制作余話#11「N・U・K・E 平らな世界と陥没した私達の性愛」編
前回(#10)→こちら
作品本編
→無修正版(R-18)はアルファポリス(リンク)にて
→モザ有版(全年齢版)はカクヨム(リンク)にて
完結作品の後語りやら愚痴やらメモやら何やらのあれ。
今回は「N・U・K・E 平らな世界と陥没した私達の性愛」編です。
本作はR18なお話をまず書ききり、その中でエロなしでもそれなりになるのではと手応えがあったので、性描写を極力カット+ちょびっと加筆と修正を行なったモザ有版を後に投稿しました。カテゴリは一応SF。SFの要件を満たしているのかわかりませんが、調べても定義自体あやふやで時代によって変化しているようなので「作者がそう思ったならそう!」の体でぶっこみました。
反応としては無修正版は上々、モザ有版は「微虚無」です。好きで書いているから良いものの、今まで出せば1つ2つは閲覧から一歩踏み込んだ反応を頂けていたので少しつまづいたかなという印象。クリックなりタップして頂けただけで喜ぶべきなのですが、自分の中で勢いだけでも頭をこねくり回しただけでもない良い感覚で書けた作品だったので、少しどころかそれなりにガックリきました。反省点も多いものの光る作品だと作者は感じていたのでそれはもうウジウジぼやきましたよ。何ならここでもぼやいていきますよ。
以下ネタバレ要素たっぷりだから本編読んでね
無修正版→アルファポリス
モザ有版→カクヨム
あらすじやら背景やらきっかけやら
本作のあらすじは以下の通り
「乳首破壊爆弾」なんてお馬鹿な単語から始まる軽さと、乳首持ちへの差別やディストピア化していく社会といったシビアな世界観が作中で語られていく重さが本作の特徴です。真面目にふざける過去のエロ作品と基本路線は同じですね。
そもそも「乳首破壊爆弾」そのものは完全な思いつきです。普段から脈絡なく響きだけで浮かんだ単語をネタ帳にメモしていて(過去作のリスカルエンデ……もここから)、これをテーマに一作書きたいとずっと考えていました。小学生が考えそうな……いや、小学生なら「さんこ」とか「ラんこ」か。中学生くらいかな?それはともかく、これを元にどんな物語にしようか、意欲はあったけれどもきっかけがなくて温めていました。
初めに浮かんだストーリーは乳首が失われて荒廃したヒャッハーな世界で、快活に生きる陥没乳首の少女が卓越した性技を以て乳首狩りをする悪党を懲らしめる北斗の拳とボーボボと何かしらのエロ漫画が混じったような物語でした。しかし、これを書ききるには気力が足りなくて病むと思ったので、プロットを作る前の段階で没にしました。ただ一部の要素は引き継いで今作に活かされていますね。
今の形に着想したのは世の中を取り巻くあれこれから。同調圧力やエコーチェンバーで先鋭化していく今の世の中は、極論がまかり通ったディストピアへの途上なのではないかと感じて筆を執った次第であります。それ故に世界観もそこに寄せて現代と近未来の中間を取っています。SFと言いつつもそれっぽくないのは舞台設定が現代に近いからなのかなと思ったり……あとSFへの造詣がないからなのもあるでしょう。ロボットアニメ何かは好きでよく観ていますが、プロのSF小説というと伊藤計劃さんの「ハーモニー」くらいしか読んだ記憶がない。むしろ「ハーモニー」の印象が強烈に残っていてSFといえばこの空気感!と思っている節すらあって、本作も影響を受けています。知識不足は本作の反省点の一つですし、横文字苦手おじさんでこれまであまりSFに触れてこなかったので、これから手始めに昔の名作を積んでいこうかなと思います(読め)。
話は変わって百合の話。
当初はゴリゴリのエロ物にするつもりかつ自分のツボ最優先で構想し始めており、あまぁ~い百合を書きたいと思って作業を進めていました。微笑ましいいちゃいちゃゆりゆり要素を筆頭に、最後はあちあちのえちえちで熱気でもわもわなシーンをこれでもかと入れるつもりでした。BLUE REFLECTIONやアトリエシリーズのほんわかしたやり取りが好きで、あれらはエロはありませんが尊さが溢れていて本作もそういった温かさを軸にキャラクターや文体を考えていました。
ただ、舞台設定が出来上がっていくにつれて、エロだけでなく先に挙げた社会の停滞した空気感だったりディストピア物の要素だったりをメインにした方がツボに嵌まったので、最終的には性描写やキャラ萌え抜きで成立する作品に仕上げることになりました。それに合わせて作風もやや冷たさを意識して執筆しています。青春百合は灰色な世界観が映えるジャンルなので執筆自体はスムーズに進められたのですが、結果的にモザ有版はSFとしても百合物としても半端になり、それが閲覧数に表れたのかなと。何かと描写が足りない。特にスウとネブルが親密になるまでの過程はもっと盛っても良かったと読み返していて感じますね。はい、ここぼやきポイント。
作中の要素について
続いて作中の用語とか人物とかその辺の事柄をば語ります。
まずNUKEについて。
「Nipple Unconsciously Killing Explosion」の当て字をつけたことはこの作品の方向性を決めたと言っても過言ではありません。
乳首破壊爆弾かー長いから良い通称ないかなー「乳(にゅう)」で始まる……あっ「ニューク」があるやん。「乳苦」はどうか?漢字は微妙やなーじゃあまんま英語か。四文字なら略語として行けるやん!しかもNならNippleがある!仮想の略語を作るのSFっぽいな!
大体↑のような流れでこの物語の基盤は固まりました。ちなみにUが最も苦労しました。「un~」で合う単語が何かしらあるでしょと調べ始めて、unconsciouslyで適切なのかなかなか決めかねたせいで時間を食いました。英語ガチ勢がいたら他に適切な単語があったらご指摘ください(他力本願)。
同じような造語のNUQE(Nanomachine Utility Quantum Equipment)についてはナノマシンと量子で二枠埋まる上にEがequipmentくらいしか使える単語がなかったので速攻で決まりました。Qを入れる発想が浮かんだ時は正直自分が天才だと自惚れた。それでもUはunitとかusefullとかultimateとか色々迷って時間がかかりましたが……。
統治機構のマザーAIであるDummyの由来はイギリス英語でのおしゃぶりからですね。人類という赤子を御する為に製造された意と乳首の物語なのでそれに関連した言葉を使いたくてこれに決めました。技術者の皮肉って感じが出ていて自画自賛したくなるネーミング。
続いて登場人物の名前について。
これはちょい役も含めて全員乳首に行える動作を由来にしています。
スウ→吸う カム→噛む ハジキちゃんねる→弾く
ツィネル→つねる ネブル→舐る
ちなみに小ネタですが無修正版のエロシーンでこれらの言葉を用いたスウの台詞があります。あと他の候補に摘む・転がす・撫でる・挟む・引っ張る等がありました。
スウとネブルの今後
本作では変化していく世の中に対し、二人がどのような回答を出したのかまでは明らかにしていません。まだ十代ですからね。若くして世界はこうだ!こんな世界が良い!と示せる世の創作物の登場人物は覚悟がキまりすぎだと思います。
ただ私の中では彼女らの未来はおおよそ浮かんでいます。スウは「育性」と「反性」のどちらの立場からも距離を取り、中立的な視点で世の変化を観察していくでしょう。その中でも一般人の立場でできることを模索しながら、乳首持ちへの偏見の解消に向けて行動していくことになると思います。
ネブルの方は困難な道を歩むことになるでしょう。生まれが生まれなので宿命とも言うべき役割を果たす為に、過酷な戦いに身を投じる未来が決まっています。スウにネブルとしての思いを託し、迷いを断ち切った彼女は今後NUQEとして反Dummy、育性運動の旗印として活動していきます。「反抗勢力さえ多様性の一つ」とDummyの掌の上で踊らされているとわかった上で、少数派の声に寄り添い続けるのです。
そんな二人はいつか再会するでしょう。次回作の構想は全く浮かんでいませんが、これだけは確かだと思います。それはいつでどんな世界になっているのかはわかりません。Dummyによる世界統治が完全に確立した頃か、反抗の声が広がり混乱した世界か、もっと先の退廃した世界か……。どんな世界になっていようときっと彼女らはそこに立っていると思います。
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