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【エッセイ】就職

「土曜日なのに仕事ってダルすぎる」

朝6時、娘を送る車内の会話。

「そだね、暑いのに外仕事だし余計に大変だね」と
ただ返事をした。

娘が高卒で入社して初めての夏。
連日35℃。
仕事行きたくなーいと言いながらなんとか頑張っている。

昨年の夏を思い出した。
暑い中、学校の就職説明会に行った日のことを。何もやりたい仕事がないという勉強嫌いな娘に、学校から出された求人の中から私の経験で数社に絞った。そして、リフォーム会社の職人を選択した。直感だった。

女の子なのに職人?

説明会の日、会社の資料をもらった後念の為、求人担当の先生に女の子でも応募可能かと電話をしてもらうことにした。するとその会社の就職担当の方が "今近くにいますので学校まで行きましょうかと言われていますがどうします?" という偶然が起こる。どうする?という私の一言に娘はどっちでもいいと平然な様子。私は1人興奮にかられながら、"お願いします!" と答えた。極度の緊張だったのだろう、その時の様子をあまり覚えていない。いきなり別空間に引き込まれたような感覚でもあったのだ。1時間後、そんな状態の時に娘はお腹が痛いと少し担当の方を待たせることになり、もうなんとも言えない時間を過ごした。急な話だったにも関わらず丁寧に話をしてもらい、また別の日には会社見学にも呼んで頂き、小規模ながら自社で職人を育てながら経営されている熱心な社長さんや臨機応変に対応してくださる就職担当の方に好印象を持った。大変な仕事だろうけど学ぶ何かはあるのではと最終娘に確認して、この会社に決めることにしたのだ。

不安を想像する

女の子が職人として働く。

数え切れない不安が予測されるだろう。
私の親にもあーだこーだと言われた。

主人は「本人が決めたならそれでいい」と一言だけ。
私に不安はなかった。流れが後押ししてくれた気もするから。もう決めたこと、後は目の前のことをできる限り頑張ればいい。嫌なら辞めればいい。それしかない。考え過ぎて体調を崩した経験から今は極端に考えることをしていないからでもあるが。

担当の方と話した後の喫茶店でオムライス、格別だった
(写真は引用です)

選択をする

これからも、迷って悩んでを繰り返していくだろう。悩んだ時は結局自分の気持ちで決めるしかない。
誰に何を言われても。

その時の自分に正直になる。

自分を大切にして自分の気持ちに寄り添えるように、親としてできることで支えてあげたい。


「まだ、ちょっとだけ風が涼しいねー」と
エアコンをかけながら窓を開けた。

大好きなLOVE PSYCHEDELICOの音楽と蝉の声。

駅までたった10分の短いドライブ。

「行ってらっしゃい、気をつけて。」と
明るい声で肩をたたいた。

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