「子育てって大変」「働くって大変」も思い込みかも
友人が「大好きなお店があるから行こうよ。」と誘ってくれました。
その夜に出会った人たちを見て、思った話です。
おばあちゃんの居酒屋
友人が誘ってくれたお店は、こちらでした。
東京都中野区方南町というところにある「居酒屋」です。
カウンターが10席くらい。
テーブル席が2卓くらい。
切り盛りしているのは、
調理担当の男性と、女将さんと、少しして手伝いに入った女性の3人です。
いずれも70代です。
腰が曲がっていたり、動作はゆっくりだったりするけれど、
土曜の夜に行ったこともあり、満席のお店を忙しく回していました。
昔ながらの良さ
友人が言いました。
「いつも小綺麗にしているところがすごいなあって思うの。」
カウンターから見える棚に、和紙で作られた人力車なんかの飾り物。
季節ごとに変えているのだそうです。
お店は「昔ながら」の雰囲気ですが、それが良いんですね。
「もてなす」という気持ちが伝わってきます。
熱帯魚の泳いでいる水槽は、キレイに保たれています。
「業者に定期的に清掃を頼んでいるんだって」
「季節のおススメ」の小さな張り紙が、
カウンターの目の前に貼られています。
「そら豆 600円」という文字とそら豆の「絵」が描かれています。
手書きではありません。
「こういうのも、パソコンで作るんだって」
料理も、いわゆる家庭料理ですが、一工夫されています。
お通しは冷ややっこと、かぶとごぼうの天ぷらでした。
冷ややっこは、そうめんを揚げたもの?と、もやしが重ねてあり、
ごまだれが掛かっていました。
食感に変化があります。
カブはじゅわっとジューシー。
ごぼうは細く長くうねった形で、見た目にも楽しいです。
「どうしたらお客さんに喜んでもらえるか」
日々工夫している様子がうかがえます。
女性ひとりでも飲める店
お店のコンセプトは、
「女性ひとりでも飲める店」なのだそうです。
こんな素敵なお店が、家の近所にあったら良いですよね。
そして、こういうところは、若い人ではなくて
ちょっと「歳かさのいった」人がやっているほうが良いですよね。
一人ずつ仕切られた「おひとり様用」ではなくて、
こんなお店も増えて欲しいですね。
自分の飲み代は自分で稼ぐ
私たちの隣には、オシャレなおばあちゃんが一人で来ていました。
83歳とのことでした。
「みんな死んじゃってね。飲み友だちがいなくなっちゃったのよ。」
「私たちの年代は、女性はお酒を飲む人が少なかったから、
今こうして外で飲んで、女性とおしゃべりできるのは、
とっても嬉しいの。」
と、いろいろな話を聞かせてくれました。
立ち食いソバ屋で「20年」も働いていたとのこと。
お盆を持ったりする関係で、親指が内側に曲がってしまったのよと、
手を見せてくれました。
決して生活に困っていたからではなかったようです。
ご主人は、半導体の技術者だった。
60歳で定年退職し、それからはずっと家にいたそうです。
一方女性は、主婦として子どもを3人育て上げたあとパートをし、
ソバ屋では60歳から80歳まで働いたそうです。
「自分の飲み代は自分で稼がなくちゃね。
おかげで、今はこんな風に好きに過ごしているのよ。」と。
「働く=大変」も思い込みかも
お店は、日曜日だけがお休みです。
お手伝いに入った女性も70代ですが、
昼は介護の仕事をしているのだそうです。
自宅からお店までの約5キロの道のりも、自転車で来ているそうです。
すごい体力ですよね。
70歳や80歳まで、こんなに元気に働いている人たちがいる。
「子育て」というと「大変だね」
「働く」というと「大変だね」
ともすると、セットで言ってしまう私たち。
でも、これも私たちの思い込みに過ぎないのかも。
だって、こんなにイキイキと働いている人たちがいるんですから。
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