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月がいでて候

今年九月の名月は十七日。名月までもう直ぐなのかと思うと秋もいよいよ始まった気分になる。とっても暑いけれど。でも楽しみ。

テレビから秋海棠の見頃だと言っているのが聞こえてきた。
ベランダの桔梗はあらかた終わってしまったのだけれど、途中まで切ったもののなから一部蕾がまた出て来た。もうしばらく葉を残しておいて、そのうち根元まで切ってまた春まで眠りにつてもらう。紙風船みたいにぷっくりとした蕾は美しい。

月に住むと言えばうさぎ。特に秋の生き物といわけでもないのだけれど、この季節は月を思わせる生き物として大活躍する。

身近な天体として、月は人に眺められている星。月は仙人が住み、若水に関連があり桂が生えているところ。とされている。若水は復活の水。だから月でうさぎは臼で復活の仙薬を作る。かぐや姫が永遠に若さを保つ仙薬を残したのは月の住人だからなのだろう。日本で命をのぶ、復活力命の力を持つイメージは餅に結びつき、うさぎは月で餅をつくことになった。餅は魂がよるところ。そしてお正月の鏡餅みたいに神聖なものがよるもの。人の命を繋ぐ大切な穀物を固めたかたまり。どうしてだかわからないけれど、大陸ではぐぐまれた考えで日は陽、月は陰。陰は水。水はヒキガエルらしい。日本では水の気が極まればウサギだそうで、水とウサギは関連が深い。どこだか忘れたけれど、以前テレビでちらっとみた神社で確か火伏の神社の八代に波を蹴るウサギが配されているものがあった。お寺や神社の装飾で波とウサギというのはたまに見かける。

竹生島というお能で琵琶湖を進む舟からの描写で波ある湖面を滑るように進む舟から、周りの木々が湖面に映る様子などを謡い
「緑樹影沈んで 魚木に上る景色あり 月 海上に浮かんでは 兎も浪をはしるか おもしろの島の景色や」
と謡うところがある。波に反射する月の光がさーっと走るそんな風景をよんでいるのだろうと思うけれど(そしてこれから 月と湖  兎と浪の組み合わせはいいねと好まれて結構流行りの取り合わせとなったらしい)、元々は漢詩であろうこの兎も水に関連深い月の生き物だから、すんなりとみんなに自然に思われて浸透していったのかもしれない。



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