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読書『むらさきのスカートの女』
あおむんです。
今村夏子さんの『むらさきのスカートの女』を読んだ。
あらすじは下記の通り。
近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で働きだすように誘導し・・・。第161回芥川賞受賞作。文庫化にあたり受賞記念エッセイをすべて収録。
まず、この作品を読み出した時の率直な気持ちとしては、『心地よい違和感』。
言葉としては非常に矛盾しているが、本当にそうなのだ。
「ん?これはなんだ?」と思わせるちょっとした引っ掛かりがあり、物語が進むにつれて広がっていく。
気づいたらその違和感の世界にどっぷり浸かっていた。
ミステリーのように最後は謎が解けて「スッキリ解決!」とか、大どんでん返しみたいな大掛かりな展開があるわけではなく、淡々と進んでいくが、なにかちょっと気になる感じが最後までついてくる。
そこまでページ数があるわけではないのに、読了後には読書腹が満たされていた。
そしてこの物語の続きを考えたり、明かされていない部分の考察をしたくなる。
〈わたし〉という一人称視点で展開されていくが、〈わたし〉を通して語られる違和感のある『むらさきのスカートの女』にどんどん惹き込まれていく不思議な感覚は、読んだことがない方にはぜひ読んで味わってもらいたくなる。
巻末に収録されている今村さんのエッセイも、生みの苦しみや、それでも書きたいという小説家の気持ちを垣間見ることができる内容なので、最後まで満足できる一冊だった。
果たして最後に〈わたし〉は『むらさきのスカートの女』とはともだちになれたのか?
気になった方はぜひ。