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1月の展覧会

1月。時間が少しできたので、2つの展覧会へ行きました。

1つは根津美術館の「古筆切」。古筆ばかりなので見に行くかどうか迷っていたもの。というのも、そういった展示はどうしても、文字をたくさん見ることになるし、一つ一つを見ることができるか自信がなかったのです。

ぱっと見て美しい文字や紙面というのはありますが、それ以上に見る場合、文字を一つ一つ追って鑑賞するので、1枚でも時間がかかるもの。体力的にも集中力にも自信がなかったので、見に行かないな、と思って居ました。
今回、用事があって、時間もあっての根津美術館だったので、せっかく入ったので、開催中の「古筆切 わかちあう名筆の美」をさっと見て帰ることにしました。名筆は見れば美しいのはわかっているのですが、でも、あまり見られないかも、と心配しつつ展示室へ。

こういう時、おすすめはしないのですが、そして、和歌切などではあまりできないのですが、1行書などの大きな文字の掛け軸がある時などは、ぱっとその部屋に入ってぐるっと部屋を見回して、「あ、あれだ」と思うものだけを見る、という方法で鑑賞しています。

今回入って、「あ、あれは洗練されていてしゃれてるな」と思った書があったので、それを鑑賞。誰の書かな、と思って最後に見ると、良寛さんでした。良寛さんは、そういう書を書く人なのかはわかりませんが、その日に見た洗練されていて、軽やかでのびのびとした、しゃれた書は2つとも良寛さんの書でした。

もう一つ、字体が動物みたいで面白かった「万歳万歳万々歳」と書いてある書を鑑賞。これも、身近にあったらいいだろうな、と思う書。

いつも通り、帰る前に、2回の茶室展示へ。1月の茶。掛け軸は四十雀の絵でした。

もう一つの1月の展覧会は「大覚寺展」こちらも出かける時間があった日にちょうど展覧会が開始されていたので、行きました。

上野の東京国立博物館の平成館。
国立博物館へ行く前に通る西洋美術館はずいぶん前からずっと開催中のモネ展。相変わらず十重二十重の人の波でした。駅前の広場のところまで列が伸びていました。

同じく大人気のキティ展を横目に平成館へ。

今回の楽しみは障壁画。非常に優れた仏像も数多く来ていますし、資料類も見ごたえがあるのですが、人気があり、人が群がっているところが多かったので、細かい細工を見るような香道道具などもさらっと見るにとどめて、目的の障壁画や美しい腰板のついた障子をじっくり楽しむことにしました。

広い会場に並んだ障壁画はとても見やすい。広い場所一面にずらっと並べられた襖絵は豪華。広々としたところで人も少なくたっぷりとした絵をゆっくり見ることができました。
たくさんの花と木々と鳥。パラダイスの一つの世界として、花が咲き鳥が遊ぶというものがありますが、それを豪華に何枚も何枚も続けていった絵で作られた大広間。広間自体を体験することはできませんが、広い会場に広がる世界を見ていると、豪華で美しいお寺の様子を想像することができます。

建具の装飾も少しあり、とても手の込んだ豪華なものでした。

面白く見たのは板絵や障子の腰板のところの野兎の絵。これがとてもよかったです。野兎がたくさん、いろいろな模様、いろいろな姿勢で書かれている障子が並んでいるところは面白く、美しいものでした。こんな風に障子まで美しく装飾されていて、いいものだなと思います。

杉板に描かれた大きな鶴、芭蕉の絵も見事なものでした。
見ていてすっと心が明るくなるような生き物のパレードのような絵の数々はちょっと落ち込んでいた気持ちを軽く持ち上げてくれるものでした。

かなり痛んでいる部分も多い障壁画は、出来上がった当時はどんなに豪華なものだっただろうと思います。きらめく広間には風に激しく吹かれる柳に遊ぶ燕、豪華な花がどこまでも咲き乱れる牡丹にあちこちに飛ぶ小鳥、        雲からのぞいたように見える大きな紅白梅に憩う水鳥。立派な松にちょっと決まりすぎている大きな鶴。次々と現れるきらめく世界は見ていて楽しいものです。

その一方で、墨一色で描かれた障壁画もかなり痛んではいるものの、立派なもので、やはり豪華な強さのあるもの。立派な人が見たであろう、そして今も行っても見せてもらえなさそうなものを博物館ならば見ることができる。そういうところが博物館がうれしいところだな、と思います。

疲れたのでそのまま帰ろうかと思ったのですが、常設展示でお能のところだけちょっと見て帰りました。常設展示のある本館のほうも、常に展示替えがあり、また、新しい作品に出合えるので、最後まで気が抜けないところなのですが、なにせ量が多いので、いつも見切れません。
今回はお能の装束と中啓だけみて帰りました。

大覚寺展は展示の仕方がとても見やすいのでお勧めです。今回は音声ガイドを借りなかったので、音声ガイドがどんなだったかはわかりませんが、見ることに集中できるので耳からの説明は、おすすめです。


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するすみ
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