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春いまださわがしからぬ空のいろに 辛夷の花は白く咲きたり
こんにちは。短歌結社「青垣」の青丸です。
「青垣」はアララギの歌人、古泉千樫を師とし、昭和2年(1927年)の橋本徳壽らが中心となって結成した短歌結社です。
結社「青垣」の名は古事記に出てくる歌から、とられています。
「大和は国の真秀ろば畳なづく青垣山籠れる大和美し」
(やまとは くにのまほろば たたなづく あをがき やまごもれる やまと うるはし)
倭建命(ヤマトタケルノミコト)が東国を平定し故郷の大和に戻る途中に病を得え、その臨終の間際に、望郷の念を込めて歌われたとされていますが、この「まほろば」の意味は、「素晴らしい場所」「理想の地」という意味を持つそうです。
その、理想の地に生えている「青垣」。
短歌に関わる中、己の理想を追い求めていきたいという願いがこもっているのかもしれません。
橋本徳壽は、古泉千樫の「川のほとり」に感銘を受け、門人になりました。千樫を中心として「青垣会」ができ、「青垣」の創刊の話が持ち上がっていたのですが、昭和2年(1927年)「青垣」の発行を待たずに、千樫は亡くなってしまいます。その後を受け継いで、橋本徳壽らが「青垣」を牽引してきました。
春いまださわがしからぬ空のいろに 辛夷の花は白く咲きたり
橋本 徳壽
辛夷の白い花が青い空に咲いているのが目に浮かんでくる歌です。
「いまださわがしからぬ」が凄い表現だと思います。
春浅い、ひんやりとした空気感や、清浄な透き通った空の様子が伝わってきます。もしかしたら、作者の気持ちも澄み切っていたのかもしれません。
それを受けて「空のいろに」の3句目が光ります。
こんなすっきりとした歌を歌いたいものだといつも思います。
これからも、短歌について発信していきたいと思いますので、よろしくお願いします。 青丸