【TXT】心踊る、Do It Like That にこめられたメッセージとは
軽快で爽やかな夏のラブ・ソングだとばかり思っていた『Do It Like That』。
歌詞を見ると、ジョナス・ブラザーズの『Sucker』やトゥバの『Devil by The Window』や『Happily Fools』につながるフレーズも散りばめられているよう。ところが、FREEFALL の楽曲たちをひも解いた最後にもう一度この曲を見つめてみると別の側面、それも、とても奥深い意味がこめられていたのだと気づきます。
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脱線を繰り返した少年時代
歌詞冒頭の脱線といえば、モンスターこと『Can't We Just Leave The Monster Alive?』の「脱線してやらかしたバグ」、さらに『Magic Island』MVでの列車の脱線事故のような悪夢、『Sugar Rush Ride』MV冒頭で浜辺に座礁していた列車などが思い出されます。それらの文脈からは、少年たちが現実逃避に陥ってはそれを繰り返していたことがわかります。
「でも君はこれを楽しんでいるみたい、否定できないよね」は、素直に読むと「でもモアたちは、この物語を楽しんでくれたでしょ?」の意味にとれそうです。
けれどここでは冒頭で「君のせいで~ぐるぐる回っていた」と言っていますね。これまでのFREEFALL の楽曲をひも解いた後では、ここでの君は僕自身、もっと言えば、心の奥底(『Deep Down』)にしまいこんでいたダメな自分(ツノ)を指しているように思えます。
「(かまってもらえなかった)もうひとりの僕(ツノ)が、今まで僕を振り回して楽しんでいたんでしょう。ねっ、そうでしょ」そう言っているのではないでしょうか。
取り戻した人生
ここでの君とは、そんな隠れていた自分(王冠でありツノであった)だけでなく、仲間との絆、モアとの出会いも指しているのでしょう。大切なひとたちや僕の王冠とともに、僕らは今、上昇気流に乗って空を飛ぶよ、と言っているようでじーんときます。
二組のアーティストが、時を越えて出会う
このセクション、トゥバとジョナス・ブラザーズ、二組のアーティストの驚嘆が絶妙に交差していたことに気づいていましたか。
まずはトゥバの視点から ─
そして、ジョナス・ブラザーズからの視点に切り替えてみると
こんな感じでしょうか。
ちなみに『キャンプ・ロック』(2008)とは、ジョナス・ブラザーズがブレイクするきっかけになったディズニー映画。ロックスターを目指すティーンエイジャーたちがキャンプでの共同生活を通じて成長していくストーリーでした。映画に出演するまで、3兄弟は当時、200人程度しか観客が入らないようなハリウッドの小さなライブハウスで活動していたそうです。
『Tinnitus』では”ロックスターにはなれない”と嘆いていた少年たちと、当時無名だったジョナス・ブラザーズ。時を超えた奇跡の出会いに胸が熱くなります。
Do It Like That にこめられた意味
公式では、ラブソングらしく「一体どんな手を使ったんだ」と訳されていますが、 Don't know how you do it like that とは「どうやったらそんな風にできるのか分からない」の意味。そこから転じて「すごいよ!」の意味としても使われます。
だから Do It Like That は、ジョナス・ブラザーズからトゥバへのエールでもあると同時に、トゥバ達からジョナス・ブラザーズへのリスペクトをこめた称賛の言葉でもあるのですね。
浮き沈みすることだってある
恋のかけひきのようにも見えるけど、ここは仲間と喧嘩しては仲直りしたり、心の悩みが浮き沈みするような状況だってあるということかと。
Temptation な日々を振り返って
ここでは、”立てていない計画”や、”ここにしばらくとどまる”と言っていることから、『Devil by the Window』から『Happy Fools』の間に起きていたことを言っているのだろうと思います。
ここでの君は、振り返っている僕自身のことでしょう。
トゥバの物語の視点で再解釈してみると─
つまり、お酒を飲んで酔っ払ったので、酔いつぶれてそこにいた。その間ピーターパンやマイケル・ジャクソンのようになって、Sugar Rush Ride やアニッタさんとの Back for More の夢や幻想を見ていた。そこでは観客たちを笑顔にして喜ばせていたんだと、そう言いたいのでは。
遥か遠くへと伝わったシグナル
このフレーズは映画『ラ・ラ・ランド』の冒頭のシーンを思わせますね。
映画では、ハイウェイの渋滞(※LAのハリウッドを夢見て集まる若者たちを示唆しています)で、ひとりが踊りだしたのをきっかけに、後ろのほうまで続く若者たちが車の上で踊りだします。
※公式の動画がないので載せていませんが、ぜひ you tube で「another day of sun」で検索して見てみてください。深読みかも知れませんが『Chasing That Feeling 』にオマージュされたのではと思うような振り付けの箇所もあり、緻密に練り込まれたミュージカルシーンは圧巻です。
ヒュニンカイやヨンジュンは、ジョナス・ブラザーズの音楽を聴いて育ったと言っていましたね。年齢も距離もはなれた彼らに、夢追いびとのシグナルが伝播し、夢をかなえた5人と、大人になったジョナス・ブラザーズが時を超えて結びつくなんて、誰が想像したでしょう。
ここでの ”君のシグナル” とは、ジョナス・ブラザーズのことでもあるけれど、トゥバの音楽が、夢見るすべての人たちを応援するものでありますように。そんな想いがこめられているように感じます。
そして Back for More TXT ver. の「同じ周波数で行こう Keep it on some of the same waves we keepin’ on」は、ここに帰結していたのですね。
Do It Like That は、モアへのラブソングであり、トゥバの物語の総集編でもあり、二組のアーティストがタイムマシーンのように今という瞬間に出会い、夢を追うことがどんなに素敵か、大切なメッセージを伝えてくれる曲でもありました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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