独り言にしては大きな声の年配者
まあまあの寒さに「冬だな」を独りごちていた青鳥(あおどり)なのです。
独り言は、小さな声のもの、という固定概念を揺さぶられたのです。
所用でレジの列に並んでいたのです。
後ろに誰かが来たのです。
それはいいのです。
ただ、ソーシャルディスタンスを叫ばれている昨今、その距離感がおかしいのです。
後ろにべったり、なのです。
おまけにしきりに声を出して話しているのです。
はじめは「おうちの人と来ていて一緒に並んでいるのかな」なんて思っていたのです。
でも、会話のキャッチボールはないのです。
気になってそっと少しだけ振り向くと、その年配の女性は一人なのです。
おまけに、買い物かごも手にしていないのです。
じゃあ、商品をその手にしているのか、というと、それもないのです。
お財布と、袋だけなのです。
ひたすら大きな声で途切れなく話しているのです。
鳥類は聞かないフリで、やり過ごすのです。
自分のレジの順番がきて進むと、後ろにぴったりくっついていたその女性は、するりと進んで、どこかに行ってしまったのです。
まあ、両手に商品を持たないでレジの列に並んでいたので、レジを通る必要はないけれども、それなら何ゆえレジ待ちの列に並んでいたのか、要領を得ないのです。
ちょっぴり気持ちの居心地の悪さに、困惑していた青鳥なのです。
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