バビロン
久々に原因のわからないバッドに入ったので、昼過ぎに起きて人とは思えない程遅い徒歩で映画館に赴いて1人で「バビロン」を鑑賞してきました。
「バビロン」を一言で表すと「最強の映画」でした。いろんな意味で。
事前情報としてはキャストと時間くらいしか入れずに見ましたが楽しめました。ただ、サイレント映画からトーキー映画への移り変わり、雨に唄えば、ジャズシンガーなどの情報を入れて行くとより楽しめたかなと思います。
評判を調べると、賛否が極端に分かれている印象でした。私は他人の評価や考察に自分の評価が引っ張られ易いので、できるだけ見た直後の感想を意識して書きたいと思います。
まずは「汚さ」に言及したいと思います。映画が始まり、状況を理解するより前に衝撃的な汚物描写がありました。そこで私には衝撃と共にこれから起きることへの期待感が湧いていました。汚物描写や嘔吐シーンなどは苦手な人は本当に無理だと思うので、評価が分かれた一因なのかなと思います。ただ、私は謎のワクワク感に包まれました。
そこからマーゴットロビー扮するネリーと主人公が出会うシーンにつながります。長く続くものの一部になりたいと言う主人公と、生まれつきスターであると言うネリーがドラッグをやりながら映画に関わりたいという気持ちの合致で意気投合します。私はこのシーンが大好きでした。なぜならまるでお酒を飲みながら映画について友人と話している時の高揚感に似たものを感じたからです。映画が好きで、それは他人の人生を生きられるからで、自分にとって退屈な人生を彩るために必要な行為だと常々感じていました。この感情はコロナ禍で着実に大きくなりました。コロナ禍の開始と同時に実家を出て一人暮らしを始め、家を出られなかった私が、世界を救い、殺人鬼に追われ、時には悪者になれたのは他でもなく映画のおかげで、それは時代関係なく映画を見てきた全ての人々に通するものであったということをこの映画で知ることができました。
この調子で書いていくと長くなりすぎるので1番好きなシーンを挙げたいと思います。1番好きなシーンは蛇と戦うシーンです。カオスなシーンなのに、パーティで悪口を聞いてしまったネリーの気持ちが痛いほどわかって、どうしようもない気持ちにさせられるので印象的でした。蛇に噛まれたネリーを唯一助けたのが女性のフェイであり、その母性的な愛(性愛も含まれていたかもしれませんがここでは母性的な愛だと感じました)をネリーが真正面から受け止めるシーンに心が揺さぶられました。そしてフェイがかっこいい、、、。そのシーンではジャックの表情も印象的でした。トーキーへの移り変わりに順応できずにスターとしてのプライドを傷つけられつつあったジャックの今にも崩れそうな、なにかを必死に飲み込もうとしている表情を見て、これから自死を選ぶ可能性があるんだなと思いました。
音楽も本当に素晴らしかったです。ここでは語っていませんが黒人のトランペット奏者、シドニーもとても良い影響をこの映画に与えていると思いました。ストーリーもそうですが、「爆音のジャズと静寂での会話劇の緩急」が3時間集中力を保てた要因だと思います。
ラスト10分間の演出は久々に映画館で動けなくなるほど素晴らしかったです。様々なマイナスな意見も見ましたが私の視覚、聴覚、脳、体を1番に信じたいのでこれが私の感想になります。
3時間もある映画なので語り出せば止まらないためここら辺で終わりたいと思います。
ぜひ劇場で見て頂きたい作品です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。