黄昏時に手元からすり抜けた1円玉
空の高さにしばらく見とれていた青鳥(あおどり)なのです。
日中は相変わらず夏の気温でも、太陽が傾いてくると、涼しさがやってくるのです。
そんな時間に買い出しスタートなのです。
少しオレンジの色が入った光が、公園の木々を秋の色に見せるのです。
きれいな色だなあ、なんて見とれつつ、なんとなくポケットを探ると何やら丸くて薄いものに触れたのです。
大きさからすると、1円玉っぽいなあ、なんて思ったのです。
だからひょいっと、摘まんだものを取りだそうとしたら、手元が引っ掛かったのです。
太陽が落ちて、地面もハッキリとは見えなくなっているのです。
エコバッグが肩に食い込むのです。
拾うのを諦めて、その場を離れたのです。
いままでは拾う一方だったのに、今度は自分が落とすとは、なのです。
ハッキリとは落としたものを確認してはいないのです。
「1円玉ぽいな」という感じなのです。
よく通る道だから、見つかるかもしれないし、親切な人が拾ってお店で使うのかもしれないのです。
いい人に拾われているといいなあ、なんて思いつつお財布の中の1円玉を見つめていた青鳥なのです。