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写真写りはむずかし英一蝶
検査日の合間に時間が取れたので、今週火曜日にサントリー美術館の英一蝶の回顧展を見に行った。貸切日だったけれど、結構人がいて、人気なんだなあと思う。
写真、例えば本だとか図録だとかネットでもいいけれど、紹介写真と実物ならばもちろん実物の方が断然いいというのは当たり前なのだけれど、この英一蝶はものすごくそれが激しい気がする。写真で見ると、割合ふつーに見えるけれど、実物を見ると魅力がいっぱいで見る楽しみ、眺める楽しさが溢れている絵だ。
江戸風俗をよく描いたと言われる人だけれど、とにかく人、人だけでなく絵に登場するあらゆる生き物、風景までもが、そこに確かな技術とともに「居る」ように描かれている。情報量が多いのだけれど、自然で、こまかいところまで描き込まれているのにうるさくない。情報が多い絵にありがちの「細密押し」や「ごちゃごちゃ感」は皆無で、すっきりと今洗い立ての木綿のようだ。
それぞれがそれぞれ、動いていてそこにいる。という絵なので、ちょっとテレビなんかを見ているようなそんな気がする。テレビで風景紹介とか、NHKなんかの紀行番組なんかを見ているかんじ。江戸時代を動画で見ている感じが少しする。
雨宿り図を結構描いているのも、もしかしあら雨宿りならば、全く関係ない人たちがぱっと軒に集まるので面白さがあるからかもなあと思いながら見る。
有名な雨宿り図屏風が二隻出ていた。
屏風好きなので、嬉しい。確かにすごく面白いし、庶民がずっと集まっている屏風でみんなそれぞれあれこれ言いながら、何かしながら集っている様子で、まとまって美しい。
屏風といえば、大物の舞楽図 唐獅子図屏風も展示があった。これすっごく好きな屏風。美しさもさることならが、とても面白いのだ。雅楽好きでもあるので、とても楽しい屏風だ。六曲一双なのでたっぷりと味わえるのもいい。
面の舞楽図はさまざまな衣装、人、そして動作が楽しめる。衣装の楽しさももちろんあるけれど、それぞれの集まり、色の組み合わせ、やっぱり中の人の動きや表情がとても面白い。本当にそのばで音を出して舞っているように見える。
そして舞楽図から見ると裏の獅子。可愛らしいと思える獅子だけれど、リズミカルにじゃれ、やはり舞っている。この展覧会の後、石橋を演奏する予定があったので、「こんな風に獅子を舞わせたら本当にいいのになあ」と思いながら見る。獅子は架空の生き物なのに、ちゃんとそこで飛びまわり楽しそうにしている。
幅広い注文に応えてさまざまな種類の絵を描いているけれど、出品されている中では仏教絵画にはそれほど惹かれなかった。魅力に溢れているのはやっぱり人。そんなに偉くない人やざっくばらんな姿。例えば大原女なんかはすごく魅力があった。ちょっとした動作をしているだけなのだけれど、どのちょっとした動きがちゃんと動いていて見る嬉しさ、楽しさをもたらしてくれる。
テレビで紹介があったようなので(学生時代、美術館で働いていたら、とにかくテレビでスポット番組でも出ると途端に問い合わせ電話が多くかかってきていたのを思い出す)多くの人が来るかもしれないけれど、とっても面白い、ぱっとみて楽しい絵がたくさん出ているので、おすすめの展覧会だ。
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