本当は熊野にいるはず・・・
自然環境リテラシー学 第三回熊野街道
2022/9/3-2022/9/5
さて、今回は鳥羽から出発して熊野の海をシーカヤックで巡り、浜辺でテント泊をしながら2泊3日過ごす予定。
1日目、不安なスタート
初日の朝、鳥羽市には大雨警報が出ていた。天気予報では曇り時々雨という感じだったのでちょっと意外。というより、こんな状況で海に出れるの?っていう不安がほぼ9割。さすがに警報が出ていたんじゃ危ないとのことで、開始を2時間ほど遅らすことになりました。これは、昼過ぎには大雨警報も解除されるという予測の上の判断です。
三重大学のある津市は晴れていて風もない、穏やかな天気なのに鳥羽はどうなっているのか、行ってみないと見当もつきません。私はこの実習で山コースを選択したので、シーカヤックに乗れるのは今回が最後になります。なので、できる限り予定通りに進んでほしいなぁと思いながら電車に揺られます。しかし、やはり鳥羽に近づくにつれ、雲行きが怪しくなってくる。今日1日はカヤックに乗れず、鳥羽でなんやかんやしながら過ごすということになるかもしれない。不安は募ります。
ところが実際に鳥羽に着いてみると意外にも雨は降っておらず、なんなら少し晴れているくらい。鳥羽駅から見た限り、波もそれほどなさそう。しかしまだ大雨警報は発令中のようで、いったいどうなることやら…。
集合場所の三重大水産実験所までバスで移動、そして先に来ていたリーダーやインストラクター、ガイドの方々と合流しました。聞くところによると朝は雨がすごかったそう。どうやらたまたま来たタイミングが良かったみたい。
ひとまず今日の予定は、出れるなら海に出るが、夜はここ三重大水産実験所の横でテント泊するとのこと。そんな説明や自己紹介などをしているとき、ぽつぽつと雨が。しかもすぐに土砂降りに。タープの下にいるので濡れることはないのですが、もう話している声すら聞こえないほどの大雨です。
リーダーさん達が話しても聞こえなくて、どうしようとなっている状況を内心面白がっていた私ですが、長くは続かず、弱まったなと思っていたら今度は普通に晴れてきて。どうやら通り雨だったようです。それでこの晴れているうちに各自テントを立ててしまおうということになったのですが、準備をしていると、また空が暗くなってくる…。テントを立て終わった頃にはもうびしょ濡れ。なんかコロコロと天気が変わりますね。実はこの3日間ずっとこんな感じでした。
こんな天気ですが、晴れ間もけっこうあり、幸いにも風もそれほど強くないので鳥羽の湾内をツーリングできることになりました。それでもいつ天候が変わるかわからないので、行きたい人だけ、という感じです。ということで急いで準備をします。着替えて、カヤックの置いてある浜まで歩いていきます。自分の乗るカヤックを選ぶときにも雨に降られましたが、出艇するときは確か雨はそれほど降っておらず、無事海に出ることができました。
海に出てみると、駅から見た通りそれほど波やうねりはなく、割とのんびりツーリングすることができました。それでも岸から少し離れると、あるところを境に割と波出てきます。湾内を3kmほどツーリングしましたが、海沿いに立ち並ぶ旅館を、海側から見れたのは面白かったです。
実はカヤックで港の外に出たのは今回が初めてだったのですが、意外と苦も無く出艇した浜に戻ってくることができました。3kmくらいなら余裕ですね。ははは。
そしてこの浜、だいぶ小規模で、すぐ沖にテトラがあるのでなんか隠れ家感があります。
戻ってきてからまだ時間があったので、この中なら自由にパドリングやレスキューの練習をしていいということになりました。私はテトラとか岩とかを近くで見たかったのですが、カヤックに傷がついたら怒られそうなので止めました。そしてこの時、また急な大雨が。あんなにも大粒の雨が水面をたたくのは初めて見たかもしれません。しかも海側から、水面に近い距離で見たので、ちょっと不思議な感じでした。
しかしこんなにも目まぐるしく変わる天気、実はこの実習中、沖縄や九州の西にいた台風11号の影響があるらしいです。雲も南東の方から流れてきていました。この状況で実感したことは、天気予報がマジであてにならない。もう今現在の天気から違う(笑)。自分の目で空を見ようと思いました。天気予報と雨雲レーダーは見ていたんですけどね、というか今まで空を見て天気を判断するということをしたことが無いなぁと思いました。時に今回のような天気では自分の目で見るのが一番だと痛感しました。これは明日からの課題です。
2日目、長い長い一日
今日も夜が明けないと、海に出られるか分からないとのことだったのですが、どうやら行けるようです。雨も降ってなければ風も少ししかない、ただ黒い雲が見えるのでこの後少し雨が降るかも。
天気、海気から判断して伊勢湾の方へ行くことになりました。大湊というところまでツーリングします。
さて、2日目のツーリング、結論から申し上げます。
めちゃくちゃ疲れた!!!!!!!!!!
はい、16km漕いできたんですね。あー長かったぁ!
ということで16kmがどんな道のりだったかというと…
昨日と同じ浜から出艇します。
晴れてきました。空きれい。まだまだ張り切って漕いでます。
やっぱ空きれい。何kmか進んだところで島に上陸して少し休憩します。
まだそれほど疲れていないのですぐに出発します。
お昼が近づいたので、上陸して休憩します。昼は恒例の袋麺を食べました。ここまで結構漕いできたなーという感じ。しかし今改めて上の航路図を見てみると、まだ半分も来ていないんですね。しかもこれ以降は浜に上陸しての休憩はないという。
出発して少し寄り道して見にきた、かの有名な夫婦岩。こういうのがあるんですね。知らなかったです。ここから川を進み、大湊まで行きます。
そしてここからが長いのなんの。それはもう、後にリテラシーに参加した人たちの間で「魔の用水路」と呼ばれるようになるほど。
川幅が広くなったり狭くなったり、先頭に追い付いたり見えなくなったり、手が痛くなったり足が痛くなったり、もう何も考えられなくなったりしながらなんとか大湊の海岸に辿り着くことができました。
そして着いたら着いたでやることがあります。カヤックを波の来ない位置まで引き上げた後、砂浜にタープを立てます。しかし砂にはペグを指しても簡単に抜けてしまうということで、ペグを使わず、大きめの流木の重さで支えます。要はタープを引っ張る紐をしっかり張って、固定できれば良いということですね。その方法はその場に応じてベストなものを使う、ペグじゃなきゃダメってことはないと。こうやって柔軟に対応していくことが、自然の中で活動するうえで大事なことなんだなあと思いました。
その後カヤックに積んであった自分のテントも立てて、夕食の時間に。
ミートソースドリア、今回のご飯の中で一番おいしかったです。メスティンでお米を炊くのは初めてだったのですが、だいぶ固めのご飯が出来上がりました。完成品の見た目もあまりよろしくなかったのですが、味は本当に良かったです。やっぱ16kmが効いたのかな?
そんな美味しいミートソースドリアを食べながら、プロガイドの柴田さんのお話を聞きました。プロのカヤッカーともなると、1日50km漕ぐこともあるのだそう。本当に同じ人間なのでしょうか。
その後、ちょっとしたキャンプファイヤーをしました。新しい木を入れると火の粉がふわーって上に上がっていくんです。身長を超えたくらいで消えてしまうんですけど、それがとてもきれいでした。
あときれいだったものがもう1つ、星空です。大湊海岸は夜、明かりが少なかったので星がとてもきれいに見えました。
しかし、山コースはこんなもので満足してちゃいけないらしいです。12月の実習を楽しみに待っとけってことですね^^
3日目、天気はいいんだけど…
今日は宮川を上っていきます。鳥羽まで戻るというプランもあったのですが、天気、海気を見ての判断です。距離的には昨日より短いので、気が楽です。鳥羽まで戻るとなると向かい風だったし。
しかし、1つ気になるのは、昨日より少し波があること。波が打ち寄せる音が目立つなぁと。
出艇します。
やっぱり結構揺れる。今までで一番波が強い。はじめのうちは海岸に沿って進むので、真横から波を受けます。でも、思ったよりも安定してるかも。波に合わせて揺れるし、カヤックの上の方まで水は来るけれど、下手なことをしなければ沈することはなさそうだと思いました。船体が揺れても元に戻ろうとする力が強く、重心を低くしていればそれほどはビビらなくてもいいなーと感じました。
少しの距離ですが、波の強い海岸沿いを進み、カヤックへの信頼度が増したところで川へ入っていきます。そうすると一気に波がなくなり、とても進みやすくなりました。
ここで、いっぱいカヤック漕ぎたいというみんなの意を汲んで、寄り道することに。宮川の河口の中洲に行きます。個人的には別にまっすぐ目的地を目指してもよかったんですけど。
長めの寄り道を終え、本来のコースに戻り、ゴールに向かいます。ゴールといっても実際どこまで行くのか、全く分かっていません。それでも頑張って漕いでいると、何か様子がおかしい。まっすぐ漕いでいるのに、すぐ左に逸れる。自分の漕ぎ方の問題かとも思ったけど、近くの人に聞いたら、やっぱりすごく流されるらしい。川を上っているのに横に流される?何で? よく分からないのですが、ひとつ言えるのは、これめっちゃもどかしいですね。こっちは速く進みたいのに。もう。
これ伝わりづらいと思うんですけどほんと辛いんですよ。昨日の16kmよりきつい。精神的に。
左ばっか漕いでやっとまっすぐ進む感じ。
と、ここで思いつきました。どんどん岸に近づけば、いずれ流されなくなるんじゃないかと。試そうとしたのですが、地形が複雑になったきたので、できませんでした。
そして気が付くと、遠くの方に、先頭にいた人たちが上陸しているのが見えてきました。ようやくゴール!!
自然に振り回された3日間
長かった実習もこれで終わりです。昨日と今日でこれでもかってほどカヤックを漕ぎました。もう当分カヤックはいいかもしれないです。
そして本来なら熊野の海を巡る予定だったのですが、行きついたのは伊勢市の宮川。自然の中での遊びなので、なかなか予定通りにはいきません。でもそのおかげで、夫婦岩を見たり、魔の用水路を経験することができました。というかはじめのうちはかなり天候が悪かったにも関わらず、3日間ともカヤックでツーリングすることができてよかったです。私たちの安全を考えて判断してくださった、ガイドやスタッフの方々に感謝です。無事に終了したということで、まずはこのくたくたの体をしっかり休めたいと思います。3日間お疲れさまでした!