チキン情事 第3話
理解不能な旦那
帰ってiPhoneをみると、旦那からのえらい数の着信と、姉からのえらい数の着信履歴が残っていた。
旦那が姉に告げ口したんだろう。全く面倒なことをしてくれたものだ。私は大きくふぅ〜っとため息をついた。
その日の夜、姉から一本の電話が固定電話に入った。
「あんず?・・・・あんず、朝は怖くて聞けなくて帰ってきちゃったんだけど、変なことしてないよね?」
私は意を決して姉に答えた。
「セックスしてきた!!」
受話器の向こうで、姉がハッと息を飲み込み絶句してるのが伝わってきた。
姉は泣いていた。
「なんて・・・?なんでそんな・・・」
それ以上は言葉にならないようだった。
私は
「うん。ごめんね、お姉ちゃん。私もう限界なの。別れたいの。」
そう言って、電話を切った。
旦那はまたオンラインゲームをやり始めていた。なんでも仲間との待ち合わせ時間があるとかで・・・。
ほんと、バッカじゃなかろうか?
父ちゃん呆れ果ててもう何も言えねえ!!by あばれはっちゃく
浮気してきたんで、なんかもうどうでもよかった。Okay, suit yourself.
その代わり、Not on my business. 私も好きにさせてもらう。
そう心に誓った。
ピコピコしながら旦那が珍しく話しかけてきた。
「おい。ちょっとこっちこいよ」
私は内心舌打ちした。いつもは、ゲーム中和室に私が入るだけでしっしっと凄い形相で私を追い払うのに・・・。
「なに?」
ゲームを続けながら旦那が半笑いしながらいかにも可笑しそうに言ってきた。
「おい、浮気したんかい?」
「うん」
「風俗でやられたんかい?」
「そだよ」
「まぁ、お前ただマンだからな。それにしてもお前、堕ちるところまで堕ちたなぁ。」
なんなの?ずっと笑ってる。ちょっとムッとくる。
「で、どうだったんよ?」
「気持ち良かった!!すんごく!!アナルを開発されたわ」
「アナルゥ?お前掘られたんか。薄汚ねえな。流石ヤりまん」
旦那はどういうわけか、私が初めてだったってことを信じていない。私が経験豊かだと思ってて、いつもお前はエロっぽい。(色っぽいじゃなくて 藁)ヤりまんと事あるごとに言ってきていた。だから結婚したんだとも言っていた。
「それが今じゃどうでしょう?デブスになりやがって。俺デブは嫌いだかんな。知ってるだろ?本当上手く騙されたぜ」
旦那の口癖だ。
ただ結婚した時「何にもしなくていいから結婚してほしい」の言葉通り、私は家事の一切を免除されていた。グータラで掃除嫌いの私はそれは本当に楽でありがたかった。
閑話休題。元に戻します。
「そうだよ。気持ち良かったぁ〜。薬師丸ひろ子じゃないけど、まさにか・い・か・ん♡わたくし愚かな女になりそうです。まる。」
すると旦那はゲームをやる手を止めて、どういう風にやられたのか、興味津々といった感じで根掘り葉掘りその様子を聞いてきた。
顔を見るとすごく嬉しそうだ。
私は答えながら、こいつキモ!!と思った。
私は怒られてボコボコにされるのを覚悟してたし、離婚するために浮気に走ったつもりなのに、旦那はちっともそれで離婚しようとは思わないみたいで、寧ろ好奇心の方が勝ってるといった感じだった。
普通はさー。普通だったら切れられて離婚でしょー?でも旦那は違っていたのよ。
そもそも私は重度の精神疾患があるので、それだけでも離婚事由に十分なるのに、旦那は「お前も堕ちたなぁ」「汚れたなぁ」って蔑んどいてそれはないの。
「怒らないの?」って私は聞いてみた。
そしたら、「怒ってるよ」って。
でもとてもじゃないけど怒ってる人の態度じゃないの。蔑みつつ楽しんでいるの。
私も旦那がもし浮気してもOKなタイプだけど、旦那も同じみたい。
ただ蔑むのだけは忘れていないようで色々言ってくる。
藤村操じゃないけど、まさに不可解。
ああ!!本当に旦那がわからないぃいいいいいいい!!!!
私を許せるの?これからも私とセックスできるの?一緒にいるのは窮屈じゃないの?
少なくとも私は窮屈だよ。
そりゃ、LINEで辛うじて繋がってはいるけれど。疲れない?そんな毎日。
私あなたと一緒にいてちっとも楽しくもなんともない。
ねぇ?別れた方がよくない?別れましょうよ。
「めんどくせーよ」
はい。そうですか。
別に私のこともう愛してもいないくせにな。いつも「LEEの愛される理由じゃない。愛されぬ理由を考えよ」って言ってるじゃん。
ま、LEE離婚しちゃったけどね。
ああ。マジ旦那わからねー!!
ま、いっか。
って、私もうなんだか投げやり。