2022年10月実施:ビオラ市ヶ尾地域ケアプラザの講座のまとめ
みなさん、ご無沙汰しております。
今回は、先に行われた講座「将来にわたって自分らしく~財産の守り方・遺し方・使い方」をビオラ市ヶ尾地域ケアプラザと後見的支援室ほっぷの共催で開催しましたので、内容を一部共有させていただければと思いアップいたしました。
講座の基本的な内容としては、例えば、障害のあるお子さん以外に頼れるご家族がいないという親御さん向けに、親御さんご自身の将来を今からどう準備するのかを考える講座でした。
この内容について、簡単にですがポイントを絞って振り返りたいと思います。「あいにく参加できなかった」という方にも、是非お読みいただければと思います。
今回の講師のご紹介
根本雄司 弁護士
弁護士法人 港大さん橋法律事務所
日本弁護士連合会信託センター副センター長を務め、信託や成年後見に関する案件を多数受託。障害者、高齢者を問わず、福祉職と連携した支援を積極的にすすめている。
ポイント①:「どんな生活をしたいのか」「誰が後見人になるのか」が大事!
成年後見制度を利用する上で一番多い不満が、思った通りにお金を使わせてくれないということです。そうならないように、申し立ての準備段階から、どんな生活をしたいのかを候補者にしっかり伝えていったり、相性の良い方や自分のことをよく理解してくれる方など、しっかり選んだうえで申し立てを進めていくことが大切です。
ポイント②:身元保証会社選びは慎重に!
身元保証会社を監督指導する官庁がまだ決まっていません。
あるシンクタンクの分析によると、身元保証会社は、弁護士や司法書士が関与しているようなところもあれば、葬儀社だったり、なんの資格もないところがやっているようなところもあるようです。
「亡くなった時に全額寄付してください」というような身元保証会社さんもあります(このようなところは特に注意と国からは注意喚起がされています)。
現状としては、玉石混交でいろんな身元保証会社がありますので、利用をする場合には注意が必要というお話でした。
また、国のガイドラインでも、医療機関において、身寄りがない方であっても、身元保証人等がいないことのみを理由に拒否することがないようにということが示されており(例えば、医療倫理委員会など複数のドクターで検討して治療や手術を進めるなど)、遺骨についても全く引き取り手がない場合には、法律上は行政が引き取ることになっているため、「最低限のラインでよい」という方は、使わないという選択肢も考えられます。
ポイント③:法定後見制度の「成年後見制度支援信託・預貯金」に注意!
後見類型の場合、預貯金等の額が概ね1200万円を超えると「成年後見制度支援信託・預貯金」を利用することにより、(日常で使う200万円以外のお金は)家裁の許可がないと大きな額のお金が引き出せないようになります。この際に事前に想定をしておかないと、不都合なことがいろいろ起きてくることがありますが「落とし穴となる3つのポイント」について紹介がありました。
①後見類型以外では利用不可であること:補助・補佐の場合には、後見監督人が選任されますので別途、監督人の報酬が発生してしまいます。
②株式や外貨建て保険などは強制的に売却させられます。
③1200万円の基準は、後見類型の間、ずっと続きます。選任当初は1200万円以上でなかったとしても、1200万円になった時点で支援信託を利用することになります(例えば、相続が発生した場合など)。
こういったことをあらかじめ想定して、将来の準備を考えていくことも必要かもしれません。
最後に
財産管理を支援する制度はいろいろありますが
①それぞれの制度が、いつから準備できるか、そして、いつからそれが実行されるのか。
②財産管理以外の「身上保護」を誰がどう担えるのか(担えないのか)。
をしっかりと確認し、ご自身の希望やニーズに合った制度利用の方法を考えていくことが重要です。
青葉区では「わたしノート」というエンディングノートを配布しておりますし、ほっぷでも「あんしんノート(親御さん向け)」などを活用して、親御さん自身の今後の将来について考えていただいている方もいらっしゃいます。こういったことにご関心のある方がいらっしゃいましたら、是非ほっぷまでご一報いただければと思います。
親御さんご自身の将来を考えるというテーマでしたが、お話の本質としては、その方らしい生活や人生をしっかり理解してもらえる人を探すことが一番大事ということで、障害のあるお子さんであっても、ご家族であっても、大事なことは基本的に同じだな、と感じました。今後も機会があればこのような講座を実施しますので、是非その際はご参加ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?