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名品ときたま迷品展

4月の終わりにサントリー美術館で開催中の、所蔵コレクション展、「名品ときたま迷品」展へ行きました。

今回は会場の前半、漆工と絵画中心に見ました。後半の装束と焼き物については、一緒に行った人の体力がもたなかったので、スキップ。

今回の展覧会は過去の展覧会で見た覚えがあるものが多く出ていて、展覧会のテーマのなかで見るのと、このように所蔵品たち、という流れの中で見るのとで、また違った見方、よりその物それだけがぽんと前に出て来たような見方ができるなと思いました。

花形の浮線綾螺鈿蒔絵手箱もちゃんと先頭をきって展示されていました。
サントリー美術館のよく写真に出てくる作品(青い透き通ったちろりとか)と一緒に、好きな絵巻もいくつか出ていました。私が見に行った時は、酒呑童子の侍一行が酒呑童子の屋敷へ向かう途中、急峻な山々を超えているとき、道に迷ってしまうが、八幡、住吉、熊野の三つの化身の三名の人に出会い、助かるシーンが展示されていました。それぞれの化身のイメージキャラクターと丁度出会ったシーン。この後、鬼の館に到着するのです。

絵巻といえば、もう一つ、勇壮で華麗な酒呑童子絵巻とは対照的な、ちょっと可笑しくて、でも、なんだか「よかったね」と思うような小さな世界を描いた「おようのあま絵巻」が出ていました。サントリー所蔵だったのか。何度か見ていますが、どこの所蔵かというのはあまり意識しませんよね。
庵に住む老僧のところへ、細々とした薬や扇などを商う「御用(およう)」をこなす「おようの尼」がやってきます。お互いの状況などを話し合っているうち、老僧の身の回りの世話をする「若い」女の世話をこの尼がしよう、という話になる。夜暗くして待て!という尼の言いつけを守って老僧は待ち、女がくる。一夜を過ごすと・・・という話。もちろん「真っ暗にして待て!」が重要で、おようの尼はこの老僧の押しかけ女房となる話だ。お互い似合いのカップルで、いい話。若い綺麗な女を得ようとする老僧の色欲中心というよりは、大胆で面白い「おようの尼」の活躍を面白おかしく描きユーモアを楽しむことが中心になっている話なのだろうと思う。行った時の展示はおようの尼が細々とした品々を老僧の前に出しているシーンでした。

そのほかにも絵巻の展示あり。好きなものが多かったです。サントリーは楽しい絵巻を持っているなあ。

もと絵巻の三十六歌仙絵、宗達下絵の鹿、蔦の和歌を書いたものだとか、和歌関連の展示も結構ありました。嬉しい。鹿下絵の古今集和歌は鹿が1日の終わりにゆったりと憩っている姿の部分で、この金色がかった茶色やグレーが入った鹿が好きなので、いい絵だなあと思いました。和歌の散らし方ももちろん。光悦ですもんね。

生活の美しい道具もたくさん。トップに置いてあった蹴鞠を吊る蹴鞠挟。ちょっと現代のNintendo Switchを置く専用スタンドとか、そんな感じの専用スタンド。ぴっちりぴったり蹴鞠とセットの鞠挟なので、一体感がすごいです。蹴鞠が真っ白なのも美しいセット。そんな生活の中の道具や身の回りにあるものの中の、美しいものが多く展示されていました。範囲が結構広く展示されるのも、テーマが所蔵品だからというところがあるでしょう。

屏風も生活用品なのですが、こちらも面白いものが出ていました。花鳥図も外国の鳥といった鳥が描きこまれたもの、外国の王侯がどーんと描かれているもの。邸内遊楽図のような人々が遊んでいるものとバラエティ豊か。後期しか展示されないものもあるので、屏風好きとしては後期にも行かなければなりません。

陶器や打掛などの装束展示も見事なものばかりで「どうだー」という品が多かったです。能装束もでていました。嬉しい。

茶の湯関連の部分はスキップ。なにせ一緒に行った家族が「疲れたよう・・・」とダウン。一フロア飛ばしながらも一時間以上かかっています。そうですよね。

ガラスを軽く見て「粗忽な我が家では使えない品々。そういえばあの鏡を立てる鏡台、あれも絶対鏡を設置しても、どこかにひっかけてコローンとなる。」と言い始める連れ。私もそう思っていた!と盛り上がりました。私も鏡台を見つつ、「ここに鏡をセットしたとして、輪ゴムとかで、ここを固定して・・・・」と考えていた私。多少服などが引っかかっても落ちない工夫を色々と考えてました。「もっと引っ掛ける部分を、このあたりに作っては」とか。ガラスの筆先屏風を見つつ「だよねえ。」と二人でしみじみ。

疲れてたという連れを座らせて、アイスクリームを食べて帰りました。

お菓子は蝶の焼印のお菓子。季節柄柏餅を載せたかったのですが、そして柏餅を二つもこれまでにもらって食べているのですが、写真を撮るまもなくするするっとお腹の中に入ってしまいました。

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