チキン情事 第7話

抱いてくれたらいいのに


私にはラヴィン・ユーと呼んでいる某俳優にそっくりな大好きな人がいる。



その彼から昨日LINEが飛んできた。そしてカラオケに誘われた。



急遽決まったラヴィン・ユーとのカラオケ。嬉しい！！だが。



嗚呼。デートと言えないのがもどかしい。だってあっちは私のことなんとも思っていないから。



１回一緒に出かけたことがあって今日が２回目。



半ば強引に私が有無を言わせず誘った感じだ。



１回目は姑息な手段を使った。



閉鎖病棟に入院しているラヴィン・ユーにiPodを貸しっぱなしにして私は退院したのだ。そして連絡先をまんまと交換。ラヴィン・ユーが退院した暁には、少なくとも１回は私に会わなければならないよう仕組んだのだった。



義理堅いラヴィン・ユーは退院後、しっかりと私に連絡をとってきた。



よっしゃぁ〜！！来た〜〜〜〜〜〜〜〜！！！！



心でガッツポーツ！！



逃がしてなるものかと、どんどん会う段取りを進めた。



そして会いに出かけたんだけど、やっぱり、な〜んもなかった。iPodを返してもらい、少しお酒を飲みに行き、それでお別れだった。



チッ！！



もうきっと会うこともないだろう。てかきっと会ってくれないだろう。だって、ラヴィン・ユーはiPodさえ返してしまえば、わざわざデブスの私と出かける必要などないのだもの。別れ際にまた行きましょうと言ってくれたけど、きっと社交辞令よね。



その証拠にもう５ヶ月くらい経つけど、あれからラヴィン・ユーからの連絡は一切ない。



私はたま〜に、くだらないことをLINEでラヴィン・ユーに送って細々とした糸は保っていた。



けれども・・・。嗚呼。なんとも思われてないのってつらたん。



いつも私からの一方通行。切ない片思い、あなたは気付かない。♬　byキョンキョン



ところがうふふ♡ギッチョンチョン。急転直下、昨日急遽会う約束を取り付けられたのだった。



一応「ところでカラオケっていつ行くんですか？社交辞令だったのかしら？あはは」



ってLINEをいれてみたところ、会ってくれるとの返事。



よっしゃぁ〜！！来た〜〜〜〜！！！！！



会える♡会える♡ラヴィン・ユーに会える。会えるよぉ〜。



はっきり決めた。あなたに決めた。抱かれに行くならあ・な・た。あ・な・たに決めた。（ハトヤのテーマソングに乗って歌ってみよう！！）



本当に抱いてくれればいいのにぃいい♬　by　工藤静香



でも私なんとも思われてないからね。多分今回もカラオケ・居酒屋で終わって健全に帰らされることでしょう。



まだこれからも会い続けたいし、うっかりじっとり視線は送らないように気をつけなくちゃ。



うん。会えるだけで幸せ。本当に好きな人とはやらない方が（まぁ、全く相手にされてないわけだが）幸せなのかもしれないね。



いいや。身体だけの関係なら、相手いるからなー。まぁ、私のポリシーとして一回こっきりしか会わないけど。

情が湧くといけないし、不倫とかめんどくさいことにはなりたくない。いやよ、修羅場ランバ。

私は一夜限りのアバンチュールを後腐れなく楽しみたいのだ。

いけない女かしら？ごめんなさい。



でも、ラヴィン・ユーとは一回限りで別れるなんていや。このまま何ヶ月かにいっぺんでいいから会い続けたい。もちろんセックス抜きでね。

本心はまぁ、抱いてくれたらいいのにぃいいい♬だけどね。



セックスよりもなによりも会えなくなることの方がつらたん。だから私は男じゃないけど我慢汁。



ラヴィン・ユーの前では、こんなあばずれな私じゃなくて、いい子でいよう。



嫌われないように。嫌われないように。。。細心の注意を払って。



また次の約束が取り付けられるように頑張ろう。



いえーい！！君を好きでよかった。このままずっとずっと、死ぬまでハッピー♬



抱かれないもどかしさは、決まっている浮気相手とのセックスで解消しよう。



ああ。でも抱いてくれないかしら？



ね？抱いてくれたらいいのにぃいい♬ね？



カラオケで熱唱してみようかな？「抱いてくれたらいいのにぃいいい」って。



いやだめ。やっぱ恥ずかしくてできないわ。私、カラオケで０点取ったことがあることが変な自慢な究極の音痴だから。



そういえば昔、若いころ、なんの気もなしに「抱いてくれたらいいのにぃいいい」って歌ってたら、「お前なんて抱かねーよ！！」って野次飛ばされたことがあるのをふと思い出した。



なんか思い出したらちょっとムカッときたわ。



私だって、あなたに抱かれたいなんて露ほどもおもってませんよーだ。って言い返してやればよかった。かえすがえすも悔しい思い出。



ブルブルブル！！（首を振って）



気を持ち直そう。今日は楽しいひと時が数時間後に待っている。思い切り楽しもう。