習慣がない人が多いので、観劇人口を増やすには…なんて、アイデア創発のワークショップも面白そうですね!
「俳優」のお仕事が、ワークショップ的な活動であったことを実感されたという田村さん。思っていたのとは違うと感じることも、「そのまま受け入れ」→「違いを楽しむ」ようになられたという言葉が、なんともステキだなあと思わずにはいられませんでした。 これからのご活躍を応援しています。ありがとうございました!
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