エヴァ序の思い出
当時エヴァ序が劇場で上映してた時、どうしても観たかったので親に内緒で兄と一緒に近くの映画館のナイター上映(人生初!)を観に行った。当時は小学生だったのでこんな夜遅くに親に内緒で外に出るなんてした事なかったし、ましてやあまり行ったことがなかった映画館に映画を観に行く、という行為にとても興奮したのを憶えている。映画館に着くとお客さんがいつもより少なくてびっくりした。田舎の夜、ましてや後1回の上映で営業が終了する時間なんて映画館に居る人も片手で数える程度だ。お小遣いを貯金していてポップコーンやジュースに使うのは憚られたので何も買わなかった。当時は無人販売機なんてなかったから宝くじ売り場よろしくアクリルの向こうに従業員さんが居て、その人に観たい映画と時間を言うとその映画のチケットが買えるシステムだった。兄にチケットを買ってもらい、更にテンションが高くなって逆に緊張し始めたところでチケット売り場の横にあるグッズ売り場に立ち寄った。当時からノートやポスター等のグッズに興味が無かった為、早々に立ち去ったのを憶えている。もう入場開始していたので入り口のお姉さんにチケットの半券を切ってもらい先に進む。上映開始前に2回もトイレに行き入念に準備したところで上映シアターへ入場した。席を探すフリをして辺りを見回すと自分達の他には2人組と1人客の計3人しか居ない。これまた新鮮な光景だったのでわーと小さく感嘆の声を発した。席に着く。もう少しで映画が始まる。この段階になるとテンションは高いが、逆にこの時間に親に内緒で家を抜け出して映画観に来てる事への罪悪感と、バレた時に対する緊張感でもう頭の中がぐるぐるしていた。だが無情にも時間は進み上映が始まった。―――良かった。とても良かった。当時BUMP OF CHICKENとASIAN KUNG-FU GENERATION、RADWIMPSしかアーティストを知らなかったにかりとしてはアコギの伴奏のみの主題歌はとても新鮮で、とても心地良く、とても感動したのを憶えている。上映が終了した後の何とも言えない余韻が脳内を埋め尽くし、観終わった達成感と内容に対する充実感、"観終わってしまった"事に対する虚無感が一斉に襲ってくる。これらと上映終了し、照明が点灯し、人々が帰り支度に勤しむあの時間が何より好きなので、映画館に映画を観に行く動機の4割くらいがこの時間の為と言っても過言ではない。椅子から立ち上がり上映シアターを後にして来た道を戻っていく。チケットを切っていたお姉さんは当たり前に居なくなっており、グッズ売り場やチケット売り場、併設している飲食店も営業を終了していた。もう営業時間を超過しているので当たり前だが、普段営業中しか知らないので普段とのギャップに驚いた。この時にようやく自分は居てはいけない時間に居るのだと実感した。実感を得ると途端に怖くなる。バレて怒られる事に対する恐怖を感じた。一人で抱えるもの怖いので兄にその事を話すと根拠のない大丈夫が返ってきた。にかりの心はもう既に大丈夫では無かったがその言葉に幾分救われた気がした。(余談だが兄は後先考え無いと言うか興味がある事には何も考えずに突っ込んで行く事がままあり、昔はよく苦労した思い出がある。)映画館を後にして帰り道を進んでいく。言い忘れていたがこの映画館は近所にあるスーパーマーケットの1画に居を構えており、帰る際はスーパーマーケットの中を通って行かなければいけなかった。もう既に営業は終了していたので各店舗で出来たシャッター街を歩いて帰路に着く。仕事柄今では見慣れた光景だが、商業施設での仕事に就いた事がある人でなければ新鮮な光景だろう。緊張に押し潰されながら「これはレアなこうけいだ!」と思ったりもした。家からスーパーマーケットまでは自転車で5分程度だったので家には直ぐに帰ってこれた。道中外灯の無い舗装されていない道を自転車で進むのは中々スリリングだった。家に着いた後は父親が待っており、めちゃくちゃに怒られてめっちゃ泣いちゃったのはまた別のお話...。
twitterでエヴァ序の当時の思い出を呟いていた人がいらっしゃったので自分も呟こうとしたら大幅に文字数制限かかってしまったのでこちらに掲載します。
特に推敲はせず、思い付きでダダダーッと書いたものを掲載しているだけなのでお見苦しい箇所が多々あるかと思いますが、どうぞよしなに。
では、機会がありましたら、また。
にかり