見出し画像

【TXT】Forty One Winks 歌詞の和訳と詩の解釈

プレビューの時から、ヒュニンカイの ”날 위로해nal wirohae(僕を慰める)” で晴れやかに広がっていく歌声が大好きで、曲の公開を楽しみにしていた「Forty One Winks」。

こちらは”僕たちだけの愛情表現”を込めた曲だということでしたが、トゥバとモアが交わすコミュニケーションについて、R&B色の強いメロディーとともに、ロマンチックに語っていて、それでいてパフォーマンスは大人の色香もありつつ、もっともっと大好きな曲になりました。

曲の制作陣に、オーディション番組『アメリカン・アイドル』(2007)から史上最年少で誕生したシンガーソングライターの Jordin Sparksジョーダン・スパークス がその名を連ねているところも、物語とのリンクも思わせてとても興味深いです。

曲の中では、くぐもったような響きの声が多用されていますが、その理由についても考察しています。


Forty One Winks

Produce: Dem Jointz for U Made Us What We Are LLC 
Songwriting: Dwayne Abernathy Jr., David "Lucky Daye" Brown, Carmen Reece, danke, Ellie Suh(153/Joombas), Jordin Sparks, 황유빈, 이스란, 김보은, 4계절(153/Joombas), 전지은, 나정아(153/Joombas), 이이진, 김인형
The Star Chapter: SANCTUARY 収録(2024.11)

オレンジに染まる夕日がブルーに
一瞬冷えた心のすき間に君が
安心させるように 片目をまばたく
星のように交わすよ「君の味方だよ」って

僕だけがわかるようにきらめいた 
君の41番目のウィンク 
数千の言葉よりも 
僕を慰めるよ

シグナルを送るよ forty one winks
まるでモールス信号みたいだね
まばたきする瞬間
僕らは一緒になる

ささやいてくれる、星の言葉
二人だけがわかる話
時空を超えて何度も 僕だけに
手渡された あたたかさ

(星の言葉を)
(送ってよ 41回のウィンクで)
(星の言葉が)
(まばたきする瞬間)
(僕らは一緒になる)

心もとない 街の喧騒
時にはまた彷徨さまようかもしれない僕たち
ふと思い出す君の温もりが
僕をまた安息の地に連れて行くよ

眠れなかった僕の頬に
蝶のはねのようなキス
言葉より伝わる強い意味
それだけで充分

君と僕だけの forty one winks
言葉以上に特別なもの
まばたきする瞬間
僕らは一緒になる

僕たちだけが知っている、そんな言語
星がきらめくように
時空を超えて何度も 僕だけに
手渡された あたたかさ

(星の言葉は)
(僕と君だけの言語)
(言葉さえいらない)
(星の言葉で)
(目に見えなくても いつだって)
(一緒に 君と僕とで)



I'm with you

물든 오렌지빛 석양은 blue
순간 서늘해진 마음의 틈 you
안심하란 듯 깜빡인 너의 한눈
별처럼 인사해 "I'm with you"

染まった オレンジの光の 夕日は ブルー
瞬間 ひんやりした 心の 隙間(に)  君
安心してという ように まばたきする 君の ひと目
星のように 挨拶する "私はあなたといます"

ここで添えているのは直訳です

沈んでいく夕日とともに寂しさを感じる心のすきま。そこへ、君の存在が(夜空に輝く)星のまたたきみたいに安心感を与えてくれるんだと、切なげに歌うテヒョンとヨンジュンの冒頭パート。

最後の "I'm with you" は文脈から、語り手だけでなく、お互いに交わしたメッセージなのではと思いました。また、I'm with you には、直訳の「一緒にいる」だけでなく、「あなたを支持する、支援する、あなたに賛成」などの意味があることから、ここでは「君の味方だよ」と訳しました。

forty one wink

나만 보이게 반짝인
마흔한 번째의 wink
수천 마디의 말 대신
날 위로해

僕だけ 見えるように きらめいた
君の 41 番目の ウィンク
数千の 文言もんごんの 言葉の 代わりに
僕を 慰める

신호를 보내 forty one winks
마치 morse code 같지
눈을 깜빡이는 그 순간
우린 함께야

信号を 送る 41のウィンク
まるで モールス信号 みたいだ
目を まばたきする その 瞬間
僕たちは 一緒だよ

曲名の41回のウィンク(마흔한 번째의 wink、forty one winks)はここで登場する訳ですが、既にメディアをはじめあちこちで言われている通り、forty winks (40回のウィンク)が英語で昼寝小さな眠りを意味する言葉。なので、それよりも1回多い forty one winks は目覚めの合図のようなものということになりますね。

和訳では、シグナルやモールス信号にはさまれたこの言葉が、どこか合言葉のような雰囲気も感じて、英字の forty one winks の方は、訳さずそのままにしました。

さて。眠りといえば、韓国語の「세상모르다(世界を知らない⇒世間知らず)」には、前後不覚に眠りこけるという意味もあるそうです。目をつぶって(眠って)いるから現実を見れない、意識できないということなのでしょうね。

ということは、「Nap of a Star」MV後半の字幕、”소년들이 다시 만나고 별이 깨어났습니다.少年たちは再び出会い、星が眠りから目覚めました" や、今アルバムのTeaser の字幕にもあった”별이 눈 뜬~(星が目覚めた~)”というのは、何度も目をつぶって現実から逃げていたなか、大切なひと(仲間やモア)との再会をきっかけに、あたたかな絆とともに、夢に向かって輝く星のように目覚めて成長していく─ということを意味していたのではないでしょうか。

遠い宇宙とは

속삭여 줄래 별의 language
둘만이 아는 얘기
먼 우주 건너 내게만
건넨 따스함

ささやいて くれる 星の 言語
二人だけが 知る 話
遠い 宇宙を 超える 僕だけに
渡した 暖かさ

「Run Away」や「Dear Sptonik」、「Over The Moon」の歌詞にも登場していた”우주uju(宇宙)”。ここでは遠い宇宙を超えると言っていて、はるか彼方に離れた惑星同士の話かと一瞬思ってしまいそうですが、これは象徴的な意味を持たせたのではと思いました。

まず、宇宙を英語に置き換えた「space」は、「ぼんやりする、呆然とする」の意味で使うことがあります。だから、現実から何度も逃げていた状態(を超える)の暗喩あんゆではと。

どこか、ボムギュのカバー曲「you!」の、「~壊れていた僕を見つけて元気にしてくれた」の歌詞とも重なるよう。

もうひとつは、Over The Moon の和訳でふれた、ヨンジュンが「モアは僕の空であり宇宙」だと言っていたこと。そして映画『約束の宇宙』が物語の背景にあるモチーフだとするなら、別の時間軸にいる(時差がある)世界中のモアとトゥバが、どこにいてもいつも繋がっていて、遠い場所にいるようで心は近くにいて寄り添いあっていることを言っているんじゃないかなぁと感じました。

また、韓国語で「하루가 멀다 (一日が遠い)」は「毎日のように」、「갈 길이 멀다(道のりが遠い)」は「やることがたくさん残っている」を意味することから、”먼 우주를 건너(遠い宇宙を超える)”を「時空を超えて何度も」と訳してみました。

蝶のはねのようなキス

잠들지 못한 내 뺨위
나비의 날개 같은 kiss
말보다 강렬한 의미
그거면 돼

眠れ なかった 僕の 頬の 上
蝶の はねの ような キス
言葉より 強烈な 意味
それだけで いい

過去、「We Lost The Summer」「Frost」「Sugar Rush Ride(日本語ver含む)」のMVに登場してきた意味深な蝶。
そして今年の4月には、かつてテヒョンも単独で出演した音楽番組『リムジンサービス』にヒュニンカイが出演。4曲歌ったうちの一曲は、韓国のロックバンドYBの「나는 나비(僕は蝶)」でした。

*「나는 나비」が始まるところからクリップしています。

青虫が何度も傷つきながらもサナギへの成長を繰り返し、やがては蝶となってはねをひろげ、歌い踊り、世界を自由に飛ぶんだと歌う曲。

『The Name Chapter 』では、蝶が希望と絶望の象徴なのではと考察したのですが、この歌のように青春の苦難と夢を、蝶のモチーフに重ねていたのかもしれません。

そういえば、「LU$ER=LO♡ER」のMVでは、ヒュニンカイがBTSの曲「Butter」と同じロゴのついたカフェの制服を着ていたことが、当時話題になりましたよね。

↓Teaser の方がよりわかりやすいかもしれません。

ヒュニンカイが歌った曲の意味を考えると、トゥバの物語の中での Butter とは、「Butterfly(蝶)」にまだ fly (=はね)のない状態が Butter だと暗示していたのではないでしょうか。

リアルな話、蝶になる前のサナギの中では、幼虫の体を溶かして、成虫のパーツとなるはねや脚、眼などを作るため、ドロドロのクリーム状に見えるようです。。。

だとすれば、蝶の はねの ような キスとは、魅力的なキスの意味はもちろんでしょうが、サナギから飛び出し、ともに夢に向かって、はねを広げようよと促された。そんな意味にも解釈できるのではないでしょうか。

そして直前の歌詞の「眠れなかった僕」とは、朝=現実を迎えるのが怖くて、熟睡できずに何度もうつらうつら小さな眠りを繰り返していた、ということなのかも。

さて。曲の途中に2回ほど差し込まれるカッコ書きの歌詞は、実際の曲のなかでは、まるで水中にいるかのような、かなりこもった声に加工されています。カッコ書きの歌詞以外にも、歌の背景に重なる「 uh, uh, uh~」 のスキャットなどがくぐもった声に加工されていますよね。

これね、思ったんですが、彼らが大人になろうとしている=羽化の最中(はねをつけた成虫の蝶になろうとしている)だと表しているんじゃないかなぁと。

というのも、羽化は英語で「emergence」なんです。このワード、どこかで見覚えありませんか?

そう、今アルバムのコンセプト「LOVER」で、5人が座っているベンチの奥にある「EMERGENCY ZONE」。emergence とは最後の ey 以外、スペルがまったく同じです。

emergence 羽化(脱皮、出現の意味も)に対して、emergency緊急事態非常事態という意味ですが、実はどちらの単語も「出現する」や「浮かび上がる」という意味を持つラテン語のemergereに由来しています。

さらに分解すると、emergereは「外に」や「離れて」を意味する「e-」と、「沈む」や「潜る」を表す「mergere」から合成された語。

つまり、emergereは「何かが水面から浮かび上がる」というイメージの言葉。そこから、それぞれ羽化緊急事態など新たな現象があらわれたり突然発生するような状況に対して意味を持つ言葉に変化していったのですね。

「Sugar Rush Ride」日本語版のMVには、水中で蝶を目で追うテヒョンが描かれていましたが、心のなかでは大人になるべきか否かをもがいていた姿なのかもしれません。

蝶のはねや、こもった声の秘密が明らかになった(?)今、もう一度曲名を見つめてみると、41回のウィンクのまばたきとは、大人になろうとする蝶がはばたき、自由に世界へ飛び立つための魔法の合言葉でもあったのかもしれません。

そしてこの曲、歌詞の端々はしばしに、「頼るところのない」や「それだけでいい」など、彼らを主人公にしたウェブ漫画・小説の『The Star Seeker』で5人が主題歌として歌った「Flee Falling」とのリンクも感じさせます。

Flee Falling では、曲の終わりを「信じるよ、僕は君を、君は僕を。それひとつでいい」としめくくっています。

「forty one winks」の「蝶のはねのようなキス/言葉より伝わる強い意味」の”強い意味”というのも、お互いに信じあう気持ちが伝わったということなのではないかと。今この時期だからこそ余計に心に沁みて、たいせつにしたい言葉だなぁと思います。

最後に、公開されたばかりの「Forty One Winks」撮影ビハインドと、音楽番組で披露されたパフォーマンスを添えて終わりにしたいと思います。

GDAの後、みんなが長期休暇に入ることも発表されましたが、ずっと全速力で走り続けてきた彼らが、ゆっくりと羽根をのばして、普段はできずにいたやりたかったことも、どうかたくさん叶えられますように。


それでは、最後まで読んでくださり、どうもありがとうございました♡

いいなと思ったら応援しよう!