手を合わせて「ごちそうさま」が言えたなら
人との絆は、食事と通ずるところがある。作るのにまあまあな手間がかかるし、美味しくて調子に乗って食べていると、胃もたれで苦しむこともあるし、いずれにせよ、どこかのタイミングで「ごちそうさま」を言わなきゃいけないときがくる。そして、それは栄養に変わって私たちの体に消えていく。
手塩をかけて育てた他人との絆を、できたらずっと握りしめたまま年を取っていきたいけれど、どうやらそれは難しいらしいということを、二十代の大切な人生レッスンの一つとして、私は学んだ。高校時代の親友と、思いがけず決別したのだ。
高校時代、彼女と私は、まるで双子のようにずっとくっついていた。それは別の大学に行ってからも、社会人になってからも、変わることがなかった。彼女はくしゃりとした笑顔で笑う、えくぼのかわいい太陽のような人で、私はその笑顔をいつだって守りたくて、彼女が失恋した夜も、志望した会社に落ちた日も、そばにいた。それが友情の姿だと信じていた。
でも、あるときから、彼女は私を避けるようになった。突然拒まれることに、思い当たる節がなかった私は、ひどく戸惑った。彼女の気持ちを知りたくて、取ってもらえない電話を何度もならしたり、自分の気持ちを綴ったメールを送り続けたりした。それでも彼女の本当の声は聴けず、もやもやした私の気持ちは宙に浮いたまま、半年くらいが過ぎた。
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