大好きなパジャマとお別れした日
8年前、子宮外妊娠で緊急入院。
産婦人科での手術のため、まわりは出産前後のママばかり。
できるだけ人に会いたくなくて、大部屋はつらいな…と唯一空いていた2人部屋に。
これが失敗だった。
わが子は生まれなかったのに、隣のベットでは、産まれたばかりの赤ちゃんを連れて戻ってくる。
お腹の傷も痛かったけど、何より心の方が痛かった。
そんな時、ひいおばあちゃんが買ってくれたのが水玉のパジャマ。
有名なブランドのパジャマだった。
ブランドもののパジャマを買うなんてことが私にはなかったから、
そのお高いであろう可愛いパジャマがすごく嬉しかった。
入院生活は、ブランドパジャマのおかげでダサい姿で過ごすことなく、快適に過ごせた。
そのパジャマは、退院してからも大好きでずっと愛用していた。
リキッドファンデーションを落としてしまい、取れなくなっても。。。
8年前のあの日から、いまだそのパジャマを愛用していた私。
あれから娘が生まれ、娘にパジャマが汚れていると指摘されたことがある。
リキッドファンデーションは何をしても取れなかったのだ。
娘に、これはすごく気に入ってるパジャマなんだけど、取れなかったんだよね。捨てられないし…と話したことがある。
そして先日、ついにズボンのゴムの部分がビリッと破れてしまった。
もう限界だなと思いながら、捨てられずにいたので、いい機会だと言い聞かせて処分することに。
娘にパジャマ破れちゃったんだよね、、、というと
「気に入ってたやつ?」
「うん、お気に入りの水玉の」
「え!それは悲しいねぇ」と言って、一緒に悲しんでくれた。
そして、今日パジャマを抱きしめてありがとうと伝えゴミ袋へ。
ゴミ袋の中を見た娘が「捨てるの?いいの?」と聞いてきた。
もう8年近く着たし、悲しいけど十分だよと伝えた。
だけど、娘は引き下がらない。
「ちょっと切り取ったら?」「絵を描いたら?」
もう仕方ないよ、と言いながらゴミ袋を持って外に出ると、
娘がしょんぼりしている。
顔を見ると涙目。
慌てて「捨てたらだめと思うの?」「うん」
なんでこの子がこれほどまで必死なのか不思議だけど、
私の気持ちを代弁してくれてるのだろう思い、結局破れていない上着だけ救出した。
めっちゃ思い切って捨てたのに、ゴミ箱の前で娘に救出された水玉パジャマ。
もう一生捨てられる気がしない。