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お金がない世界

もしもこの世にお金がなかったら
人間の生活はどのように変わるのか。
 
 
そう考えたきっかけは、大型家電の購入だ。
 

 
わが家の同棲は、一般的な初期費用よりも
遥かに低コストで始めることができた。
 
なぜなら2人とも長年一人暮らしをしていて
家具と家電はすでに揃っていたから。
 
 
特に私に関しては
同棲を始める半年ほど前に家具を一新し、
ベッドはシングルからダブルへ
ソファは一人掛けから三人掛けへと買い替えていたため、
人数が増えても困らなかった。
 

新たに購入したのは大きい食器棚のみで、
あとはそれぞれ持ち寄って引っ越してきたので
引っ越し費用のみで新生活をスタートできた。
 

 
同棲を始めて半年ほど経った頃の春、
あたたかくなるにつれて野菜が腐り始めた。
 
というのも、一人用の小さい冷蔵庫を使っていたので
作り置きや冷蔵保存優先のものを入れると
スペースがすぐになくなってしまい、
常温保存できる野菜は冷蔵庫の外に出していたのだ。
 
 
冷蔵庫に入れたくても入らない。
 
野菜が腐る。
 
もったいない。
 
 
二人会議の結果、大きい冷蔵庫を買うことに決めた。
 
 

冷蔵庫はコストが高い。
型落ちしても10万以上は必須で、
容量が大きくなればなるほどコストも上がる。
 

何度も家電店に通って実物を見比べ、
無料搬入見積もりや割引を最大限に活用して
なんとか20万円出しておつりがくる新型を手に入れたが
それでも一人約10万円の出費。
 
 
しかも
冷蔵庫の次はドラム型洗濯機を買う予定があり、
めちゃくちゃ高い出費が続くのである。
 
 
 
ようやく貯まってきた貯金を切り崩すのが
嫌で嫌でたまらないと思い現実逃避したのが
「この世にお金がなかったら」という妄想。
 
 
そんな世界ならば、
お店に並ぶ商品を好き放題に家に持ち帰って
お金に縛られない生活ができるのでは?
と、だらしない妄想を膨らまそうとしたが
すぐにその生ぬるい風船は割れた。
 
 
もしもそんな世界があって
そんなことをしてしまったら、
きっと経済は破綻するしあちこちが治外法権になるだろう。
 
文明も衰退して物々交換時代に戻ってしまう。
 
寿命も短くなりそうだ。
 
 
 
便利な時代に生まれてしまったが故に
生活とお金は切っても切り離されない関係になった。
 
「この世にお金がなかったら」と考えたとき、
現実的な不安要素が頭を占めてしまうほど
人間の生活はお金に支配されているのかもしれない。

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